ば、ばれましたかっ!?
「うわーあ、リオちゃんと桜木さんの地元田舎~ぁ」
「すっご。あれ、でも向こうにマンションある……」
「あ、あそこにあるの北町中じゃない?」
好き勝手騒ぐ学年のみんな。
そう。みんなで、私の実家に向かい、たった今到着したばかりなのだ。
「北町中は隣町だから。そっちのビルも隣町。そこにちっちゃな森があるでしょ? そこが町と町のさかいめってわけ」
「ふぅん。リオちゃん詳しいねぇ」
「そりゃあそうでしょ! 地元だもの! 私だってそれくらいわかるわよ」
ユウがことあるごとに張り合ってきて面倒くさい。
「で? リオちゃん家はどこ」
「あそこにある一軒家」
私は住宅街から少し離れた位置にある家を指差した。
「……すごい。大きいんだね」
「そうかな?」
確かに私の家は少しだけ大きめ。
まあそれも、この町の中じゃ大きいってだけで、隣町の家とはくらべものにならない。
向こうの住宅街は、古い家が多い。私の家はほかと比べて新しいし、土地があったっていうのもある。
「でもなんか……変な空気じゃない?」
「え?」
「不穏っていうか。リオちゃんたち帰ってきたのに、誰も喜ばないじゃん」
「それは嫌がらせを受けてたからじゃ?」
「それにしてもだよ。おかしい」
誰かが言って、私も「確かに」と頷く。
いくらなんでも雰囲気が不穏すぎる。
それは、今までと違う感じだった。
そのとき、ずっと傍にいなかった柳くんがすっ飛んできた。
「神崎っ! 桜木!」
「うへ?」
「何よ?」
「至急だ。早く来てくれ!」
私達クローバー初期メンは、人けのない路地にいた。
柳くんの真剣そうな瞳から、重大なことだと分かる。
「な……何?」
「村の奴らが。……話してた」
「話してた? 何を?」
柳くんが顔をしかめながら言う。
「俺らの能力のことをだ」
「はっ?」
ユウが目くばせして、真剣な表情で言った。
「……最初から、薄々かんづいてはいたわ。村の奴らは、この能力のことを知っているんじゃないかって」
「そうだ。しかも、あいつらは俺たちを殺して、忌まわしい能力を終わりにしてしまおうと考えている」
「嘘……でしょ……」
掠れた声がもれた。
柳くんも苦しそうだ。
「だからもう、殺すしか……」
「へえ?」
とつぜん、声がした。
声がしたほうを見たら、そこには酒井さんが先頭になって、何人ものクラスメイトたちが。
「のうりょく、ってなんのことかしら?」
「…………さ、酒井さん……」
——よりにもよって、いちばん気かれたくない相手に聞かれた——っ!
「おかしいと思ったのよね。あの計画、普通にやるなら無謀すぎる。じゃあ、信じられないし現実でありえないけど、そのノーリョク、ってやつ? 使うんだったら納得がいくと思うわ」
「なっ……」
「否定しないということは、認めるのね? ノーリョクとやらが使えることを」
言い訳の言葉が頭の中で組み込まれていく。
——違うの、酒井さん。私達はね、能力が使えたら楽だねって話してただけで……。
考えた言葉を言おうとしたら、酒井さんが先に口を開いた。
「隠し事はナシなんでしょ? お互い。じゃあ、その話もちゃんとしてよね」
「……怒って……ないの?」
恐る恐る、尋ねると。
酒井さん、不機嫌そうにそっぽを向いて。
「何よ! そんなことで怒らないわよ! バカにしてるわけ⁉」
「…………え?」
「ただ、その能力っていうのが知りたかっただけ! 気になるし、それが使えるなら羨ましいなって思ったの!!」
「酒井、さん……」
——もしかして、酒井さんって。
「酒井さんって……ツンデレ、なんだね」
心の中で言ったつもりが、思わず声で漏れる。
その瞬間、酒井さんは鬼の形相になって。
「はぁ————!? ちっがうわ! そんなんじゃねーよ!!!」
「ま、まあ、そうだよね」
酒井さんって、悪いヒトじゃないんだ。
ちょっと、印象で決めつけてた、かも……。
「それより、そもそもアタシたちは、あんたたちに伝えにきたの。
神崎リオ。あんたの家族が呼んでるわよ」
「あ……」
もう約束の時間だった。
「能力の話はまた後で。健闘を祈るわ」
「うん……!」
最後に、言わなきゃと思って、告げた。
「酒井さん、ありがとう……!」
酒井さんの顔が、真っ赤に染まって。
私はその場を走って去った。
——去り際、酒井さんに「べっ、別にあんたのためとかじゃないからっ!」と吐き捨てられたけど、それは無視して走り続けた。
投稿遅くなってごめんなさい!




