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ひとりぼっちの百物語  作者: 夏野篠虫
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10月の熱帯夜

 その年の10月は残暑厳しい季節だった。


私は夜中の自室でエアコンを使うほどでもないと、扇風機と窓を網戸にして就寝した。それだけだと効果が薄いから風通りを良くするためにドアも開けていた。


 でも、弛んだぬるい風しか部屋を通り抜けない。熱と湿気が天井に蓄積し、ロフトで寝る私はあまりの寝苦しさで寝付けなかった。

このまま布団で横になっていてもどうしようもない。腹を括って一度体を起こした。


足の先、窓から月とコンビニの明かりが差し込む部屋。瞼の裏に適応した目にはそれでも少しまぶしく感じた。


 私は手探りで枕元のスマホを探した。そのまま電源を入れる。まばゆい人工光は開いた瞳孔を一瞬で閉じさせた。


目が慣れるまで瞬きを何度かしてから適当に動画サイトを立ち上げた。オススメ欄から動画を選ぶ。私の顔を照らす画面にくだらない暇つぶしが流れた。


この時の顔を他人が見たら感情を無くした様に感じるだろう。動画が終わっても次々と他のを再生していった。



無意識にスマホに注がれる視線。


けれど動画と動画の間に、急にスキップ不可の広告が流れるとイラつく。

見たくもなかった私は、自然と視線を左にずらした。



青白く染まる室内。視線の先、私の対角の位置には全開のドアがある。


真っ暗な廊下を切り取るその長方形の左上から、青黒い坊主頭の男が常人の3倍は大きな瞳をこちらへ向けていた。



何故か顔の鼻から下は千切れていた。



状況を飲み込めず声も出せない私に、男は「ヒィュー、ヒギューヒュー」と存在しない喉を鳴らしていた。


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