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悪役令嬢に転生したおっさんは悪役令嬢になりきれない  作者: うさぎ蕎麦
2-1章「領主になったけれど」
51/53

51話

 先のホームレスと別れ、俺達は彼が言っていた嫁子供を探す事にした。

 俺の中では既に生きていないと思ってはいたが、ステラ嬢がそう思うとは思えない。

 話の流れ的に自分の意思を隠しながらそうするしかなかったと言われればそうなる。

 

「人間の世界って大変なんですね」


 とサナリス。

 

「そうよ」

「私達が居た世界だとそんな事無くってみんな幸せに過ごして居たのになー」


 そりゃまぁ、竜の冒険が作られた時代はこの世界に比べて満たされていたし何よりそれが産まれた日本が満たされている訳だからそうなる。

 最も、別のゲームだったら悲壮しか存在しない絶望塗れでそれ等の街が当たり前かもしれないけど。

 少なくとも、王道RPGである竜の冒険でそんな事は一部の村以外無かった。

 或いは描写をしていないだけかもしれないが。

 

「そうみたいね。それが理想と言われればそうですが、この世界ではその理想が満たされる事は難しいですね」

「なんでみんな幸せになれないのかなー」


 サナリスが頭を抱えながら言う。

 彼女はこう見えても魔王軍の幹部であり、そうなると魔族とは到底思えない発想をしている。

 まぁ、その辺りは娯楽媒体によって魔族の扱いが異なるせいなんだろうけど。

 ある作品では、魔族は徹底的な悪党として徹底的にせん滅すべく存在と主人公が主張していたし、本来ならそれが魔族なんだろうけど。

 

 その辺り作品のコンセプトや手にした顧客がどう思うかに左右されるし、サナリスと言う魔族は人間に近い完成を持っている以上の事を気にしてはダメなんだろう。


「この世界では、それを実現する為の食料が供給されていない事が考えられるわね」

「ううう、そうなんですかぁ。私達魔族って、何も食べなくても平気なんです。だからなんでなのかなーって」


 無垢なのか、けれどサナリスが言う通り食の重要さが分からないならば当然の感想かもしれない。


「食料ってのは人間が生きて行く為に必要な要素だから。それが満たされるか否かで脳が身体に下す命令が異なるわね。前者ならば快楽的で後者なら不快的かしら」

「そうなんですかぁ」

 

 サナリスはなんとなく納得してくれているみたいだ。


「みんなが幸せになる為には、十分な食料を作り出す事ですわね」


 勿論、これだけで争いが消える訳では無い。

 周りより良い状況を巡って常に争い続ける。

 人間とはなんと愚かな生き物なのだろうと、領主をやってみるとより一層分かる気がしてくる。

 

「むぐぐ、食料を産み出す魔法なんて私知らないよぉ」

 

 残念そうにするサナリス。


「仮にあっても、クリスティーネが使用を止めるんじゃないかしら?」


 そんな魔法があったら楽だからと、俺を苦しめる為に使用の禁止とか有り得る話だ。


「あうぅぅ、そうでしたぁ。クリスティーネ様なら絶対にそうしますぅ」


 がっくりと肩を落とすサナリスだ。

 これはこれでどことなく可愛いと思ってしまう。

 それはさておいて、人間が歩いて探すには十分広いこの村で子供達、つまり3人以上の仮説しか立てられず年齢も最低5歳以上のヒントしかない。

 そもそも俺の仮説だととっくに生きていない。

 そんな人間を探すのは無理過ぎる訳だが、ステラ嬢が納得して探索を諦めるとは思えない。

 なんなら、見付かるまで数日掛けてでも実行しそうだ。

 少しずるいかもしれないが、ファルタジナリングの力でせめてその家族の生死位は知れないだろうか。

 試しに俺はファルタジナリングの力を使ってみる。


【当該家族

 父 ……存命

 母 ……死亡

 子1……死亡

 子2……死亡

 子3……死亡

 子4……存命】


 思った通り、彼の家族は生きていなかった。

 さて、この事実を知りながらステラ嬢が諦める様上手く誘導……。

 うん? 第4子が存命? どういう事だ?

 いや、彼の家庭が全滅したのはあくまで仮説だ。

 この第4子の今の状況はどうなっている?


【当該家族の子4。

 現在教会にてシスターを務めている。健康状況良好】


 つまり、孤児であったところ教会に拾われた訳か。

 あるとするならば、父親は一家が全滅したと思い込んだ。

 しかし、何かの理由で第4子だけは生かされた。

 小さ過ぎるからその場に捨て置かれた辺りか? 偶々教会の人間が通りかかりその子を拾い教会で育てた。

 仮説を立てるならこの辺りだろう。

 

 さて、どうしたものか。

 俺は嘘を付く趣味は無い。

 真実を知った以上、上手くステラ嬢を教会に誘導すればいいだろう。

 てっきり、存命している家族はあのおっさんも俺も思ってはいなかったが、存命していると分かった以上どうにかするしかないだろう。

 仮に見付けたとして、再会させるべきなのだろうか?

 再会させたとしてその後の処遇はどうする?

 この父子だけ特別扱いするのは厳しいが、教会に勤める人間ならばある程度の融通を聞かせても問題無いか?

 彼女の健康状態が良好である以上、最低限以上の食事は得られているだろう。

 ならば、彼女の働きを口実に彼女の父を助けても問題は小さい。

 精々教会に勤める他の人間達の家族もどうにかしろと要求されると思うが、その家族まで貧困に喘いでいるかと言われたらその可能性は低めに見積もれる。

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