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悪役令嬢に転生したおっさんは悪役令嬢になりきれない  作者: うさぎ蕎麦
2章「おっさん、ルチーナ・ファルタジナに転生する」
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11話

 俺はエリウッド王子に対しにっこりと微笑んで見せる。


「MUMUMU。YOUもステラ嬢に負けている訳じゃないSA。これは我が国と貴族の家が関わる問題SA。YOU個人ではどうにもならない事を分かってくれ給え」


 俺の言葉に対してなんか変な返しだな。これではまるでエリウッドはステラ嬢よりも俺の方が好きと言っている様に聞こえるが。ははは、まさか、な? まさか。まさ。いや、誰も彼もが好む清楚で優しきスーパー正ヒロインだからと言って全ての人がそれを一番と思う訳ではない。今の俺見たく、金髪碧眼でどちらかと言うと攻撃性を抱くが対応は貴族令嬢そのものの丁重である、みたいなドキドキハラハラする様な女性を好む男性が居るかと言われたら必ず居る訳であり。で、エリウッド王子様は後者の方が好きであると。

 はは、はははははは。い、いや、でも婚約が成立している以上俺が狙われる心配は無さそうであり、婚約が成立しているからなさそう? 今俺が行っている作戦はその婚約を破棄する事であって。仮にそれが成功してしまった後はもしかしなくてもエリウッド王子が俺を狙ってくる可能性が見え。

 ああああああ。知らん、知らない知らないっ。細かい事なんか後でどうにでもなるんぢゃあああああ。

 ちがう、ちがう、ちがーーーーう、今のは俺が推察した仮説でしかないのぢゃ、一国の王子様が悪役令嬢なんぞに見初める訳がないのぢゃっ! これは自意識過剰のどうていやろーの妄想に過ぎぬわ! そう、そうだ、故に気にする事は何一つないのだッ!


「エリウッド王子様。一令嬢如きへのお気遣い感謝致します」

「MUMUMU。私の兄弟はお世辞にも性格が良いとは言えないNE、私個人の見解ではファルタジナ家が王家の人間と婚姻関係を結ぶ事を推奨しないNE」


 何だかエリウッド王子の返事がぶっ飛んでいる気がするが。

 けど、わざわざステラ嬢とのデート日を調べ上げてまで自分に会いに来た事を逆説的に考えれば、ファルタジナ家がエリウッド以外の王子と婚約を狙った以外の答えは浮かばないか。この王子、16歳にしては鋭いと考えるか環境相応のナルシストと考えるか。少なくとも、兄弟の性格が悪い事を知った上で俺にその旨を知らせるならば優しい王子と考えられる。分かって居ながらも、一人でも多くの貴族令嬢を支配下に置きたいと考える王子は普通に居るハズだから。


「エリウッド様! お帰りなさいませ! ステラ様! ただいま戻りました!」


 俺がエリウッド王子に対しての考察がある程度まとまった所でステラ嬢が戻って来た。

 何やら元気と言うか気合と根性に溢れた声に聞こえたが、ステラ嬢はそんな性格じゃなかった気がするが? それに加え、ステラ嬢は穴を掘る為の道具を持っている。つまり、席を外しわざわざ穴を掘る道具を持って来た訳だけど、俺が不意に乱入したとはいえ、ティータイムでくつろいでいる状況下でそれを持って来た理由がイマイチ分からない。

 ステラ嬢の行動理由が分からない、且止めなくて自分に害が発生する訳でも無さそうなので俺は彼女の行動を傍観する事にした。

 ステラ嬢は、現在居る庭園の中である程度の広さがあるエリアに移動した。

 続いて、道具の中からスコップを取り出し懸命に穴を掘りだす。

 落とし穴でも作るのだろうか? 何の為に? と思いながら、それにしてもステラ嬢の動きが凄まじく機敏と言うか人間が実行出来る速度を遥かに越えている様な気もするが。

 まさかこれが薬の効果なのだろうか?


