023_シャナクの剣 ★
スキルを見てシャナクが努力家なのは分かっていたのだが、実際にシャナクが努力している姿を見てラックとゴルドはさもありなんと納得した。
そんなシャナクに剣を教えるゴルドは、剣系のスキルもないシャナクの鋭い剣筋に才能があると思っていた。
「シャナク、某がいいと言うまで素振りを続けろ」
「はい!」
宿屋の裏でシャナクはゴルドにしごかれている。
そのシャナクとゴルドをベンチに座って見守るラックは、日向ぼっこをしながらのんびりとした時間を過ごしている。
「ゴルドと二人だとどうしても業務連絡のような会話が多くなるから、こういう活気のあるのもいいね」
ラックは微笑みながら二人を見つめる。
「………」
ラックは暖かい日差しに包まれて、いつの間にか眠ってしまった。
再びラックが目覚めるまでにそれなりの時間があったのだが、シャナクはまだ素振りを続けていた。
「ふわあぁ~」
「お目覚めですかな、ラック様」
「あまりにも気持ちがいい日なので、寝てしまったみたいだね。どれだけ寝ていたのかな?」
「三時間ほどですかな」
「そんなにも寝ていたんだ……。って、シャナクはその間、ずーっと素振りをしていたの?」
「はい、泣き言も言わず、素振りを続けています」
普通は三時間も素振りを続けられるものではない。
だが、シャナクはひたすら素振りを続けていた。その集中力と努力に脱帽である。
しかも、その手を見るとマメが潰れて血が滲んでいる。
それでも剣を振り続けるのだから、シャナクの真剣さがうかがい知れるというものだ。
ラックは異空間庫からポーションを取り出してシャナクに与えるが、シャナクはもったいないと断るが無理やり飲ませた。
「しかし、シャナクに剣のスキルがないのが不思議なくらい、いい剣筋です」
「僕にも分かるくらいに、いい音をさせているね」
スキルと聞いてラックは思い出した。
前回のスーパーレアガチャでは、物理攻撃耐性、真贋の目、異空間庫、結界魔法などのスキルが出た。
スーパーレアガチャを回せば、剣系のスキルが出るのではないかと。
物理攻撃耐性、真贋の目、異空間庫、結界魔法のようなスキルに比べて、片手剣や片手剣術のほうがよく見かけるスキルだから、上手くいけば片手剣くらいはでそうな気がする。
都合のいいことに、今のガチャポイントはまだ一万七千以上ある。
スーパーレアの十一連ガチャを回すことができるし、三千を足せばスーパーレアの十一連ガチャを二回回せる。
とりあえず、スーパーレアの十一連ガチャを一回回す。
画面に表れたカプセルはスーパーレアを示す緑色が十個とウルトラレアを示す赤色が一個だ。
ウルトラレアが必ず出るわけではないので、ウルトラレアが出たのはかなり嬉しい。
さっそくカプセルにタッチして、景品を確認する。
スーパーレアは、剛腕の種、持久の種、持久の腕輪、魔剣アスカロン、耐熱の鎧、耐熱の盾、スキル熱耐性、スキル片手剣、スキル片手剣技、アイテムボックス。
「なんだかほしい景品が出てくる……」
持久の腕輪は、ハメていると体力が百上昇する。
魔剣アスカロンは、最初は鈍らな剣だが、血を吸うごとに切れ味が増す。
耐熱の鎧は、火と熱に耐性を持っている。
耐熱の盾は、火と熱に耐性を持っている。
スキル熱耐性は、火と熱に耐性を得るスキルを覚える。
スキル片手剣は、スキル片手剣を覚える。
スキル片手剣技は、スキル片手剣技を覚える。
アイテムボックスは、腕輪式の収納道具。容量は魔力の十倍の重量まで。
最後に残したウルトラレアのカプセルを見る。
ゆっくりと赤色のカプセルに指を近づける。
タッチ。緊張の瞬間。派手な演出とともに何かの絵が画面の左下に現れる。
【おめでとう! 固有スキル支援だよ! 仲間を支援する効果を色々発動できるからね!】
これまでの経験上、固有スキルは非常に強力だ。
ガチャも固有スキルだし、剣聖もそうだ。
つまり、支援はとても強力なスキルだと思え、ラックは心が躍る。
なんとか気持ちを落ち着かせたラックは、ゴルドとシャナクを見る。
「持久の種、持久の腕輪、魔剣アスカロン、スキル熱耐性はゴルドに使うね」
「お待ちください。剛腕の種と持久の種、それに熱耐性はラック様がお使いください」
「これは決定事項だから、文句は受けつけないよ」
「しかし……」
「はい、お終い!」
ラックは持久の種、持久の腕輪、魔剣アスカロン、スキル熱耐性をゴルドに押しつけるように渡す。
ゴルドはラックの気持ちが分かるので、目頭を熱くしながらそれを受け取った。
「シャナクは剛腕の種、耐熱の鎧、耐熱の盾、スキル片手剣、スキル片手剣技だね」
「あの……スキルを覚えることができるのですか?」
「あ、そうか、シャナクは初めて見たんだったね。これは僕のガチャっていうスキルの効果なんだけど、ランダムでスキルや装備などのアイテムを手に入れることができるんだ。内緒の話だよ」
「な、内緒ですね、分かりました! でも、私なんかがスキルをいただいてもいいのですか?」
「今回のガチャはシャナクのために回したんだから、むしろもらってもらわないと困るよ」
シャナクの目に涙が溢れてくる。
「どうしたの? 何か変なこと言ったかな?」
