031_精霊王
箱庭のことは大体理解した。
・広大な面積はMP値(アイテム加増値は除外)の平方キロ。
・家の延べ床面積はMP値(アイテム加増値は除外)の平方メートルまで拡張できる。
・家の増築、改築はMPを消費することでできるが、家具などは別途用意する必要がある。
・植物を育てるのは通常よりも簡単で種や実をラッキーに渡してMPを消費することで、全てラッキーがやってくれる。
・山や湖などもMPを消費することで増設できる。
・MPを消費すれば、鍛冶工房や厩舎、牧場なども設置できる。
こんな感じで箱庭はラックの意志とMP消費で多くを設置できるのだ。
「次は召喚術を試してみたいと思う」
ラックが得たレジェンドスキルは箱庭だけではない。
召喚術も新たに得たレジェンドスキルだ。
しかも広大な箱庭内であれば、どのようなモンスターを召喚しても冒険者たちに迷惑をかけることはない。
「師匠なら最低でもドラゴン種を召喚できると思います!」
シャナクは胸の前で両手でグーを作る。
「なんであろうと、ラック様の力になるものであれば某は歓迎します」
ワクワクとした雰囲気のシャナクと違ってゴルドは冷静だ。
「それじゃ、召喚!」
ラックの前の地面に魔法陣が浮かび上がって七色の光を放つ。
体内の力が抜けていく感じがするが、これはMPが消費されている感じだ。
魔法陣がさらに光り輝き、ラックたちは眩しくて目を開けていられず閉じる。
「………」
光が収まり、MP消費も収まった。
ラックは目を開る。
ラックの目の前の魔法陣があった場所には、ふわふわと空中に浮く美少女がいた。
「ふわーーーっ。よく寝たわ。……貴方が私の契約者ね」
「え、あ、うん」
クリリッとした可愛らしい青い目、サラサラの黒い髪の毛、ラックと同じ十五歳くらいの美少女。
姿だけ見ればとても可愛らしい少女だが、この美少女は空中に浮いていて、さらにラックは見たことないが噂に聞く幽霊のように透けている。
明らかに人間ではないのが分かる。
「私は精霊王のエフェナイスよ。これからよろしくね、主様」
「「「せ、精霊王!?」」」
ラックたち三人の声が揃って、驚きの声をあげる。
「ラック様、精霊王とはまた大変なものを召喚されましたな……」
この世界では森羅万象に宿る精霊という存在が信じられている。
自然と共に生活するエルフやドワーフといった種族では、精霊と契約している者もいると聞いたことがある。
しかし、精霊が人の姿をしているとは聞いたことがないし、精霊王という存在が誰かと契約したという話は聞いたことがない。
「ワンちゃん。私はものじゃないわよ」
「こ、これは失礼仕った」
「いいわ、今回は許してあげる。でも、次はないわよ」
精霊王エフェナイスは冷ややかにゴルドを見つめ、ゴルドは背筋に冷たいものが流れる。
「すごいです! 精霊王様と契約するなんて師匠はやっぱり素晴らしい方です!」
シャナクはハーフとはいえ母親がエルフということもあり、精霊の存在を身近に感じている。
しかし、シャナク自身は精霊を見たり、精霊の声を聞いたりはできないので、精霊王と契約したラックへのリスペクトの念が今まで以上に膨れ上がる。
「うふふふ、お嬢ちゃんは分かっているわね。そういうの、好きよ」
「あ、ありがとうございます! 精霊王様!」
エフェナイスはスーッと移動し、シャナクの頭に触れる。
「お嬢ちゃんは、精霊と契約できる才能があるわ。精進するのよ」
「ほ、本当ですか!? 嬉しいです! ありがとうございます!」
シャナクが土下座しそうな勢いである。
そんなシャナクから離れて精霊王エフェナイスはラックの元に飛んでいき、ラックの頬を両手で挟む。
「主様。世界樹を育ててくれてありがとう。世界樹は世界を支える樹だから、世界樹が枯れてしまったら世界が滅ぶの」
「せ、世界が滅ぶ……」
「でも、主様がここで世界樹を育ててくれるから、安心ね」
「えーっと……。この箱庭は僕たちの世界とは別の空間にあるから、世界樹を育てても意味がないんじゃ?」
「そんなことないわ。世界樹はどこにあろうと、生まれた世界を支えるのよ」
「そ、そうなんだ……すごいね」
「うふふ、すごいのは主様よ」
精霊王エフェナイスはラックの頬にキスをする。
「わわわ、何を」
「精霊王エフェナイスの祝福よ。主様の能力を上げる効果があるわ」
「え!?」
「主様は能力表示の封印が解かれているから、効果が分かるはずよ。後でステータスを確認してみてね」
「あ、ありがとう」
精霊王エフェナイスは楽しそうに空を飛ぶとラックの元に戻ってくる。
「君のことはエフェナイス様と言えばいいのかな……?」
「主様が私に様をつけなくてもいいわ。エフェナイスと呼んでちょうだい」
「それじゃ、エフェナイスと呼ぶね」
「はい、主様」
エフェナイスは透けていることを除けば、非常に魅力的で美しい少女だ。
そのエフェナイスの笑顔はラックたちに勇気と元気を与える。
箱庭で休んだラックたちは灼熱のダンジョンの二十層に戻った。
モンスターの脅威がない箱庭でゆっくり休めたため、三人はしっかりと英気を養えただろう。
「それじゃ、先に進もうか」
