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AKUYAKU☆令嬢に転生したおっさんのAKUGYOU記1  作者: うさぎ蕎麦
1章「おっさん、交通事故で死す」
3/40

3話

「む、ぐっ、ひ、否定はしない」


 嘘を付いても仕方が無いと思った俺は、認めたくない気持ちを必死に抑えながらも苦し紛れに言葉を絞り出す。


「うふふー、ほらほらー女神様は巨乳さんですよー☆ 田中さんの大好きなきょぬーさんですよー☆」


 クリスティーネは、左手に書類を持ちながら自慢の胸を俺に向けアピールする。

 だからさっき俺は理性を保つのが限界と思ったハズ、それでも追撃するのはどういう事!?

と思うが深呼吸を一つ、冷静さを辛うじて呼び戻し彼女が左手に持つ書類に注目をする。


「なぁ、その書類はなんだ? 転生先と言う文字が見えるのだが」

「うふふふふー気付いちゃいましたぁ? 田中さーん? わたしのお胸に触りたいでしょー? えっへっへ、この書類にサインさえ頂ければお好きにして良いのですよー?」


 誰がどう考えても罠としか思えない言い回しで、俺の目の前で書類をピラピラと動かすクリスティーネだ。

 俺はその書類を奪い取り、内容を確認する。


「ふふん、素晴らしき洞察力を持ちながらも慎重が故に数多の女の子を泣かせ、遂に自分はハイ・ウィザードになりました田中さんは違いますね! この美しき可憐でびゅーてぃふるな女神クリスティーネちゃんの豊満なお胸さんを触るチャンスを目の前に冷静な態度を取れるなんて、さすがどーてーさんですね」

「だから、それは褒めているのかけなしているのかどっちだよ」

「あはは~? 褒めていますよー、はい、素晴らしくー。私のお胸さんを目の前に堕ちない男なんて田中さん位ですからー。他の男性型は書類の内容なんて確認せずに私のお胸さんに飛び付きますからー」


 確かに、クリスティーネの言う通り女神様のお胸さんだから、フツーに考えたら無我夢中で飛び付く気がする。だからと言って、書類の内容を確認しないワケにはいかないが。


「選択肢は3つで良いのか?」


 俺がさっと確認した書類は上段中段下段と3分割にされ、3つの項目が書かれていた。

 ただ、それぞれの項目で文字の大きさがバラバラになっているのは何故だろうか?


「そうですよー。冷静にじっくりと書類を確認した田中さんには、何と3つも選択肢があります。わーやったね☆ 選択肢が3倍ですよー」


 一人で拍手をし、一人ではしゃぐクリスティーネ。

 たった3倍にしかならないのか、これなら女神様のお胸を両手で堪能しておくべきだった。って違う! 何でそれ以外の選択肢を潰されなければならないのだ!


「あははー? 何の事ですか? さ、さぁ、内容を確認してくださいよ☆」


 満面の笑みを浮かべるクリスティーネ。

 しかし、目を泳がせない様にしようと必死に堪えている様に見える。


「なになに、異世界へ転生する際のオプションを選んでください?」

「はい、そうです☆」

「異世界転生する際のオプションを選ばせるだけで、人を騙そうとする? 変だな。てか、俺は異世界に転生する事が確定してる訳?」

「そ、そうですよ?」


 ここで堪えきれずにクリスティーネの目が泳ぎ出す。


 自分の事を純情ピュアで正直者と言うだけあって嘘を付く事は下手なのだろう。


「へぇ? 本当に?」


 俺は席を立ちクリスティーネの顔を覗き込み、瞳をガン見する。


「う、うぅぅぅぅぅ。じ、実は田中さんには天国に行くか地球で田中さんが死んだ2年後に新たな別の人間に転生するって選択肢もあるんですけどぉー」


 クリスティーネはしどろもどろになりながらもばつの悪そうな表情をし、上目遣いをする。

 むぐぐ、これが噂の上目遣いとやらか! これを美人で可憐でびゅーてぃふるな女神様が実行する訳でその破壊力は……ぐふっ。

 あまりの美貌を前に頭がクラクラフラフラしてしまった俺は耐え切れずにクリスティーネから離れ元居た席に座った。


「あ、ああ。確かにその2つと比べたら異世界転生の方が楽しそうだ」


 女神様の上目遣いにやられてしまった俺は、残された選択肢の存在を思わず忘れてしまう。

 いや、しかし、このまま天国に向かっても面白くも無さそうで、じゃあ日本でまた0歳からやり直すのも面倒な話だ。仮に記憶が残ったとしても、上級国民とかその辺りの家に産まれなければ今まで歩んで来た人生と何か変わる事があるとは思えない。


