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7話 旅の相棒をゲットしました!

前回のあらすじ

この森、実はとっても物騒な所でした。


せっかく焼いた魚っぽいものや果物類を彼に取り上げられてしまいました…美味しかったのに。


『だめ!いくら平気そうでもだめ!』


「えー」


『えーじゃない!』


ブーブー文句を垂れると彼に心底呆れたと言わんばかりの深いため息を吐かれてしまいました。解せぬ。


『恐らくアンタが無事なのは異界から来たことと何か関係があるんだろう…この森の魔力に適応する生き物は少ないが確かにいるし…俺も詳しくないからなんとも言えないが』


「そうですか…そういえば貴方は大丈夫なのですね」


『俺はまぁ元は人間だったが体が魔獣化してるからな。

この森の魔力にも何とか適応したみたいで俺にとっては寧ろ過ごしやすい場所なんだよ…』


「人間、だったのですか。道理で…」


所々、獣らしくなく妙に人間くさかったわけですねぇ。

私があまりにもあっさり納得したからか、彼は何故か少し微妙そうな顔をしました。


『あまり、驚かないんだな』


「まぁ、私にとっては他人事ですしここは異世界ですから。そういうこともあるのかなぁと」


そう言うと、彼はほっと息を吐き出し安心した…いえ、少し嬉しそうな顔をしました。


『そう、か』


「貴方こそ、異世界から来たという私の話にあまり驚いていませんでしたよね。私みたいなのよくいるのですか?」


『いや、よくって程ではないが…いるにはいるな。特にここは魔力が強すぎて次元が歪む事もあるらしいから繋がりやすいんだろ…森から出られるかは別として』


「ほー、なるほどぉ」


『…興味なさそうだな。まぁいい。それで?願いって?』


あ!そういえばその話をしていたのでした。すっかり話が脱線してしまいましたね。


「あ、そうでした」


『忘れてたのかよ…はぁ』


残念な子を見るような視線を頂きましたが無視です。無視。一つ咳払いをしてここまでの経緯を簡単に説明することにしました。


「コホン…えー、私つい先日から世界を巡る旅を始めたのですが、何故か気付いたら森の中をさ迷っていまして。

仕方ないので森を散策中、貴方に偶然出会いました」


『ざっくりし過ぎじゃないか?てか迷子かよ』


私は彼の言葉を無視して話を続けます。


「まさか異世界に紛れ込むとは思いもしませんでしたが、私は当初の目的通り旅をしようと思います。ですが、この世界の知識は当然ながら持ち合わせていませんので貴方に私の案内役になってもらいたいのです。それが願いです」


彼は少し首を傾げ、不思議そうな顔をしました。

それにつられて私も首を傾げそうになりましたが何とか耐えます。貴方、本当にいちいち可愛いですねぇ。


『…元の世界に戻りたいとは思わないのか?』


突然、そんなことを言われました。

確かに。よくある異世界転移物ですと主人公は元の世界にも戻ろうと奮闘しますね…まぁ、最近はそうでも無いですが。

私は…あの場所に特に未練はありません。でなければ1人で旅になんて出ませんし。そもそも、私の居場所は兄達のいる場所であって()()()ではありませんでしたから…


「えぇ、別にこれといって戻りたい理由もありませんからね…どうせその内あの2人はこちらに来るでしょうし」


『…?何か言ったか?』


私が最後に呟いた言葉は彼の耳には届かなかったようです。

これ幸いと話を戻します。


「いえ、要は私と一緒に旅をしましょう。という事です。

まぁ、勝負に負けたあなたに拒否権はありませんがね!」


『ないのかよ!』


「当たり前です」


『はぁ…まぁいい。それくらいなら俺にも出来そうだ。

だが、俺もそこまで詳しくないがいいのか?』


「えぇ、構いませんよ。全く知らない状態よりも少しでも情報があった方が此方としては助かりますので。それに旅とは知らない場所に行くからこそ楽しめるというものではありませんか!」


『…それ、俺いるか?』


「ここにいて何かする事ありますか?どうせないでしょう?なら私の旅に同行してもらいます。あ、これは既に決定事項ですので反論は受け付けません。私の国では旅は道ずれ世は情けって言いますしね!それに誰かと一緒の方が一人よりも楽しいと思いませんか?」


『…くく、まぁいい。俺はお前に負けたんだ。弱者は強者の言うことを聞くものなんだろ?いいぜ。行くよ』


「おや、意外とあっさりしてますね。ではよろしくお願いしますね!あ、申し遅れました。私の名前は如月朔耶と申します。朔とお呼び下さい。貴方の名前は?」


そう言うと彼は目に見えて狼狽しました。

まさか名前を聞かれるとは思わなかった。そう言わんばかりです。


『…俺、の名前は…いや、俺は元々孤児だったから名はないんだ。良かったらつけてくれないか?』


「え?私がですか?責任重大ですねぇ。では…ルツはどうでしょう?私の好きな単語で、慈悲深い人という意味です」


彼は少し困った顔をしましたが、直ぐにふっと頬を弛め微笑みました。…まぁ獣の顔なんでよく分かりませんがね。

なんとなく、雰囲気そんな感じだったのですよ。ですが恐らく間違いではないでしょう。


『俺は全く慈悲深くなんてないが…ルツ、か。折角だ、その名に恥じない者になれるよう努力しよう』


そう言って前足を出してきた彼…ルツの姿は御手をする子犬のようです。子猫から子犬にシフトチェンジするとは…驚きです。まぁ、十中八九違うのでしょうが。雰囲気的にここは握手する所でしょうね。

私はその前足をそっと握りしめて…肉球最kゲフンゲフン!握手を返しました。


「これからよろしくお願いしますね。ルツ」


『あぁ、よろしくな。サク』












旅の相棒をゲットしました!















やっと主人公の名前出せました!

あと、ついでに獣こと旅の相棒ルツも。

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