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23話

 カチッ、ゴーン!

 カチッ、ぽふっ。

 カチッ、ひゅー、ぬちょっ。

 エリウッドは頭にたんこぶを作り、髪を青色の粉で塗れさせ、全身を腐った豆腐塗れにし。


「って罠の位置位覚えろや!!!!」

「ちゃんとチョークの色変えておきましたよ☆」


 エリウッドにツッコミを入れる俺に、チョークの粉の色を変えた事をドヤるサナリス。

 再び俺が頭を抱えていると、案の定勇者エリウッドは身体に塗れた腐った豆腐を食し、すぐさま腹痛用の薬を飲みキメ顔をしやがった。

 気のせいか、なんだか頭痛が痛くなって来た、もとい頭が痛くなってきた気がするのだが。


「お、エリウッドの奴俺の罠を踏んだで!」


 エリウッドが罠を踏む音が確かに聞こえた。

 はっはっは、エリウッドよ、俺が仕掛けた罠は貴様を四方八方から毒矢が襲う仕組みになっている!

 どう避けても。

 どう避け?


「なぁ、サナリス? エリウッドの関節、どうなってるってか、肉体パージしてる様に見えるんですが。いや、僕の目には量子化とかそういう類に近い何かをしてる様に見えるんですが」


 エリウッドが何だか変な事になっている事に対して思わず目が点になった訳で。

 そりゃー、四方八方から攻め立てられても分子とかそういうレベルになれば避けれますよ?

 でもさー、そんなチート染みた回避方法想定しますか? フツー。


「っておいエリウッド! お前手足の位置滅茶苦茶やんけ! 分子化して回避したのはいいけど、元に戻れないってどうなってん! ってお前そのままの格好で歩くな、手で歩くなお前はゴキブリかなにかか!」

「エリウッド様ぁ、頭にぴーですか? 大胆です☆」


 顔を赤らめるサナリス。


「っておい、なんちゅーモンをなんちゅー所に配置してんねん! せめて隠せ、堂々とすんな、ちったぁ恥じらえや!!!!」


 つーか、この五体等の配置が滅茶苦茶になった勇者どーなんねん。

 あれか? ステラはんに頼んでもう一回跡形も無く消して貰えば元に戻るんか?