「「はい!」」
ラックはサラウンディングマップを開き、二十一層へ向けて進む。
三人の前に出てくるモンスターはゴルドとシャナクが倒していく。
氾濫期のせいかモンスターの数は多いと思うが、休憩前のような密集状態ではない。
「はーっははは! 聖剣へと昇華したこのアスカロンの切れ味を思い知るがいい!」
聖剣アスカロンを手持ったゴルドのテンションが上がる。
どうやら、魔剣から聖剣へ昇華したアスカロンを使いたくてうずうずしていたようだ。
「ゴルドさんに負けません! 私だって、不退転の剣があるのです!」
こちらも勇気の剣が不退転の剣へと昇華したため、モンスターを前にしたシャナクのテンションが上がりっぱなしだ。
「某もシャナクには負けぬぞ!」
フレアドラゴンのような大物が現れない限り、二人は圧倒的な殲滅力でモンスターを狩っていく。
そんな二人の後を追いかけるようにラックが進み、二人が倒したモンスターの死体を回収していく。
二十一層、二十二層、さらに進んで苦戦することもなく二十五層へ到達した三人は、箱庭で休むことにした。
「マスター、お帰り~」
「ラッキー、ただいま」
「ラッキー殿、世話になる」
「ラッキーちゃん、またよろしくね」
「二人もゆっくりしていって~」
家の中のリビングで三人は寛ぐが、まだ家具はテーブルセットしかない。
「マスター、天使の実を収獲したよ。食べる?」
「あ、そうか。もう三日が経っているんだね」
「うん、収穫は二十個だから、また畑で育ててもいいよね」
「そんなに収獲できたんだ!? それなら三人で五個ずつ食べて、残りの五個は畑で育てようか」
「分かったよ~。MPを消費するね~」
ラックのMPがやや減る。
今のラックのMPは二万を越えているので、消費したMPなど微々たるものだ。
三人は天使の実を食べることにした。
見た目はリンゴに似ているが、サイズはイチゴくらいの大きさだ。
「お、美味しい!?」
ひと口食べたシャナクが歓喜の声を上げた。
「本当だ、こんなに美味しい果物は食べたことがないよ!」
「左様ですな。このような甘美な味は初めてですぞ」
ラックとゴルドも天使の実の美味しさに舌鼓を打つ。
【氏名】 ラック・ドライゼン 【種族】 人族 【性別】 男
【天職】 ガチャマン 【レベル】 25(109475/250000)
【HP】 101545/100044+500+1000 【MP】 101545/100044+500+1000
【腕力】 55021+300 【体力】 55031+300+500 【魔力】 55010+300+500 【俊敏】 55022+300 【器用】 55020+300
【称号】 モンスターデスメイト 【加護】 精霊王エフェナイスの祝福
【レジェンドスキル】 箱庭 召喚術
【固有スキル】 ガチャ ガチャ変換 剣聖6(5000/6000) 支援5(4500/5000) ガチャポイントアップ 【ガチャポイント】 221700
【スキル】 物理攻撃耐性1(1/100) 真贋の目7(2500/7000) 異空間庫 結界魔法6(1300/6000) 超越強化6(1200/6000) 氷魔法6(3200/6000) 状態異常無効 パーフェクトフェイク 神速6(2500/6000) パーティー共有 神聖魔法5 鍛冶5
【契約】 精霊王エフェナイス
装備品: 聖鎧ヴァルギニア 聖剣ソラスティーバ 勇者の指輪 聖騎士の指輪 賢者の指輪 聖者の指輪 名工の指輪 生命の指輪 サラウンディングマップ
【氏名】 ゴルド・シバーズ 【種族】 イヌ獣人 【性別】 男
【天職】 守護の聖騎士 【レベル】 36(76788/360000)
【HP】 57000/57000 【MP】 55000/55000
【腕力】 29030 【体力】 29530+100 【魔力】 29510 【俊敏】 29020 【器用】 28920
【称号】 ラックの騎士 ドラゴンスレイヤー 守護の聖騎士
【レジェンドスキル】 パーフェクトシールド
【固有スキル】 守護者 聖剣盾3(270/300) 聖剣盾技3(100/300)
【スキル】 気配感知5(MAX) 直感5(MAX) HP回復増5(MAX) 熱耐性5(MAX)
装備品:守護者の鎧 守護者の盾 聖剣アスカロン 持久の腕輪
【氏名】 シャナク・ルタシッダー 【種族】 ハーフ(エルフ族・人族) 【性別】 女
【天職】 勇敢なる勇者 【レベル】 22(79788/220000)
【HP】 56150/56150 【MP】 56150/56150
【腕力】 29072+30 【体力】 28572 【魔力】 28572 【俊敏】 28572 【器用】 28572
【称号】 ラックの弟子 ドラゴンスレイヤー 勇敢なる勇者
【固有スキル】 不退転 勇者の武2(10/200)
【スキル】 光魔法3 (200/300) 気合5(1200/5000)
装備品:不退転の剣 耐熱の鎧 耐熱の盾 腕力の指輪 アイテムボックス
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