T.Kってナンですか?
犯人は意外な人物のようです。
「んで、結局誰なんだ?」
柳くんが聞いてくる。
「うーん。それが、全然見つかんない」
「全員見たか?」
「もちろん。みんな違うよぉ。なんでだろ」
私はため息をついてパソコンとにらみあう。そこにずらりと並ぶ出身校たち。
「T.K中だの目小杉中だの。聞いたこともないような名前ばっかり。かと思ったら名門くるよ? ほんとに見つかんのかなぁ。」
「お前の北町中だって悪くないだろ」
「悪いよ! みんないいトコ出身ばっかでさ~。もう、ほんっと、ぜんぜんわかんない」
「……ん?」
そのとき、柳くんが目を見開いてマウスを握った。
「何っ?」
「北町中……だよな?」
「へっ?」
突然挙げられた母校の名前に驚く。対して、柳くんは深刻な顔をしていた。
「北町中……。それって、まさか」
「ん?」
「特別館、というのがなかったか?」
「とくべつかん?」
そういえば、と思い当たる。
特別館とは、その名の通り特別な人だけが行ける館で、私のような凡人が行く普通の「北町中」と、その特別館は別れている。
特別館には、学校に多額の寄付をした家や、主にお金持ちが所属していて、本校よりずっと人数が少ない。
だけどそのぶん優遇対象となっていて、授業も給食も何もかもが一般人と違う。
普段は滅多に会うことがないけれど、時折、同じ帰り道だったりすると会うし、卒業式や卒アルも同じなので全くかかわりがないわけではない。
「それがどうかした?」
「その特別館って、北町中において『T.K中』って呼ばれているの、知っているか?」
「いや、知らない。T.Kってナニ?」
「TOKUBETUKITAMACHI。北町中の特別館は優遇対象だろ? 北町中って言うだけじゃ、普通のと同じになる。かといって、特別、とつけるのは面倒。そこで、英語にしてかっこよくしたんだろうな」
——それは分かったけど、それがどうかした?
「要は、北町中で出ないなら、T.K中にいるんじゃないかと、俺は思った。どうだ?」
「あ……ティー、ケー……」
『T.K中だの目小杉中だの。聞いたこともないような名前ばっかり』
さっきの、私の、発言。
何で気づかなかったんだろう。
そうだよ。さっき、私は見つけた。——T.K中出身の女子を。
でも、深く気に留めないくらい、身近な相手だった。
そんな人物は、ただひとり。
「……ああ……」
どうして、気づかなかったのだろう。
私は、パソコンの画面を見て、頭を抱えた。柳くんもパソコンをのぞき込んで、はっとした顔になる。
私は、もう一度パソコンを見た。幻覚じゃないかと思ったから。
でも、何度瞬きしても、見えるのはこの文字だけ。
『桜木 ユウコ
性別 女
出身校 T.K中』
いやー、犯人を誰にするかは迷いましたね。
でもやっぱり身近な人! ってなって、そしたらユウに……。
許してね?ユウ。




