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ひとりぼっちの百物語  作者: 夏野篠虫
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眠い車内

16


 部活帰りのバスはいつも眠くなる。


 他の客も多くないから静かだし、微妙な道路の段差から来る車体の振動が、どうも疲れた体には心地よくて、降りるバス停を乗り過ごすことも少なくない。


 友人は先に降りてしまうから、1人だと余計に眠くなる……



13


……少し眠っていた。

 焦って目覚めると、車内の案内板は僕の降りるバス停よりまだまだ前だった。


 安心したらまた眠気がやってきた。


 窓には沈みゆく夕日が写っていた。




9


……また目が覚めた。


 案内板を確認するが、まだ余裕はありそうだ。


 我が家の最寄りに近づくにつれてバスは街から遠ざかり、客も減ってくる。


 外はすっかり闇で包まれ、街灯の白い光が冷たく道を照らしている。



 より一層眠るのに相応しい環境になって、僕は三度微睡みに落ちていった。




5




2




……身体がそろそろだと感じ取ったのか、意識が戻ってきた。


 そしたら案内板はたしかに最寄りの3つ前を示していた。



 気づけば車内は僕以外の乗客がおらず、がらんとした空間になっていた。



 15分くらい時間があるから家に着くまで最後の一眠りをしようと目を閉じた……





1



……思いのほか深い眠りをしてしまい、慌てて飛び起きた。


 バス停を寝過ごしたかもしれない。


 すぐ案内板を確認したが、まだ1つ手前のバス停が表示されていた。


 安堵の息をついて、大きく伸びをした。


 さすがにもう寝るのはやめておこう。


 暗い窓の外に目を配りながら到着を待った。





――どれだけ待てども最寄りに着かない。


 それどころかその1つ前のバス停にすら到着しない。


 いつもならとっくに家に帰っている時間だ。バスが走っている道も同じのはずなのに。



 不自然、というより不安になった僕は運転手に確認しようと席を立った。


「あの、すみません……」

 運転手に声を掛けた。



 運転席には誰も座ってなかった。



「え、」

 その直後にバスが急停止した。


 傍の手すりを掴んで衝撃に耐えた。



 窓から外を見たが、まだ最寄りではないようだ。



 扉も開かないし、助けを呼ぼうにもスマホの電波が通じない。


 どうしていいのか分からず近くの座席に腰を下ろした。



 パ…パッ、パッーーー



 不調気味にけたたましく鳴ったのは扉が開く警告音。


 前と中の扉が全開になった。



 しかし誰も入ってはこない。




42




 外に出ようかと思ったが、どこかも分からない場所に降りるのも怖かった。



 僕は不気味な夢を見ているだけなんだと自分に言い聞かせ、目をつぶって早く覚める様に祈り続けた。





「ちょっと君、ここで降りるんじゃないの?」

 顔を上げると見慣れた運転手が僕の方を揺すっていた。


「ゆめ……?」


 案内板は僕の最寄りを表示していた。


「す、すみません! ありがとうございます!」

 僕は急いで定期を出してバスを降りた。



41



 何度も寝て起きてを繰り返したから、おかしな夢を見たのかもと思った。



 僕を追い抜いて次の停留所に走っていく客のいないバス。




 その車内には何故かたくさんの乗客がいるような影が見えた。





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