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「頑張ったね」と言われただけで喜ぶ私はお子さまでしょうか

「神崎」


 柳くんが、黙り込んだ私に見かねたのか、不安そうに声をかけてくる。


「大丈夫か?」

「……うん」


 小さく、頷く。


 だけど、おとなしい私の様子に、ことさら違和感が増したのか、柳くんがさらに顔をしかめた。


「どうした?」

「……え?」

「柳くん。きっと神崎リオは、どうしようか迷っているのよ」

「うん?」

「神崎リオ。あなたはどうしたいの」


 ユウの声は、静かだった。


 優しく、問いかけてくる。


「どう、したい……?」

「そうよ。伝わらなかったかしら?」

「どうしたいか……」


 何度も口の中で繰り返し呟く。


「……俺は抜ける」


 気を遣ったのか、柳くんが場を離れる。


 私は、不安になってユウに尋ねた。


「……私も、できるかな……」


 一言だったけど、ユウには伝わったみたいだった。


 俯いて、唇を噛み締めた私に、ユウは優しく笑いかけた。


「大丈夫よ。リオなら」


「神崎リオ」じゃなく、「リオ」。


 呼び方が変わったことに驚きながらも、言葉を選んだ。


「私は、ユウや柳くんみたいに、相手を許せるくらい優しくないよ」


 言い始めたら、涙がにじんだ。


 ユウは、私の過去を知っているはずだけど、それは大まかな説明なので、もう一度細かく説明する。


 ユウは黙っていた。


 だけどすぐ、言う。


「偉い。偉いよ、リオ」

「え?」


 そしてユウは、私の頭をくしゃくしゃに撫でた。


 訳が分からず戸惑う。ユウは、勇気づけるように言った。


「偉い。よく、頑張ったね」


 きっと、誰もが一度は言われ、気にも留めないくらい日常的な言葉。


 だけど、私にとっては特別だった。


——あれ。


 我慢していた涙が、いつの間にかあふれ出していた。


「……っ、ごめっ、」


 無理して笑おうとした顔が、どんどん崩れて、歪んでいく。


 そのまましばらく、泣いた。


 飲んだ涙が塩からくて、涙を拭った手がびしょびしょで。


 何をしているのか、分からなくなる。


「きっとできる。なれるよ」


 ユウが力強く言った。


「だけど、本当に苦しい思いをしたなら、そこまでして許す必要はないと思う。復讐しようと思うならそれでいいと思うわ。私も手伝う」

「ユウっ…………」

「いいの。それでいい。自分がやりたいことをやるのがいちばんでしょ」


 ユウのやさしさに、心が温まる。


「……で、リオはどうする? どうしたいの?」

「うん……ごめんね。私、どうしても、二人みたいないい子にはなれない」


 きっぱりと言った。


「だけど、復讐を終えたら、もう能力を手放したい」

「……え?」

「こんな能力、もう二度と使いたくなんかないと思うから」


 ユウが、静かに頷く。


 そして不安げに言った。


「……ごめんね。あんな、卒アル写真、出しちゃって」

「ううん! 平気だから! 気にしないで!」


 謝るのが遅かったし、私も色々決心したから、今さら怒らない。


 ユウはまだ気まずげに瞳を伏せて、「でも」と言った。


「知られちゃったものはどうしようもないよね? どうするの」

「それなんだけど……」


 私は計画を話した。


 ユウは最後までその計画を聞き、ため息まじりに苦笑した。


「神崎リオ、あんたはどこまでも神崎リオなのね」

 時間遅れてごめんなさい…!

 今回の話はどうでしたか?

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