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39話

「エリウッド様、逃げますわよ!!!!」


 俺の声に反応したエリウッド王子が、ペガサスにまたがり今崩れ去った壁から外にで、天高く飛翔し離脱を試みる。

 今の轟音に、何事かと周囲にいた騎士達が駆け寄ってくるのが遠めに見える。

 俺は、アイテムボックスの中から2台目の原付を取り出しエンジンを入れ、アクセルをふかし入り口に向け加速。

 入り口に向け離脱を試みる最中、犯人が俺ではないかと予想をした一部の騎士が俺の進路を塞ぐ様に立ちはだかるが、うまく回避しそれを振り切る。


「門を閉めろ!」


 騎士が遠くから門番に命令をする。

 遠くから猛スピードで突っ込んでくる俺の姿にキョトンとした表情を見せる門番だが、命令通り門を閉めやがる。

 クッ、このままではマズイ、いや、この門の高さは2Mも満たない、だったらやるしかない!

 俺はアクセルをフルスロットルし、更に加速。


「止まれ、止まるんだ!」


 門番が叫ぶも、無視し俺は原付に力を込めジャンプさせる。

 勿論これでは門を飛び越える事は出来ない、だが、鉄格子に近い形状の門、その鉄の棒の部分に原付の前輪を乗せ門を垂直に駆け上る。


「おーほっほっほ。また遊びに行きますわよ!」


 そのまま入り口の門を飛び越えた俺は、着地間際門番達に返事をしつつ、カボッチャムを隠してある木々目指し爆走。

 森林エリアの入り口に差し掛かったところで原付をアイテムボックスに収納し、ステラ嬢とサナリスが待つカボッチャムの元へ駆けつけ、中に入る。


「ただいま戻りましてよ」

「ルチーナ様、おかえりなさいませ☆」


 嬉しそうにサナリスが俺を出迎える。

 が、無理矢理門番を突破した今の状況ではほぼ確実に追手が来る以上、俺はサナリスに必要最低限の笑顔を見せコックピットルームへ潜り込む。

 操縦席に座った俺は、モニターを起動し周囲の樹々よりも少し高い位置にカボッチャムの頭を出し様子を探る。

 予想通り、俺を探しに来た騎士団の姿がモニターに映った。

 数は大体100で、馬に乗っている。

 領主の館を守るだけあり頭は回るのか、原付を走った際に生じたタイヤの跡を追ってまっすぐこちらの方に向かって来ている。

 このままやり過ごす事も出来そうだが、エリウッドとの合流まで考えたら迎撃が無難か。

 しかし、無駄な殺生をする訳にはいかない。

 何か良い武装は無いか?

 俺はカボッチャムの武装欄を確認する。

 ざっくりと、野菜をモチーフとした武装を搭載している様で攻撃力は不明で、下手をすればダメージを与えられない可能性も考えられる。


「確か……」


 アイテムボックスの中には原付用のヘルメットが99個あったな。

 しかし、30センチ弱はあるこれでは、弾として使うには難しいな。

 もう少し小さければバズーカ辺りの弾に出来たかもしれないんだけど。

 いや、待てよ? カボッチャムのパワーがあるなら単純にぶん投げるだけでも攻撃力に期待出来るかもしれない。

 いけると判断した俺は、アイテムボックスに入っている原付ヘルメットの内94個を、弾薬を格納するバックパックに送り出した。


「ルチーナ嬢はこの森に逃げたはずだ! 見付け次第捕まえろ!」


 森の入り口に辿り着いた騎士団の隊長が部下に対し命令を下した。

 命令を受けた騎士達は、俺が付けた足跡を辿り森の中に侵入した。

 このままでは見付かるのも時間の問題だろう。

 おや? 捜索隊の最後尾にいかにも悪人面してきらびやかな服に身を纏ったちょいでぶのおっさんが居るぞ?

 あれがアーブラハム卿なのか? 話や噂聞く限り、悪党っぽいし多分そうだよな? ま、違っても俺には関係ないし良いけどさ。

 さてと、迎撃戦でも始めましょうか!

 俺は操縦管を操り、屈んでいるカボッチャムを立たせる。

 ガサガサガサ、と樹々をこする音が周囲に響き渡る。


「なななな、なんだあれは!?!?!?」


 その音に反応した騎士達がカボッチャムの方を振り向き、突如現れた巨大な人型起動兵器を目の前に驚きの声を上げる。


「ふはははは、我は森の守り神なり、悪に染まる者どもよ天罰を受けたくなくれば早々にこの地を立ち去るがよい!」


 これで撤収してくれるなら楽な話なんだけど。


「うろたえるな! 撃て、弓を撃て!」


 隊長の命令を受けた、弓を持つ騎士達が一斉にカボッチャム向け矢を放つ。

 が、カボッチャムの防御力の前に放たれた矢は虚しい音を立て地に落ちるだけだった。

 それでも尚騎士達は矢を射る事を止めない。

 全弾撃ち尽くすつもりなのだろうか?

