０１１＿飛躍
誤字脱字は誤字報告してくださると、助かります。
ゴルドが調べたら簡単に冒険者の素性が分かった。
その際、ドライゼン男爵を殺した民衆を扇動していた数人もその冒険者の仲間としてこの町にいた。
「全員で四人。四人とも父上を殺した民衆の暴動を扇動していたんだね」
「間違いありません。この目と鼻が奴らを覚えております」
「冒険者の名前はジョイゴ、ボリス、ゴライア、ドゴス。奴らは兄弟でジョイゴが長男になります。それから、ジョイゴとボリスはミスリルランク、ゴライアとドゴスが金ランクです」
「大侵攻があった時に、四兄弟はこの町にいなかったんだよね？」
「はい。あの時期、四兄弟が一カ月近くこの町を離れていたことも確認しています」
以前から多数とはいえ、領民に後れを取るのかとゴルド自身が考えていたが、同じミスリルランクの冒険者であれば手傷を負わされても納得ができる。
しかも領民を扇動していた時の四人は、領民の姿をしていたのでミスリルランクの冒険者とは思ってもいなかったことで、どこかで油断があったのだろう。
「四兄弟をどうされますか？」
「罪は償ってもらおうと思う。だけど、なぜ父上を殺したのか、その理由が知りたい。不思議だよね、この町でゴルドに彼らのことを聞くまで、父上が死んだ理由を知ろうともしなかったのに……」
「辛いことですので……」
二人は話し合って、四兄弟に罪を償う機会を与えることにし、その際になぜドライゼン男爵を殺したのかを確認する。
ゴルドが仇討ちをしないのかと聞くが、ラックは四人を殺しても父親が生き返るわけではないと語る。
「今の僕たちはまだ力不足だ。だから、もっと強くならないといけない」
「それまで四兄弟を放置するのは癪ですが、天罰を必ず下してやりましょう！」
「そうだね。だから、明日からまたダンジョンに入って、もっともっと、もーっと強くなるよ！」
「はい！」
正直言うと、今のラックはダンジョンから帰ってきた時とは別人のように強くなっている。
だが、それではまだ足りないと、ラックは再びダンジョンに入ってガチャポイントを溜めることにした。
【氏名】 ラック・ドライゼン 【種族】 人族 【性別】 男
【天職】 ガチャマン 【レベル】 １２（１８４４／１２０００）
【ＨＰ】 １０３４／１０３４ 【ＭＰ】 １０３２／１０３２
【腕力】 ５２１＋３０ 【体力】 ５３１ 【魔力】 ５１０ 【俊敏】 ５２２ 【器用】 ５２０
【称号】 スライムキラー
【固有スキル】 ガチャ ガチャ変換 【ガチャポイント】 １１７４
【スキル】 物理攻撃耐性１（１／１００） 真贋の目１（０／１００） 異空間庫 結界魔法１（０／１００）
装備品：守りの革鎧 鉄の片手剣（予備に剣王の剣） 守りの盾 腕力の指輪
今回はスーパーレアの十一連ガチャを回すことができた。
出た景品は真贋の目、異空間庫、結界魔法、剛腕の種、持久の種、魔導の種、俊足の種、匠の種、生命の種、魔法の種。そしてウルトラレアの景品としてガチャ変換が出た。
今回は、保留カゴにいれてあった十個の魔力の種も食べて、種は全部消費した。
真贋の目は、そのものの真実を見極める目を持つというスキルで、ステータス確認、嘘看破、魔力の動きを見ることができる。
異空間庫は、異空間に保管庫を設置できるスキルで、保管庫の大きさは器用値の１００倍キログラムになる。器用値が五百を越えると時間経過は二十分の一になり、器用値が千を越えると時間が止まる。
結界魔法は、一定範囲に結界を張れるスキルだ。
剛腕の種は、腕力値を五百上昇させる。
持久の種は、耐久値を五百上昇させる。
魔導の種は、魔力値を五百上昇させる。
俊足の種は、俊敏値を五百上昇させる。
匠の種は、器用値を五百上昇させる。
生命の種は、ＨＰ値を千上昇させる。
魔法の種は、ＭＰ値を千上昇させる。
そして、ガチャ変換は、アイテムをガチャポイントに変換する固有スキルになる。
消費ガチャポイントがレアに比べると非常に多くなることで期待をしていたが、ここまですごい景品が出るとは思ってもいなかった。
すでに各能力値はゴルドを凌駕している。これでスキルが揃えばミスリルランクの冒険者でも負けることはないだろう。
スキルを得るためにラックは再びダンジョンに入ってガチャポイントを溜める必要がある。
幸い、四兄弟はこの町の生まれで、この町を拠点にしてダンジョンを踏破するまでは、護衛依頼で一時的に他の町にいくことはあっても、他の町へ移住することはないだろう。
「準備はしっかりしよう。時間ならいくらでもあるのだから」
この頃はまだ神降ろしがなかったため、バーンガイル帝国はラックのことを探していない。
まだ魔王は復活していないのだ。
今のラックは異空間庫があることで、多くの荷物を大量に収納できるようになった。
大量の食料と水を異空間庫に収納して、ダンジョンに入っていく。
