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005_能力強化

誤字脱字は誤字報告してくださると、助かります。


 


 今日も気合を入れてゴブリンを狩る。

 大侵攻後だというのに、ゴブリンはそこかしこにいた。


「本当に大侵攻を鎮静化したんだよね?」


 聖女カトリナがいるから大丈夫だとおもうが、ベルナルドやアナスターシャだけなら不安しかない。

 賢者ローザは掴みどころのない人物で、喋ったこともほとんどないので分からないが。


「ゴブリンは繁殖力が半端なく高いので、大侵攻後に増えたのかもしれません」

「そんなに繁殖力が高いの?」

「メスゴブリンは受精してから二日で子を産み、その二日後には受精できるそうです。それに生まれたゴブリンは二日後に成体になります」

「うわー、なにそれ……」


 人間もそれだけの繁殖力と成長力があったら、ドライゼン男爵領の復興も簡単に進むはずだ。

 だが、その分、食料や物資の問題もあるだろう。


「ゴブリンは共食いもしますから、食料には困りませんぞ」

「ゴブリンは絶対に滅ばない気がするよ」

「某もそう思います」


 その日の夕方、ゴーストタウンに戻ったラックはステータスを見た。


「ガチャポイントが沢山溜まっているよ!」

「これでアンコモンの十一連ガチャが回せますな、ラック様」

「うん。ゴルドのおかげだよ! ありがとう!」


 ガチャポイントは百五十三ポイントある。

 アンコモンの十一連ガチャを回しても五十三ポイントが余る。

 今日の調子で明日もゴブリンを狩れば、明日もアンコモンの十一連ガチャが回せるだろう。


「それじゃ、アンコモンの十一連ガチャを回すね」

「はい。しかし、私にガチャの画面が見えないのは、少し残念に思いますぞ」


 こればかりは我慢してもらうしかない。

 ラックはガチャを起動させ、またラッキーが現れる。


【アンコモンの十一連ガチャだね! それじゃあ、回すよ】


 前回の時のように可愛らしくラッキーがお尻フリフリ躍る。

 十一連ガチャは、上のレア度が出る可能性がある。

 だけど、今回は十一個全部が黄色だった。つまり、レアのカプセルは出なかったのだ。


「必ず一個出るわけでもないのか……」


 あくまでも可能性があるということなので、必ず上のレア度のカプセルが出るわけではない。

 だが、アンコモンでも昨日の腕力の種という珍しいものが出る。

 また腕力の種が出れば、栽培しなくても食べて腕力を上げることができる。それだけでもありがたい。

 ラックは黄色のカプセルをタッチした。


【素早さの種だよ。食べると素早さがちょびっとだけ上がるし、栽培も可能だよ】


 腕力の種ではなく、素早さの種が出た。これも腕力の種同様にいいものだ。

 ラックは嬉しくなって、黄色のカプセルをタッチする。


【守りの盾だよ。MP(マジックポイント)を消費することでダメージを無効にするよ】


 これは嬉しい。革鎧のおかげでゴブリン相手ならかなりダメージが少なくなった。

 それが今度は盾が出て、しかもMPを消費するとはいえ、ダメージを無効化してくれるのだ。

 アンコモンという下から数えたほうが早いレア度なのに、こんなに珍しいものばかり出る。


「ガチャってすごい……」


 ラックは次は何が出るのかワクワクしながら黄色のカプセルをタッチする。


【剣豪の実だよ。食べると一日だけ剣の腕が達人になるよ】


「えっ!?」


 ラッキーの説明にラックが驚きの声をあげる。


「ラック様、大丈夫ですか?」

「あ、うん。大丈夫、でも、かなりいいものが出ているよ」

「それはようございました」


 ゴルドは我がことのように喜んだ。


 その後は、ハイポーションが三本、マナハイポーションが三本、体力の種、HPの種、HPの種、腕力の種、素早さの種、塩十キロが出てきた。

 今回のことで腕力や素早さなどの身体能力を上げる効果のある種は、一回だけではなく何度も出てくるものだと分かった。それが分かっただけでも嬉しいことだ。


「すると、腕力の種は何度も出てくると考えてよろしいのですね。嬉しい情報ですな」

「うん。これで種を食べて能力を上げることができるよ」

「現在、腕力の種が二個、素早さの種が二個、体力の種が一個、HPの種が二個を持っています。食べて能力を上げましょう」

「そうするよ」


 ラックはHPの種を一個摘まんだ。

