これは恋じゃないんです
さて、ついに14話ですね……!
そろそろ第一幕は終わりかも?
今回も楽しんでいただけたら、これ以上の喜びはありません。
「私に、ハッキング、やらせて、くれない?」
「できるのか?」
柳くんが問うた。
私は頷く。
「昔、ちょっと勉強してて。あらかたのことはできるつもり」
「そうか。なら、俺に教えてくれないか」
「お……教える?」
どうして?
その言葉を飲み込んで、「え、でも」と言う。
「柳くんも、あらかたのことは知ってるよね?」
「……悪い、さっきはちょっと見栄張ってさ。俺、言うて何もできないよ。簡単なセキュリティは超えられるけどさ」
「そうなの!?」
——まさかのかっこつけ!?
「うん。だから、ハッキングしているところを見させてもらって、そのときに色々教えてくれないか?」
「いいけど……。私、教え方下手だよ? それでもいいの?」
「大丈夫だ。とりあえず、できるようになったほうが復讐には最適だからな」
私は心の中でガッツポーズをした。
今まで人に頼られるなんてこと本当になくって、純粋に嬉しい。
それに、柳くんのことをもっと知りたかった。
「じゃあ、明日授業が終わったら、私の部屋来たら? パソコンはあるから安心してね」
「ああ。分かった」
「もう! 二人とも、私のこと忘れてるよっ!」
ユウが叫んだ。私は「ああ、ごめんごめん」と適当に謝った。
「その、ハッキング? っていうの、私、興味ないから抜けていい?」
「いいよ、もちろん」
「もちろんってなんかひどい! もうっ」
ぶつぶつ言いながら、去っていくユウ。
——何をそんなに怒っているのだろう。
私はため息をついた。だけど、柳くんは何か考えていて。
「なあ、神崎、あいつの苗字って何だ?」
「えっと、桜木だけど」
「……さくらぎ……」
「どうしたの?」
「いや、何でもない」
明らかに様子がおかしい柳くん。
別にユウが短気なのはいつものことだし、私は気にしてないけど。
「じゃあ、また明日ね」
「ああ、明日は、よろしくな。……あと」
別れ際、柳くんが不安そうな顔で私に告げた。
「ところで神崎、お前、気をつけろよ」
「え?」
私は訳が分からず首を傾げた。柳くんが続けた。
「まだ誰が『とあ~る人』なのか分かっていないんだ。あんまり人は信用しないほうがいい」
「柳くんも?」
「俺もだ」
冗談で言ったのに、彼がまじめに返してくる。
「……分かった。ありがと、柳くん」
「ん。あと、なんかあったらのためにレイン繋いどこうぜ」
「あっ、ありがと」
学年全体レインから柳くんの個人レインまで飛ぶ。試しに何度かスタンプを送ってみたあと、私たちは「じゃあね」と別れてそれぞれの部屋に戻った。
私は、人が好きになれない。
過去のトラウマとか、あとはどうせ、その恋が結婚とかにまで話が進むことはないと分かっているから。
だから今まで、誰のことも好きにならなかった。
告白されても、誰とも付き合わなかった。
顔がよくて、かっこいい男の子がいても、なるべく見ないようにして、自分に恋愛させないようにしていた。
いつの間にかそれが癖になって、どうしたら誰かを好きになるのかもわからなくなった。
だから、この感情も、恋じゃない。
柳くんにこんなにドキドキしてる、こんな感情なんか、恋じゃない。
リオが、ちょっとドキドキし始めてるみたいですね!
ちょっと恋愛は苦手なので頑張りたいです。
それでは次話で!