今回は二層ではなく四層の湖を目指した。
別にスライムに拘る必要はないが、四層の湖には青色のスライム以外に、赤色、黄色、緑色などの別のスライムが生息していて、二層の湖よりも多くのスライムがいるという情報を得たからだ。
今のラックの能力値を考えると、スライムに限らず殲滅速度はかなり速いだろう。
それを考えると、大量のモンスターが密集していてくれたほうがいい。
その条件を満たしているのがスライムの生息地になっている湖なのだ。
移動に時間はかかるが、能力値が大幅に向上したことで走って移動しても以前のように疲れなくなった。
逆にゴルドのほうが息切れを起こすほどである。
「ステータスの各能力値が上がったのは理解できました。ラック様が強くなられたのは嬉しいのですが、これはこれで悲しい事実ですな……」
どかりと地面に座り込んだゴルドは、息を切らせながら苦笑いをする。
だが、ゴルドが息を切らせてまで急いできた甲斐があって、目の前の湖の畔に多くのスライムが見える。
「僕はスライムを狩るから、ゴルドは休んでいて」
「いえ、見ているだけですから、お供します」
ゴルドは「よっこらしょ」と掛け声を発して立ち上がる。
大丈夫かなと思いながら、あまり年寄扱いしてもゴルドも気分が悪いだろうと思ってラックはそれ以上何も言わない。
剣を抜いたラックの視線の先には、青色だけではなく赤色、黄色、緑色と色とりどりのスライムがいる。
青色以外のスライムは、何かしらの攻撃手段があって青色よりも危険だ。
赤色のスライムは溶解液を飛ばしてきて、黄色のスライムは麻痺毒を飛ばしてくる。緑色のスライムは致死毒を飛ばしてくる。
どのスライムも半径一メートルていどの射程だが、そういった攻撃を受けると危険なので注意が必要である。
「一メートルです。射程に気をつけてください」
「了解」
沢山いるスライムの半分は青色だ。残りの半分は三色のスライムが均等にいる。
ラックは地面を蹴って一気に赤色のスライムに接近して突きを放つと、赤色スライムはパシャッと破裂して消滅した。
そこで一度距離をとってステータスを確認すると、赤色スライムから得られたガチャポイントは三ポイントだった。
「青色より一ポイント多い！ 倒すのは今までと同じ一撃だし、ポイントが多いのはありがたい！」
同じように黄色と緑色のスライムも一気に近づいて倒してガチャポイントを確認したら、赤色と同じ三ポイントだった。
「よし、一気にいくぞ！」
ラックは上昇した能力を発揮して、スライムの攻撃を受けない一撃必殺の戦いを繰り広げた。いや、これはもはや戦いではないく、単なる虐殺である。
スライム一体を倒すのに一秒もかからない大量虐殺を繰り広げるラックの通った跡には、スライムはいない。
「ラック様！ すでに五百体を倒しています！ そろそろ休憩をされてはいかがでしょうか！」
ラックがスライムの虐殺に集中していたため、ゴルドは大声でラックを止める始末である。
そのゴルドが背負っている大きめの背負い袋がパンパンに膨れ上がっていて、その中に五百体分のスライムの魔石が収められている。
ゴルドはラックが倒していくスライムの魔石を拾うだけで大変だ。
「え、もうそんなに？ 全然気づかなかった……」
ゴルドの勧めで休憩をするが、能力が上がっただけではなくハイになっているためか全く疲れを感じていない。
「明らかに異常なレベルでスライムを狩っていますぞ。ラック様」
「たしかにまだ半日も狩っていないのに、五百体も狩っているからね……」
「ガチャポイントはどのくらい溜まりましたか？」
「ちょっと待って……え？」
ステータスを確認したラックは目を剥いた。
「どうされました？」
「えーっと……八千五百近くあるのだけど……」
「……どうやら特殊個体を倒していたようですな」
「あぁ、そうか……。あまりにも多いからびっくりしちゃった。あははは」
結局、その日は特殊個体三体を含めて合計で千二百体ものスライムを倒したラックは、大量のガチャポイントを得たのであった。
【氏名】 ラック・ドライゼン 【種族】 人族 【性別】 男
【天職】 ガチャマン 【レベル】 １５（１０６４４／１５０００）
【ＨＰ】 １０３７／１０３７ 【ＭＰ】 １０３５／１０３５
【腕力】 ５２１＋３０ 【体力】 ５３１ 【魔力】 ５１０ 【俊敏】 ５２２ 【器用】 ５２０
【称号】 スライムマッサカー
【固有スキル】 ガチャ ガチャ変換 【ガチャポイント】 １３１７４
【スキル】 物理攻撃耐性１（１／１００） 真贋の目１（０／１００） 異空間庫 結界魔法１（０／１００）
装備品：守りの革鎧 鉄の片手剣（予備に剣王の剣） 守りの盾 腕力の指輪
面白かったら評価してやってください。
☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★
