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07 料理をするおじさん

 七話


 ごとごとごと…とキッチンの方で鍋が揺れる音。


 髭を生やした髪もしゃもしゃのおじさんが、

 おたま片手に味見するその姿は、中々にシュールである。


 自分ではよく否定したがるものの、まあどちらかといえば、ぎりぎり、イケメンの部類に入るだろう。多少渋めの。


 おかあさんが、男の人は年取ってもあんま

 変わらないからいいなぁ〜っと言っていたが、たしかに5年前くらいから一切変わっていない気がする。

 いや、髭が少し伸びただろうか。


 痩せ細ってるわけではないけど、むきむきでもない、どこにでもいるおじさんよりも少しがっちりしているという、絶妙に微妙な容姿。

 身長は多分176cmくらいと言っていたか。

 普通。平均より少し高いことが、さらに普通感を強めている。


 トントントン。包丁で野菜を切るその手さばきは見事なものだ。

 私を預かるようになってから料理を始めてくれたと言うが、その佇まいはすっかり板についていた。


 ちなみに私は今、リビングで寝そべってスマホゲームをしている。

 本当に申し訳ない。

 そもそもリビングに布団が敷かれていること自体がおかしいのだ。

 まあ匠と私が寝るようにしかれているものだけど。

 …………いや、もちろんそう言うことが夜な夜な行われたなんて匠即通報即逮捕級の話はない。

 無論布団も二枚だ。


 書斎の読書スペースは寝るには狭いから匠はいつもリビングで寝ているのだが、週末は私も、というわけだ。

 隣で31歳と15歳が寝るとはそこそこやばそうな気がするが、そこに関して匠は仙人だから安心している。


 ……まあ、ここ最近は私も女子高生になり、少しは緊張し出しているのだけど。


 などと考えながら。

 布団の上で前転をしたり、ゲームをしたり、クッションを投げて遊んだり、十数分。


「まだ〜〜?」

「まだだ」

「全く使えないやつだなぁ〜」


 あれ、反応がない。


 ちらりとキッチンの方を見ると、用意されていたどんぶり皿が二つから一つに減っていた。


「ごめんて、ごめんだから気づかないことするのやめて」

「あと5分くらいだ」

「え?」

「料理」


 すんすん。

 たしかにいい匂いがする。


「大人しく待ってろ12歳児」


 7歳児から少し増えている。ちょっとは私のことを認めてくれたようだ。


「へぇーい、大人しく待ってまーす」


 さてさて、楽しみに待っておこう。


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