 やられっぱなしも面白くないので、俺はカボッチャムに原付のヘルメットを持たせ騎士達の目の前目掛け投げる。


「な、なんだ!?」


 カボッチャムが投げたヘルメットは、騎士の前に着弾し小さなクレーターを作ると同時に粉々に砕け散った。

 その破片が間近にいた騎士を襲い、身に着けていた鎧に無数の傷を付ける。


「当たらなければ問題無い! 続け!」


 大した損害は無いと判断した隊長が攻撃を続けさせる。

 牽制の弾は効果無しか。さって、どうするか。頭部に直撃させた日には恐らく即死しそうだ。

 俺は先程よりも威力を押さえヘルメットを投げつけた。

 地面にワンバウンドさせ、ある程度威力を押さえてから当てる為だ。


「う、うわああああ!?!?!?!?」


 俺の狙い通り、ワンバウンドしたヘルメットが騎士の肩に直撃、衝撃に耐えきれず軽く吹っ飛ばされ落馬した。

 騎士は、直撃した肩部を手で押さえうずくまっている。

 この様子だと骨折したのだろうか?

 隊長は、他の騎士に指示を出しこの騎士を安全な場所まで退避させた。

 隊長に緊張の色が見えると同時に、他の騎士達の戦意が下がっている様に見える。


「クッ! 我らアーブラハム騎士団、日和る訳にはいかぬ! いけ、行くのだ皆のモノッ!」


 これでは脳筋に片足突っ込んでいると言いたくなったが、彼等にとっては美しき騎士道精神なのだろう。

 理由はともあれ下がる意思を見せない以上、俺は次々にヘルメットを投げつけ、一人、また一人と骨折させ戦意を奪っていく。

 20人程の騎士を怪我により離脱させたところで、隊長に迷いの色が生じる。


「何を迷っておる! 貴様ら騎士は命を賭してでも戦わなければならんぞ!」


 隊の後方、安全な場所にいるだけのアーブラハム卿らしきおっさんが隊長に命令を下した。

 よくいる無能上司と言われれば間違いなくそれだろう。


「いけっ、敵を打ち倒せ!」


 アーブラハム卿らしきおっさんより命令を受けた隊長が仕方なく部下に命令を下し、カボッチャムには全く効果の無い矢が無数に放たれる。

 段々とこの隊長に同情したくなって来るな。

 さって、どうするか? あのおっさんを戦闘不能に持ち込む手もあるが。

 ここで、ペガサスにまたがり滞空しているエリウッドがモニターに映りこむ。

 何か通信手段は? 精々拡声位しか無いか? 騎士達に聞かれてしまうが仕方ないな。


「エリウッド様。アーブラハム卿の処遇を如何致しましょうか?」


 俺の声はエリウッドに届いた様で、彼は何か言っているが残念ながら聞こえない。

 それに気付いたのか、エリウッドがジェスチャーを始める。

 ふむ、出来れば捕えたい、か。

 で、捕縛する為の道具が欲しいと。

 俺はアイテムボックスを開き、それっぽいものを探すと、ロープを発見した。

 これをエリウッドに渡せばいいだろう。

 俺は、ロープをカボッチャムの弾薬パックに入れ、それをカボッチャムの指先で摘むとエリウッド目掛けて放り投げると、エリウッドはペガサスを巧みに操りロープをキャッチした。

 この状況なら、適当にヘルメットをばら撒いて意識を集中させておけば後はエリウッドが背後からアーブラハム卿を捕縛してくれるだろう。

 俺は、ヘルメットを適当に投げ適当に兵士達を負傷させ退場させながらエリウッドの動きを見守る。


「くそっ! ええい、敵はたったの1人じゃないか! どうにかせい!」


 部下達に対し悪態をつくアーブラハム卿。

 その上空背後よりエリウッドがロープを振り回し、アーブラハム卿に狙いを定め放つ。


「な、何事!?」


 ロープにより、不意に身体を絞められたアーブラハム卿が周囲を確かめるが、エリウッドはそんなことお構いなしにロープを引き上げ、彼を宙に浮かせる。

 エリウッドはアーブラハム卿を捕縛したロープをペガサスの胴に結び付け、手を放す。


「HAHAHA。アーブラハム卿。王子監禁の罪で捕縛させてもらったYO。このまま貴公をタルティア国まで輸送するSA」


 エリウッドは陽気な声で意外ときつい事を言う。

 これが当然なのだろうが、違和感を覚えてしまうのは恐らくそのギャップからだろう。


「くっ、貴様らッ撃ち落とせ、エリウッド諸共この空飛ぶ馬を撃ち落とせ!」


 アーブラハム卿が叫ぶも、王子に逆らう事はありえないと判断したのか、彼に人望が無いのか。

 誰一人としてエリウッドに向け矢を放つものは居なかった。


「全軍撤退せよ」


 アーブラハム卿がこのままタルティア国に輸送される事を知った隊長が、冷淡な声で部下に命令を下した。


「きっ、貴様らッ! 領主を見捨てるなどっ! ワシが戻ってきたら貴様ら一人残らず極刑にしてやるからな! 覚えておけよ!」


 自らを見捨て、撤退する部下達に対しアーブラハム卿が叫び散らすが、


「FUFUFU。極刑になるのは貴公の方SA。あくまで僕の予想だけどさ。最終的には父上が決める事だからもしかしたら助かるかもNE」


 ここでエリウッドが俺にジェスチャーを送った。

 こいつを国に送るから僕は一足先に国に帰る、と。


「分かりましたわ、エリウッド様。 また後でお会い致しましょう」


 俺はエリウッドに告げると、カボッチャムに乗り帰路についた。

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