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突然の解雇宣言 3

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 城から戻ったウィリアムは、脱いだコートをルーベンスに渡して部屋に上がると、ふと違和感を覚えた。


 外出先から戻ればエイミーが出迎えてくれるはずなのに玄関には彼女の姿はなく、部屋にもいない。いったいどこに行ったのだろうか。

 ブラックダイヤモンドに憑りついている霊について新しい情報を得られたから、いち早く彼女に報告したかったのに。


「旦那様、お茶をお持ちいたしました」


 いつもならエイミーが持ってきてくれる紅茶をルーベンスが運んできたとき、ウィリアムはいよいよおかしいと思った。


「ルーベンス、エイミーは?」


 訊ねると、ルーベンスが一瞬口をつぐんだのがわかった。

 ウィリアムは半眼になって、同じことをもう一度訊ねた。


「ルーベンス、エイミーは?」


 するとルーベンスは、はあ、とため息をついた。


「エイミーなら解雇いたしました」

「なんだって?」


 ウィリアムは思わず、座っていたソファから腰を浮かせた。

 説明しろと睨むと、ルーベンスはエイミーがウィリアムに色仕掛けを仕掛けたから追い出したと言い出した。

 ウィリアムは目を丸くして叫んだ。


「どこでそんな勘違いをしたんだ!」

「勘違い、でございますか?」

「ああ! エイミーが俺に迫ったことなんて、一度もない!」

「しかし、メイド頭のケリーが見たと」

「いつ、どこで!?」

「それは……」


 ルーベンスは言いにくそうに視線を逸らせたあとで、渋々と言った様子で白状した。


「サーラの件がありましたので、念のためケリーに探らせていたんです。その……先日、旦那様の部屋の鍵穴から中をのぞいた時に、エイミーが旦那様に抱きついているところを見たと」

「鍵穴!? いや待て、誤解だ!」


 鍵穴から覗き見られていたことにも驚いたが、今はそれを問いただしている暇はない。

 ウィリアムは完全に立ち上がって、がしがし髪をかきむしりながら、大声を出した。


「エイミーが俺に抱きついたんじゃない! 俺がエイミーに抱きついたんだ! エイミーは戸惑っていただけで、彼女は俺に取り入ろうとしたわけでも、ましてや色仕掛けで迫ってきたわけでもない! ケリーを呼べ! いや、先にエイミーだ! エイミーを呼んで、謝罪しろ‼」


 するとルーベンスは蒼白になった。


「ど、どういうことでしょうか」

「どうもこうもあるか! こいつのせいだ! この指輪のな! こいつがエイミーを母親と勘違いして『ママ』と呼んで抱きついたんだ!」

「ママ?」

「うるさい! 今はそれどころではないんだ! 早くエイミーを呼んで来い!」


 ルーベンスは青い顔のまま視線を逸らした。


「その……大変申し上げにくいのですが、エイミーはもう、出て行ったあとでして」

「はあ⁉」

「荷物をまとめて……旦那様がお戻りになる少し前に」


 ウィリアムはキッとルーベンスを睨みつけて、怒鳴った。


「探せ! 使用人総出で、今すぐに探してくるんだ!」


 今頃エイミーは心細い思いをしているに違いない。

 ウィリアムはソファのクッションをルーベンスに向かって投げつけてから、慌てて部屋を飛び出した。



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