「やりましたわ! エリウッド様!」


 しばらくして、ステラ嬢が歓喜の声を上げる。

 目の前にはステラ嬢が掘り上げた、大体6人位が腰を下ろし座れそうなスペースだ。

 これだけの穴を掘るとなると普通の人間ならば数日掛かるのではないかと思うが、本当にしばらくして、だ。人間と言う要素や物理的要因を考慮した場合有り得ない速度でステラ嬢はこの穴を完成させてしまった訳だ。完全に薬の効果以外有り得ない。薬の効果としても日本の常識を考える限り有り得ないのだが、これは神界に存在する薬である為我々人間が想像出来ない効果を発揮するのは当然の事なのだろう。

 惚れ薬がどうしてこの様な効果を持つのか疑問になる所であるが、他に要因が無い以上そう思うしか無かろう。


「Oh。ステラ嬢! 水が湧きあがっているNE!」


 エリウッドが穴の中央を指差しながら嬉しそうに言う。

 確かにこの世界軸なら湧き水一つでも貴重と言えば貴重だから当然の反応か。いや、この水からはうっすらと湯気が見える、つまり温泉と言う事か?


「さぁ、次の作業に参ります!」


 ステラ嬢は再び道具を取りに行き、戻って来て。

 今度は台車を使い大量のレンガを持って来て、それを温泉が湧いているポイント以外の穴の中に壁や地面として設置。

 続いて湧き上がり溢れる温泉を排水する溝を作り上げた。これもまた暫く待っただけで作り上げた訳である。恐るべし惚れ薬、最早何に惚れているのか理解し兼ねるのであるが。

 様々な疑問点はさておき、これにて中で腰を降ろせば肩まで浸かれそうな簡易温泉が完成した訳である。


「どうぞお入り下さいませ」


 ステラ嬢が一礼し、俺とエリウッド王子に入浴を促す。


「OH、素晴らしきステラ嬢! 早速参るのSA!」


 ステラ嬢に促されたエリウッド王子は嬉しそうに服を脱ぎ出す。

 勿論、これから温泉に入る訳だからエリウッド王子は下着も全て脱ぎ出す。

 ゲゲッ、俺は野郎のピーなんか見たくねぇぞ!

 温泉を目の前に思わずジト目をする俺であるが、いや待て、どうも視界が白く濁って来た。そうか、これは湯気、湯気の奴が俺の味方をしてくれ、男のピーなんてものを見させられずに済む訳か。うむ、湯気の奴いい仕事をするな! とこの時の俺は思っていた訳である。


「ルチーナ様、折角ですのでご一緒致しましょう」


 衣服を纏ったままの俺に対しステラ嬢が改めて誘う。

 確かに、折角の温泉だ入らないのは勿体ない。

 温泉に入る為、俺は身に付けている衣服を脱ぐ。

 湯気のお陰で視界が悪くなっているこの状況なら誰かに見られる事もあるまい、最も精神構造が男である状態で今自分の裸を見られても別に減るものじゃない以外の感想は抱かないが。

 衣服を脱ぎ終わった俺はステラ嬢が掘りあてた温泉に浸かった。

 ふぅ、温泉に浸かるなんて日本に居た時以来か。程良く熱いお湯が身に染み、血行が良くなる感じが身体の奥から伝わって来る。このまま1時間位はこの湯船に漬かっていたい気になって来る。


「エリウッド様、ルチーナ様。私も参ります」


 俺が極上の気分に浸っていると、ステラ嬢の声が聞えて来た。

 それはつまり、俺とエリウッドと同じく服を全て脱いでつまりそれは全裸と言う奴になる訳であり。あり、ありり? こここ、これは!? ステラ嬢の、発育が良いお胸さんをこの目にしかと焼き付ける絶好の機会じゃありませんかーーーーっ!!!!

 さぁ、さぁ、ステラ嬢、悪い事はしないから俺の対面に座りなさい、そしてその素晴らしいお胸さんを見せるの。

 ここまで来て俺はある事を思い出す。そう、現在この温泉は素晴らしいぐらいに湯気が発生しており視界は0に近い。つまり、エリウッドのピーを見なくて済む反面でステラ嬢のお胸さんを見る事も出来なくなってしまうのだッ!!! クソッ、クソゥ! 何が良い仕事をする湯気だこの野郎、貴様のせいでステラ嬢様の素敵な姿が見れなくなったじゃないかーーーっ!!!

 そうだ、クリスティーネならッ神界の道具ならば今目の前にある湯気を消す道具位ある筈だ!

 勢い余り非常に下らない事を考えるが、どう考えても今から家に戻りクリスティーネにおねだりした所で馬鹿にされるか、仮に入手してここに戻って来ても解散しているだろうし、つまりステラ嬢のお胸さんをじっくり堪能する事は不可能と言う事になる。

 ぐうぅぅぅぅぅ。諦めるしかないのかッ、あきらめる事しか。

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