 俺やって嫌やで、こんな頭にピー付けたってか全身モザイク掛けなきゃやばいような勇者と戦うのは。


「あれれ? エリウッド様元に戻っちゃいましたよ? 折角ぴーが見られたのに残念です」

「アンタどないな考えしてんねん、てか、どないな構造してんや、エリウッドは」


 なんだか、頭痛が痛みを堪えられず叫んでいる様な気になって来た。


「ったく、エリウッドの野郎、俺の罠は神回避しやがる癖にサナリスの罠は食らうってどういう事やねん」


 いや、致死性考えたら仕方ないのか。

 俺達の罠を超えたエリウッドは地下へ続く階段を見付けた。


「ステラ王女のところに行くんですかね?」

「さぁ? エリウッドはステラ王女の居場所までは分からないと思うんやけど」


 とは言え、ステラ王女が囚われている場所は王道である以上勘を頼りに動いても偶然辿り着ける可能性は十分ある。

 今エリウッドが居るエリアは、地下だけあって多数の牢獄もある。

 厳罰の為、魔族が放り込まれている部屋もあれば他の魔将軍がさらって来た人間を放り込んでいる部屋もある。


「ほう、あの牢獄に居る人間は東の国出身なのか。エリウッドの奴、東の国でも有名なのだな」

「ルチーナ様? 感心していいのですか?」

「あの人間さらったの俺じゃないし。担当してる将軍がどうにかしたらいいんだよ」


 我ながら随分といい加減な話であるが、俺がエリウッドを監視していたら偶々見つけただけの話なので上官なら兎も角、わざわざ部下に教えるのは面倒以外何者でもなかろう。


「エリウッド様、開錠魔法使ってますよ? あ、囚われている人達に転移魔法使いました」

「へぇ、腐った豆腐を食って死ぬ割には意外とやるんだな、あの勇者」

「あれ? エリウッド様、牢屋の中に入って魔法使って入り口の鍵閉めちゃいましたよ?」

「まさかあの野郎、そこで寝るんじゃないだろうな?」

「わっ、あくびして全身伸ばしましたよ!? 鎧脱いじゃいました! えへへ、このままエリウッド様、全部御脱ぎになって下さいよ」


 妄想モードに突入しだしたサナリスだ。

 幾ら何でも全裸になるとは思わないが。


「ふんどし一丁で止まったな」


 おかしい。牢屋の中で鎧脱いでふんどし一丁になる勇者に対してツッコミを入れない自分が居るのだが。


「うぅぅ、残念です」

「ってあの野郎! どこからともなく布団と枕出しやがった! お前マジで人ん家の牢獄で寝るんかい! だーーーーお前の布団吹っ飛ばしてやろうじゃねぇかあああああっ!!!!!」


 だがしかし、結局エリウッドに対してツッコミを入れてしまったのであった。

 2行前の俺よ、安心するが良い、俺はしっかりと勇者エリウッドに対しツッコミを入れた、と。


「いびき立て始めましたよ?」

「そうだな、ま、仕方ない、起きるまで待つしかあらへんわ」

 俺は、エリウッドが起きたら鳴り出すアラームを設置し、別の事を始めた。


『みっかご』


「って、なんで3日後ってテロップがでてんねん! 日付飛んだっちゅー事はアラーム鳴ってへんかいな!?」

「ルチーナ様? エリウッド様はまだお休みになられております。その牢屋に人間を捕えた魔将軍様が牢を開けようとしたのですけど、開け方が分からないって嘆いていましたよ」

「そういえばそうだったな、エリウッドを起こそうとも全く起きないとも言っていたな」

「ルチーナ様、知らんわと一蹴していましたね」

「めんどうだからな、まぁ、わざわざテロップ出したんやから、そろそろ起きるんとちゃうんか?」


 俺がメタ発言をしたところで、ピッピッピーとアラーム音が鳴りだした。

 残念ながらボケのボの字もない至って極々フツーのアラーム音が鳴りだした。

 何の捻りもない、聞いてもまったくもってつまらないアラーム音が鳴りだ。

 もうええっちゅうねん!

 3日間と言う十分過ぎる睡眠を取り無事目を覚ました勇者エリウッド。

 身に着けていたふんどしを新しいものに着替え、その様子を待っていましたと言わんばかりに瞳を輝かせ、涎を垂らしながら見るサナリス。

 その隣で野郎の着替えを見せつけられげんなりする俺。

 着替えが大事なのは分かっちゃ居るが、だからと言って見たくない物は見たくないわけで。

 どこからともなく取り出した朝食を済ませ、鎧を身に着け準備完了。

 携帯食料もっているなら腐った豆腐をわざわざ食わなくてもいいと思うのだが、それも2回も。


「ステラ王女の部屋にやってきましたね」

「お、ステラ王女を見付けたみたいだな、なんかエリウッドらしいセリフをステラ王女に言ってやがる」

「ステラ王女、ドラゴンさんと遊んでいてエリウッド様の言葉聞いてないみたいですよ?」

「何その竜の冒険ってタイトルだけど、ドラゴンが全く出てこなかったからどうしよう? とりあえずそこに出しておけば良いってノリは」

「良いじゃないですかぁ? ドラゴンさん可愛いですよ?」

「いや、可愛い可愛くないの問題じゃないっつーか、どっちかってとドラゴンはカッコイイに分類されると思うが」


 俺がサナリスに指摘している通り、ステラと仲よく遊んでいるドラゴンはカッコイイに属する。

 つーかおい、なんでドラゴン、テメーは器用にトランプなんかやってやがる!?

 しかも大富豪か? ステラ王女が出した2のカードに対してドヤ顔でジョーカー出して。

 あ、ステラ王女にスペードの3を出されたぞ? ドラゴンの奴、顔面蒼白になって口から魂抜けた顔しやがった。


「ドラゴンさん、エリウッド様に気付いたみたいですね?」

「ドラゴンの奴、すげー機嫌悪そうだな、あっ、エリウッドに向けて炎吐いたぞ?」

「分子化して避けましたよ? 再構築失敗しましたね」

「だな。ステラ王女が汚物を見るような眼をしているな、まぁ汚物なんやけど」

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