私は、どうしたらいいんですか?
「……私、施設で育ったの」
「しせつ?」
「そう。……お母さんは、幼い頃、私を捨てて出て行った。お父さんはいないし、それからはずっと施設で暮らしてた」
施設で暮らすということは、当然、お金もそうなかっただろうに。
そう思いあたって、ふと気づく。
——だからユウは、特別館だったのだ。普通の北町中じゃなく、T.Kだったんだ。
「たくさんの仲間に出会えたし、それはそれで悪くないと思ってる。だけど、私はお母さんに会いたい」
「……会う? 殺すとかじゃなく?」
突っ込んだ柳くんを、ユウが睨む。
「そうよ。悪い? 私はあんたたちと違って、ちゃんと人のこと受け止めようと思ってるから」
「そっ、か……」
どうだろう、と思うけど、黙っておく。
「……お母さんは、私を生んだことを後悔していると思う」
「え?」
「だから……謝りたいの。お母さんは明るい人なのに、私が生まれてから性格が変わってしまったんだって、何度もおばあちゃんに言われた。おばあちゃんは、お前がいなければって何度も言ってきて、それがいちばんいいのかって思い始めて。
……自分が壊してしまったお母さんの人生を戻すことはできないけど、せめて、謝りたいの」
俯くユウ。
それを見て、どうして、と思った。
——どうして彼女は、自分を捨てた相手を許すのか。
私は自分を苦しめた相手を許せないし、許すつもりもない。
だけど彼女は、許すのだ。
「……ありがとう、桜木。お陰で俺も話す決心がついた」
「へ?」
「俺も、殺す前にあいつと話をしようと思う」
あいつ、というのは、校長先生のことだろう。
「そして、俺は殺すか殺さないかをそこで決める」
ユウはまっすぐな瞳で柳くんを見つめ——、
それからこっくり、頷いた。
「それがいいわ」
えっ——?
柳くんまで頷いて。
どうして?
私は? ねぇ、私は?
置いていかないでよ。
二人で、あっちの方へ行ってしまったの?
——私は、どうしたらいいの?
少し短くなってしまってすみません。




