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006_スーパーレア

誤字脱字は誤字報告してくださると、助かります。


 


 次の日もラックはゴブリンを大量に狩った。

 その次の日も……、さらに次の日も……とにかくゴブリンを狩ってガチャポイントを溜めた。


「ラック様、ゴブリンが六体です」

「了解、三体は僕がやるから、三体はお願い」

「畏まりました」


 身を低くして簡単に打ち合わせすると、ラックは走り出した。

 この数日で数百体のゴブリンを狩っているラックの体に、戦い方が身につき始めている。

 能力云々ではなく、体が戦い方や剣の使い方を覚え込んでいくのだ。しかし、それはスキルの補正に比べればわずかであった。

 木刀を振って剣の稽古をしていた時とはまるで違う緊張感の中でラックは確実に成長している。


「はっ!」


 駆け寄ってゴブリンに剣を一閃し、止まることなく別のゴブリンの首に剣を叩き込む。

 残った一体が棍棒を振り回してきたのを守りの盾で受け止めて、ゴブリンの胸に剣を突き立てる。

 一連の動作がスムーズになり、無駄な動きがなくなってきた。


 ゴルドを見ると、すでに三体のゴブリンを無力化していた。


「いい戦いでした。ラック様」

「かなりゴブリンを狩っているから、これくらいはしないとね」


 ラックはゴルドが無力化した三体のゴブリンにとどめを刺して回る。

 気づくと夕方になっていたので、ゴーストタウンに戻って、日課になったステータスの確認をする。



【氏名】 ラック・ドライゼン 【種族】 人族 【性別】 男

【天職】 ガチャマン 【レベル】 6(323/600)

【HP】 28/28 【MP】 16/16

【腕力】 11 【体力】 11 【魔力】 10 【俊敏】 12 【器用】 10

【固有スキル】 ガチャ 【ガチャポイント】 508



 HPとMPはレベルが上がると一ずつ上がっているが、腕力、体力、魔力、俊敏、器用の各能力はレベルが上がっても上昇することはないのがこの数日で分かった。

 辛い帝都の日々をふと思い出してしまい、さらにまだ帝都へいくまえの楽しかった日々を思い出す。


「アマリリス……」

「アマリリス?」


 ゴルドはラックの呟きを聞き洩らさなかった。


「昔、母上がアマリリスの花が咲き乱れる土地があると言っていたんだ」

「奥様が……」

「そうだ! ゴルド、僕はアマリリスの咲き乱れる土地へいきたい! 母上が見ることができなかったアマリリスが咲き乱れる土地へいって母上の代わりに僕が見て差しあげたいんだ」

「しかし、アマリリスは帝国には咲かぬ花ではないですか?」

「やっと、レアの十一連ガチャが回せるし、アンコモンよりもいい景品が出るレアを回したら、僕はこの地を離れようと思う」

「………」

「父上が愛したこの土地を離れるのは忍びない。だけど、僕はこの国で一生を終えたくないという気持ちもある。だからアマリリスが咲く土地へいって暮らそうと思う」


 ラックはゴルドを見つめる。

 ラックは自分はこの地を離れるが、ゴルドも自分同様好きにしていいんだぞと言っているのだ。


「某はこの命が尽きるまで、ラック様につき従うと決めております。例え地の果てだろうと地獄だろうと、どこまでもお供いたします」

「……ありがとう。ゴルド」

「して、この国を離れてどこへ向かわれますか?」

「ボドル王国にアマリリスが咲き乱れる土地があると、母上はよく仰っていたのを覚えているよ」

「なるほど、あの国は陸の孤島のような田舎の国ですから、田舎暮らしもいいでしょう。しかし、男爵位はどうされますので?」

「隠居届けを出して、ロムニス子爵の子を養子に迎えようと思うんだ」


 ロムニス子爵とは、ドライゼン男爵領の隣の土地を治めている貴族で、怪我をしたゴルドを治療してくれた家だ。

 ドライゼン男爵家とも縁の深い家でラックの祖父の妹、つまりラックの大叔母がロムニス子爵家に嫁いでいて、今の当主はその息子なのでラックとも血が繋がっている。


「僕とも血の繋がりがあるロムニス家の子供なら、ドライゼン男爵家を任せても国は文句を言わないと思うんだ」

「左様ですな。ドライゼン男爵家を潰すのはさすがに憚られますので、それがよろしいかと」


 そうと決まれば、さっそくレアの十一連ガチャを回すことに。

 ガチャを発動させるとラッキーが現れ、レアの十一連ガチャを回してくれる。

 どうやらレアのカプセルの色は青色で、青色のカプセルがボトッボトッと落ちてくる。

 そして最後の十一個目のカプセルが落ちてくる時、いつもと違い画面がキラキラと発光したと思うと緑色のカプセルが落ちてきた。


「スーパーレアが出たのか?」


 思わず声に出てしまう。

 ゴルドは夕食のスープをかき混ぜながらラックの動向に優しい眼差しを向けている。


【おめでとう。スーパーレアが出たよ!】


 一つ上のレア度であるスーパーレアが出たことに、珍しくラッキーがお祝いの言葉を言った。

 スーパーレアのカプセルが落ちてくる時に今までと違って画面が発光したり、ラッキーがおめでとうと言うことからもスーパーレアへの期待が膨らむ。

 それに、消費するガチャポイントがレアでは一回五十ポイントだが、スーパーレアだと千ポイントになる。それだけ消費ポイントが跳ね上がるのだから、スーパーレアというのはそれほど素晴らしいものだとラックは思えてならない。


