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爆縮と体温の機知(3)

キッチンで生きている

君の傷を見ても

何も感じなかった

僕には関係が無いことだからだ

そして

僕と君の関係にも

関係が無いことだからだ

君の傷が膿んでも

僕にとっては興味が無い

どうこう出来る物でも無く

何も分からないままで

出来ることは無い

一緒に考えている風のことを

二人でやれたとしても

現実世界に

それらの物事は関係無いし

改善もしないのだ

心持ちが良くなって

また、それに立ち向かえと

背中を押したとしても

何も変えることは出来ない

心情が登ったり下がったりを

繰り返して行くことは

相手に依存する頻度を上げる

その可能性がある

君だけのことは

君だけの判断で

切り抜けなければ

意味など無いのだ


そんなことよりも

明日、何を食べるかを

考える方が重要で

どれくらい

二人で楽しめるかの方が重要である

外食を選んだ際に

お店選びを失敗してしまうような

イレギュラー的な楽しさを

二人で感じられるかの方が

これからの時間には必要なことである

君が君のことで

泣き崩れた日の次の日に

僕が会社を休むのは

それが必要だと考えるからで

無垢に親戚を亡くならせながら

無駄に休んでいる訳では無く

君を何処かへ

無理矢理に

引っ張って行くような話でも無い

君のお腹空いたの次の一言を

少しだけ融通が効くように

お財布と相談しながら

できるだけ願いが叶うように

そして

お腹いっぱいという顔を

僕に向けられるように

準備をしているだけなのだ

君は社内祝日が多いと言うが

裏では

そのような形になっている

僕のことは僕が解決するのだから

君には全く関係の無い話である


お腹空いた、と聴こえてくると

たらこパスタが食べたい

寝室から声が聞こえてくる

何故だか、君は

一番始めにメニューを口にする

何回も聞いてきたから

メニューである頻度の方が高い

七割は、そうである

パタパタというスリッパ音は

しっかりとリビングにやって来た

もう一度、同じ物を言うだろうか

歩いている間に

口の中が変わる場合がある

五割は、そうである

ふわっとした

挨拶に近いハグがあると

パスタ、食べたいと

君は言った

今日は、乗っていた物が

消えるタイプの返答である

二割は、そうである

丼物の時は大変だった

居間食か、外食か

二択を出すと居間食だった

どの程度の心情だったか

これで分かる

玄関を通過するか、どうかで

人間の意識は違っている

君なら、特にそうだろう

だが、それ以上は

僕にとって

あずか)り知らない物である

パスタの味を尋ねれば

たらこ、との返事を貰った

ふりだしに戻る

三割は、そうである

その「フライ返事」が

上がった瞬間に冷蔵庫を覗いた

ちゃんと落下点であり

キャッチすることが出来た


料理の間は

香りがする度に

君は合いの手を入れる

「美味しい匂いがする」

テレビを見ていても

スマホでゲームをしていても

必ず反応してくれる

素直でありながら

作り手に配慮していると思う

自分の行動で変化している事柄を

良いことだと

一緒に楽しんでいるのだから

当然である

それが素直に出来ているのは

君が何かを知っているからだろうか

ただ、腹を空かせているからだろうか

白ワインとバターで

烏賊の塩辛を軽く炒めた

アクセントとして

たらこの側に盛り付ける

君の目の前へ置くと

いただきます、が大きかった

甘くないアイスティーを

コップに注ぎに行く

たまに、こっちを見ながら

もぐもぐと口を動かしている

コップを置くと

直ぐに手を伸ばして

一口、ごくりと飲んだ

ふぅっと息を吐くと

また、食べ始める

刻み海苔を追加したり

粉チーズで味に変化をつけたり

君は、自由に食べる

少しずつ生き返っていくみたいで

僕は、それを見ながら

食べるのが楽しい

たった三十分の食卓である

これがあることが

二人には必要なのだ

誰が何かを言おうとも

それは絶対であり

第三者には関係の無い話である

君は、美味しかったと笑った

いつもの顔である

僕は、その瞬間のいつもの顔が

頗る、お気に入りなのだ



















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― 新着の感想 ―
[良い点] キッチンで生きているてん。 [気になる点] コップを置くと。 [一言] 二人には必要なのだ。
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