「とあ~る人」って誰ですか?
ついに13話だ!
かなり物語進展してきた!?
今回も楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。
「それは確かに深刻だな」
柳くんがそう言って、「な」とユウを見る。
ユウも静かに頷いた。
ここは多目的室。予約すれば一組一時間で使えて、完全防音。
変なところに金をかけているな、と思いつつも、今はそれが役立っているので文句なしだ。
私は、同じ「クローバー」の仲間である二人に過去を話していた。
幼い時についたやけどのこと。
それが、能力を身に着けたときに治ったけれど、中学生のころまでは、時々また発症したこと。
そのときの写真が、卒アルに使われたこと。
そして、私たちの学年に、同じ中学の、犯人がいるということ。
「あんた、トークは確認したの? 誰が送ったか分かれば、そいつが犯人じゃないの?」
「もちろん確認したけれど、そいつ、〈とあ~る人〉って名前でもう一つのレインアカウントを作って、このトークルームに混ざってたみたいよ。今はもうグループ出た。誰なんだろって、みんな気にしてはいると思うけど、私の『実はブスネタ』のほうが話題性はあるからそんなに話題にはなってないね」
「何でそこまでする必要があるわけ? あーあ、まじだるい。そーゆーの、よくないよ」
「本当だよな」
「まあでも、この世の中、嘘ばっかだよね。あんたがチャラいって噂も、実は全然違ったし」
ユウは、柳くんに会ったときから、「チャラい」というイメージをぶち壊され、ショックなようだった。
——ほんとに、それくらいでショックになれるなんて、いいもんだね。
少し羨ましく思うけれど黙っておく。
「で、心当たりある奴とかいないの?」
「ごめんね、私、中学校、まじで記憶ないの」
それは本当だった。
名前だってすぐ忘れちゃうし、クソ野郎どもの名前を覚えようとも思わなかったし。
「そっか……」
ユウがうつむく。考えているようだった。
「……あっ、神崎」
「ん?」
「ひょっとしたら、誰かの出身校くらい分かるかもしれない」
「本当⁉」
柳くんの言葉に驚く。
——でも、どうやって?
「パソコンのハッキングは得意だ。父さんのパソコンをハッキングする」
「校長先生の? でもそんなののってるの?」
「あ、知ってる。校長先生って確か、入学するときの書類をパソコンに入れてる、とかいう話じゃなかった?」
「そう。まあでもさすがに個人情報だからさ、俺にも見せてくんねーわけ。じゃ、ハッキングすりゃいいよなって話よ」
ハッキング。
その言葉に、びくりと体がはねる。
だって、私も、していたから。
私がハッキングを知ったのは小学六年生のときだ。
まだ能力もろくに使いこなせてなかったけど、読んだ本でハッキングのことがのっていて、ハッキングを学んでおいたほうがいいかと思って一応学んでおいた。
ハッキングを学んでも大して使いどころはなかったし、今までほとんど使ったことがなかった。能力がある以上は、現実的な「復讐」をしてもしょうがないし。
だけど、一生懸命読みこんで覚えた本の内容は、今でも私に残っている。
そして、柳くんにそれをされるのは、ひどく抵抗があった。
相談しておいて勝手だが、これは私の問題だし、何より、それを彼に知られるのは、怖かった。
私は今まで、ずっと「被害者」だったから、もう、「被害者」「かわいそうな子」と思われたくなかったのだ。
「あのさっ、柳くん」
「うん?」
「私に、やらせてくれない?」
二人が、とても驚いた顔をした。
沈黙が続く。伝わっていないかな、と思って、もう一度。
「私に、ハッキング、やらせて、くれない?」
注意 ハッキングは許されない行為です。絶対に真似しないでください。