「ですよね? ですよねー? 天国は希望者続出で、出来るだけ人を寄こすなって言われていますし、日本と言いますかー、地球は今人口で溢れていますから、出来るだけ転生して欲しく無いのですよー。えへへ? 善良な人間を異世界に送り込むと私の査定が良くなりますからね、田中さんがそう言ってくれて万々歳ですよー」


 ウキウキしながら説明するクリスティーネだが。

 別に君の査定状況を言わなくても良いと思うし、いや、女神にも査定と言う概念があったのか。それは少しばかり驚いたが。

 しかし、強引に書類を確認した結果全く持って意味が無かったのはひっじょーに残念だ。慎重になった結果、可憐でびゅーてぃふるな女神様のお胸さんを触りそびれてしまったじゃないか、くそぅ。


「次はオプションとやらの話か?」


 悔しさにあふれた気持ちを抑えながら、言葉を紡ぎ出す。最も心の中は読まれているのだけども。


「はい、先程の書類をご覧くださいませ」


 俺は改めてさっき見た書類を眺め異世界へ持っていけるオプションの確認を始めた。

 まず、1つ目だ。

 1つ目は読み易い大きさの文字で懇切丁寧に書かれている。

 ざっくりと説明をすると、性別男の天才科学者がオプションとしてついて来る。年齢はなんとびっくり10歳だ。つまるところショタっ子と言う奴であり、田中太郎と言う35歳のおっさんからしたら3週間前に食べた晩御飯位に実にどーでも良い事である。

 仮に俺が35歳のおばさん田中花子だとするならば瞳をキラキラと輝かせ飛び付くのかもしれないが。ただ、女神が用意してくれるオプションだけあって、転生先の技術力と言うか日本の技術力ですら有り得ないレベルのスーパースペシャルでハイパーな発明品を一瞬の内に開発してくれるとの事。

 何か凄くね? いや、チートに片足突っ込んでいるって言うか、チートキャラじゃね? このショタっ子さん。そんなスーパースペックな少年をオプションとして頂いて良いのか少々悩むが、提示されている以上頂いても良いのだろう。

 続いて俺は2つ目の項目を眺める。

 物凄いデカイ文字で『これは』と書かれていた。

 完全に、枠内に収まりきらずこの項目は何が書きたかったのか一切理解出来ないのだが、こんな訳分からない文字を承認する辺り、4週間前に食べた晩御飯位にどうでも良い事だ。

 いや、4週間前に食べた晩御飯を覚えていたらそれはそれで凄いのだけども。

 3つ目、今度は逆に肉眼では見辛いレベルの小さい文字で書かれている。

 これはこれで読ませる気すら無さそうだが目をこらしてみると、女神クリスティーネどうのこうのと書かれている。仕方なく俺は拡大鏡でも無いとみる事が難しい位に小さな文字を、目を凝らし読む。


『田中太郎さんがどうしても、私が必要とおっしゃるなら仕方がありません、美人で可憐でびゅーてぃふるな女神クリスティーネちゃんが田中太郎さんと一緒に異世界での素晴らしい生活を共に致します。さぁ、今すぐクリスティーネちゃん大好きと言うのです。優しくて可愛くて正直者の女神クリスティーネちゃんが田中太郎さんの要望にお応えいたします☆』


 と書かれていた。

 つまり、割と恥ずかしい目に遭う事で女神様を転生先の世界に連れていけるみたいだ。

 俺に与えられるオプションは、ショタっ子天才科学者か女神クリスティーネの2択。

 問いただせば別の選択肢もあるかもしれないが、この2択に対し不満を抱く事は無い。

 あれ? そう言えば気になる事があるぞ?

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