 大豆のような形をしたどこにでもある種に見える。


「これって生でも食べられるのかな?」

「心配でしたら、ゆでましょうか」

「そうだね、ゆでて食べやすくしようかな」


 沸騰したお湯の中に大豆のような腕力の種を二個、そら豆のような素早さの種二個、小豆のような体力の種一個、枝豆のようなHPの種二個を入れる。


「そろそろよさそうですぞ」


 ゴルドが七個の種を皿に取り出して、ラックに差し出す。


「塩でもふりますか?」

「とりあえず、これで食べてみるよ」


 ラックはフォークに腕力の種を刺して、恐る恐る口に運んだ。

 食感は普通のゆでた豆。味は無味。美味しいわけではないが、不味くもない。

 咀嚼を終えて、飲み込む。


【腕力の種の効果によって、腕力値をプラス一します】

【隠しステータスの解放条件がクリアされました。以後、隠しステータスを常時表示します】


「はい?」


 いきなり視界に表れたアナウンスを見て、ラックは呆けた。


「ラック様?」

「あ、いや……なんか、隠しステータスが解放されたようだよ」

「はい? 隠しステータス?」

「僕も何か分からないから、ちょっと見てみるね」



【氏名】 ラック・ドライゼン 【種族】 人族 【性別】 男

【天職】 ガチャマン 【レベル】 3(158/300)

【HP】 23/23 【MP】 13/13

【腕力】 11 【体力】 10 【魔力】 10 【俊敏】 10 【器用】 10

【固有スキル】 ガチャ 【ガチャポイント】 53



「あ……。ステータスに腕力、体力、魔力、俊敏、器用の欄が増えているよ」


 隠しステータスを解放したことによって、これらの項目が解放されたようだ。


「あ、ゴルドも腕力の種を食べてよ。そうすれば、隠しステータスが解放されるから!」


 ラックはフォークに腕力の種を刺して、ゴルドに差し出す。


「いや、某は」

「ゴルドだって、こういうのが分かったほうがいいと思うんだ。僕はこれからの種をもらうからいいよ」

「そ、そうですか……。しからば、ごめん」


 ゴルドも腕力の種を食べると、目を剥いた。

 どうやらラック同様に隠しステータスが解放されたようだ。


「ラック様、某も隠しステータスが解放されました」

「おめでとう!」


 ラックは残った種を食べ進めた。

 すでに隠しステータスは解放されているため各能力が上がるだけだったが、そのアナウンスが出る度に喜びを体全体で表現する。



【氏名】 ラック・ドライゼン 【種族】 人族 【性別】 男

【天職】 ガチャマン 【レベル】 3(158/300)

【HP】 23/25 【MP】 13/13

【腕力】 11 【体力】 11 【魔力】 10 【俊敏】 12 【器用】 10

【固有スキル】 ガチャ 【ガチャポイント】 53



 ラックは腕力が一、体力が一、俊敏が二、そしてHPが二上昇した。

 この各能力が低いのは自分の実力を知っていることから、分かっている。

 だが、どのていど低いのかを知るために、ゴルドにステータスを聞いてみた。



【氏名】 ゴルド・シバーズ 【種族】 イヌ獣人 【性別】 男

【天職】 守護剣士 【レベル】 35(588/350000)

【HP】 485/485 【MP】 75/75

【腕力】 376 【体力】 375 【魔力】 40 【俊敏】 375 【器用】 295

【称号】 騎士

【スキル】 片手剣10(3056/100000) 片手盾10(108/100000) 片手剣技5(MAX) 守護7(765/70000) 体術8(111/80000) 気配感知5(MAX) 直感5(MAX) HP回復増5(MAX)



「何、この数値……」


 ゴルドのステータスを初めて教えてもらったが、ラックと違い過ぎて比較対象にならない。

 ラックの能力がかなり低いことだけは分かった。


「某はすでに五十を越えておりますれば、年の功にございます」

「いや、守護剣士という天職だからだと思う……。あれ?」

「どうかしましたか?」

「僕のスキルのガチャは、固有スキルで経験値の表示がないんだけど……?」

「そう言えばそうですな……。今思えば、固有スキルというのは初めて聞きましたぞ」


 二人してスキルと固有スキルについて考えたが、結論が出ることはなかった。


 

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