 ラックは頬が緩むのを抑えられない。

 それでも逸る気持ちを抑えてまずはレアの青色のカプセルとタッチする。

 レアでも今まで出ていない初めてのレア度だから、期待してもいいはずだ。

 いつものように左下にアイコンが表示される。


【体力の種(十個セット)だよ。食べると体力がちょびっとだけ上がるし、栽培も可能だよ】


 体力の種はアンコモンでも出ていたが、レアになると十個のセットになるのかと、ラックは鼻の穴をピクピクさせて喜びを噛みしめる。

 喜びを噛みしめながら次の青色のカプセルをタッチした。


【魔力の種(十個セット)だよ。食べると魔力がちょびっとだけ上がるし、栽培も可能だよ】


 今度は魔力の種だ。ただ、ラックとゴルドは魔力を必要とする天職ではない。

 魔法を使えれば違った感想になると思うが、できれば腕力や体力、それに素早さの種が出てほしかった。


「こんなことを思うのは、贅沢なんだろうな……」


 次の青いカプセルにタッチする。


【剣王の剣だよ。この剣を持つ者はスキル片手剣とスキル片手剣技がスキルレベル七相当の腕になるよ。だけど、一日一時間しか効果は発動しないからね】


 なんというものが出たのか!

 ラックは小躍りしたい気持ちを抑え込むが、どうしても「ふふ」と口から洩れてしまう。

 そのラックの様子を見ていたゴルドは、相当いい景品が出たのだろうと暖かい目でラックを見つめる。


【守りの革鎧だよ。この守りの革鎧はとても丈夫で、金属鎧以上の防御力があるのに、とても軽いんだ】


 剣王の剣といい、この守りの革鎧といい、レアガチャはいいものが出るとラックは青色のカプセルをタッチする手が震える思いだ。


【腕力の指輪だよ。この指輪を手の指にハメていると、腕力が三十ポイント上昇するよ】


 五回目にして、腕力の指輪という腕力の値を三十ポイントも上げてくれる指輪が出てきた。

 ラックの腕力はレベルが上がっても上昇しない能力なので、腕力の種以外に能力値を上げることができなかった。それが、この腕力の指輪によって三十ポイントも上がるのだ、嬉しさと興奮で心臓が止まりそうだ。


 この後、器用の種(十個セット)、腕力の種(十個セット)、体力の種(十個セット)、素早さの種(十個セット)、宝石ルビーが出てきた。

 最後の宝石は、本当にただの宝石だが、換金すればかなりの価値になるだろう。


 そして、最後に残った緑色のカプセル。スーパーレアのカプセルだ。

 レアでもこれだけいいものが出ているのだから、スーパーレアなら卒倒するような景品が出てくるのを期待してやまない。

 ラックは恐る恐る緑色のカプセルをタッチする。レアまでにはなかった派手な演出があって、ラッキーが可愛らしいお尻をフリフリする。


【やったね、物理攻撃耐性だよ! 物理攻撃への耐性を得るスキルで、スキルレベルが高くなればなるほど、ダメージを少なくしてくれるからね】


「おおーーーっ!」


 ラックは喜びのあまり、叫んでしまった。


「ラック様!?」

「ゴルド、やったよ! 物理攻撃耐性スキルだよ!」

「おお、おめでとうございます。ラック様!」


 スーパーレアではスキルも景品として出てくる。

 さすがにスーパーレアの十一連ガチャを回すのは大変だが、ガチャポイントを溜めたくなる。


 さっそく物理攻撃耐性を覚えようとすると、目の前に緑色に輝く実物のカプセルが落ちてきた。

 ラックは危うく落とすところだったが、なんとか受け取る。


「これを開ければいいのかな?」


 カプセルは真ん中で開くようになっているので軽く捻って開けると、カプセルから光が飛び出してラックの胸の中に入っていった。


「い、今ので物理攻撃耐性のスキルを覚えたのですか?」

「ステータスを確認してみるよ。……あった。あったよ、物理攻撃耐性が僕のステータスにあったよ!」

「おめでとうございます!」


 ラックはゴルドと抱き合って喜んだ。

 防具もよいものになったし、物理攻撃耐性のスキルまで覚えた。

 ラックの生き残る可能性がぐんと上がったはずだ。


「さすがに、種(豆)を数十個も食べると、お腹がふくれるね」


 スキルを覚えた喜びをかみしめながら、食事と共に各種をゆでて食べたラックはお腹がパンパンだ。

 元々それほど多く食べないラックなので、夕食のパンを残してしまった。


 腕力の種が十個、体力の種が二十個、素早さの種が十個、器用の種が十個を食べ、魔力の種は保留カゴに入れたままにする。

 最初に比べれば能力値が倍以上になっているし、腕力にいたっては腕力の指輪の効果もあって合計で五十を超えている。

 思わず顔がにやけるが、ゴルドの能力値を知っているだけに、まだまだと気を引き締める。


「さすがはレアですな。今なら一日に百体以上のゴブリンを屠れますので、四日か遅くても五日で次のレア十一連ガチャを回せます。いい感じに能力が上げられそうです」


 ゴルドが破顔して我がことのように喜ぶ。



【氏名】 ラック・ドライゼン 【種族】 人族 【性別】 男

【天職】 ガチャマン 【レベル】 6(323/600)

【HP】 28/28 【MP】 16/16

【腕力】 21+30 【体力】 31 【魔力】 10 【俊敏】 22 【器用】 20

【固有スキル】 ガチャ 【ガチャポイント】 8

【スキル】 物理攻撃耐性1(0/100)

 装備品:守りの革鎧 鉄の片手剣(予備に剣王の剣) 守りの盾 腕力の指輪


 

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