「いえ、私、嬉しいのです。弟子にしていただいただけでも感謝の気持ちでいっぱいなのに、師匠は私にスキルまでくださるから……。私、一生師匠についていきます!」
感無量のシャナクに剛腕の種、耐熱の鎧、耐熱の盾、スキル片手剣、スキル片手剣技を与えて、最後に考えるのはスキル火魔法とスキルアイテムボックスだ。
「支援はラック様がお使いください。それとラック様はすでに異空間庫を持っておられますので、アイテムボックスはシャナクが使うといいでしょう」
正直言うと、支援は誰にするか悩んだ。
自分でもいいが、ラックはすでに三つの固有スキルを持っているからゴルドとシャナクでもいいと思った。
「おそらく、支援は何かしらの能力に依存すると思われます。我らの中で最も能力の高いラック様が覚えるのが一番いいと判断します」
「……じゃあ、支援は僕がもらうね。でもアイテムボックスはゴルドでもいいんじゃないの?」
「そうです。私は片手剣や片手剣技をいただいていますから、兄弟子のゴルドさんがアイテムボックスを使われたほうがいいと思います」
「某はシャナクより多くのスキルを持っています。それに腕輪ですから、シャナクが使うより某が使うほうが有用だと思える時に簡単に装備を変えることができますので、最初はシャナクでいいと思います」
「分かった。アイテムボックスはシャナクに使ってもらうよ」
三人で今回の景品を分け、ラックたちは消費したガチャポイントを補充するために、モンスターを狩ろうという話になった。
モンスターを狩る話になったが、どういったモンスターがいいのか考える。
「それでしたら、灼熱のダンジョンはどうでしょうか? ここから三日ほど離れたバーニングガーデンという町に灼熱のダンジョンがあります」
「その名前からすると、熱もしくは火にまつわるダンジョンだと思うが、某とシャナクはスキルと装備があるからいいが、ラック様は熱耐性を持っておらぬからな」
「あ、大丈夫だと思うよ。僕には固有スキルの支援があるし、それに氷魔法もあるから自分を冷やすくらいはできると思うよ」
「なるほど、では、その灼熱のダンジョンにいきますか」
【氏名】 ラック・ドライゼン 【種族】 人族 【性別】 男
【天職】 ガチャマン 【レベル】 22(139475/200000)
【HP】 15542/14042+500+1000 【MP】 15542/14042+500+1000
【腕力】 7021+300 【体力】 7031+300+500 【魔力】 7010+300+500 【俊敏】 7022+300 【器用】 7020+300
【称号】 スライムデスメイト
【固有スキル】 ガチャ ガチャ変換 剣聖3(2500/3000) 支援1(0/100) 【ガチャポイント】 7193
【スキル】 物理攻撃耐性1(1/100) 真贋の目2(100/2000) 異空間庫 結界魔法1(0/100) 超越強化1(0/100) 氷魔法1(0/100) 状態異常無効 パーフェクトフェイク 神速1(0/100) パーティー共有 神聖魔法5 鍛冶5
装備品: 聖鎧ヴァルギニア 聖剣ソラスティーバ 勇者の指輪 聖騎士の指輪 賢者の指輪 聖者の指輪 名工の指輪 生命の指輪
【氏名】 ゴルド・シバーズ 【種族】 イヌ獣人 【性別】 男
【天職】 守護剣士 【レベル】 35(10788/350000)
【HP】 6000/6000 【MP】 4500/4500
【腕力】 3000 【体力】 3500+100 【魔力】 2500 【俊敏】 3000 【器用】 2900
【称号】 騎士
【スキル】 片手剣10(3156/100000) 片手盾10(1108/100000) 片手剣技5(MAX) 守護7(965/70000) 体術8(311/80000) 気配感知5(MAX) 直感5(MAX) HP回復増5(MAX) 熱耐性1(0/100)
装備品:堅牢なる鎧 堅牢なる盾 魔剣アスカロン 持久の腕輪
【氏名】 シャナク・ルタシッダー 【種族】 ハーフ(エルフ族・人族) 【性別】 女
【天職】 村人 【レベル】 2(188/200)
【HP】 3015/3015 【MP】 3015/3015
【腕力】 2009+30 【体力】 1509 【魔力】 1509 【俊敏】 1509 【器用】 1509
【スキル】 努力3(130/300) 片手剣1(0/100) 片手剣技1(0/100)
装備品:勇気の剣 耐熱の鎧 耐熱の盾 腕力の指輪 アイテムボックス
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
シャナク「ゴルドさん」
ゴルド「なんだ?」
シャナク「お手」
ゴルド「ワン! ……はっ!?」
シャナク「ゴルドさん、とっても毛並みがいいですね。その耳、モフモフしていいですか?」
ゴルド「くっ、殺せ!」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
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