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あたしが大黒柱  作者: 七瀬渚
プロローグ
1/63

ウェルカムスピーチ〜態度デカくてわりぃな!〜


 昔から喧嘩っ早くて高校のときには停学寸前という程の騒ぎを起こしたこともありました。勉強はそこそこ出来る自信があったんですけどね、だからあぐらをかいてたっていうのもあって、夜遊びしたり校則破ったり……まぁアレです。元ヤンってやつですよ。


 男を泣かしちまうことだって少なくなかった。そんぐらい勝気でしたからね、社会へ出てから改めるのはなかなか大変でした。

 だけど根性だけは誰にも負けないと思ってた訳で、あたしは持ち前の要領の良さも生かしてそれなりに昇進もしてきたんですよ。


 婚期は間違いなく逃すだろうって、同僚たちからはよく笑われてましたわ。あたしも自分が献身的な主婦になる姿なんて想像できませんでしたねぇ。



 しかし聞いて驚いて下さい?



 こんなあたしにも大切な人が出来たんです! なんとこうしてね、めでたく結婚まで漕ぎ着けたんですよ。いや〜、人生わかりませんねぇ。



 彼は今まで付き合ってきたどのタイプとも大きく違っていました。


 まず年下。六つ離れています。年上なら十歳違いでも二十歳違いでもイケる! とか思ってたんですけど、まさかこっちとはね。何も言わなきゃ弟にしか見えないってさ。


 あと性格。こいつメチャクチャ甘えん坊だ。その上よく泣く。昔のあたしだったら鉄拳食らわしてたね。


 見た目は色白で華奢。あんま食べないんですわ、胃腸弱くてね。強風が吹いたらヒラヒラ〜って飛ばされやしないかと心配なくらい。



 まぁこれ聞いただけでもあたしとは正反対だとわかりますでしょう? あたしもこんな男は初めて。

 そんな中でも一番、自分とかけ離れているのが……



 夫はな、よくイヤーマフで耳を守ってるんだ。苦手な音に怯えているんだ。これをしてないとつらすぎて泣いちまうときもあるんだよ。


 夫はな、外で働けなかったんだ。音が怖いっていうのもあったし、人の顔を見るのも怖いらしい。職務経歴書なんて書かせたら1枚じゃ足りないだろうよ。それくらい何処にいっても適応出来なかった。



 夫はな。



 ほとんど喋れなかったんだ。調子の悪いときは自分の声さえうるさく感じるんだって。


 だけどパッと見はちょっと貧弱なくらいであとはフツ〜の男なのさ。



 あたしは誰よりもこいつを知りたいと思った。

 だから家族になって、あたしが大黒柱になるって決めた。


 それヒモじゃん! って言った奴……あはは、そういや過去にいたな。



 ……冗談じゃねぇぞ、あぁん?



 あたしがどんっだけこいつに支えられているか教えてやろうか……いえ、失礼。お教え致しましょう。

 しばしお付き合いの程、宜しくお願い致します。


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