第六話 テーブル
動き出す歯車、国家の均衡が崩れ出す。
大国の一つから独立した国家。バジリスク公国。
その時周辺国の国々は、バジリスク公国の独立は不可能と思っていた。
だが、神聖ルートヒ帝国軍の撤退、経済の圧迫。本軍の出陣といった、小国に手を焼く大国の姿は、各国に取って格好の的であった。
バジリスク公国に手を貸し、神聖ルートヒ帝国に経済的、軍事的損害を与える三段を考えていた。
現在このユーロ大陸に存在する大国は、5カ国、神聖ルートヒ帝国、フレン王国、イセル連合、オースタイン帝国である。
その内のフレン王国がバジリスク公国への歩み寄りを見せた。
バジリスク公国とは隣国であり、エモット・バジリスクとは面識もあった。
フレン王国の王、トースタ・エルファンは彼に対し一定の信頼を持っていた。
彼の父がどの様な人物かを知っているからだ。
その息子の顔や性格、喋り方までトースタは確認した。
瓜二つである事が分かった。
トースタはここまで似るものなのだろうと、思いエモットをエモットの父ど同じ目で見ていた。
エモットがフレン王国を訪れた際、エモット・バジリスクがトースタ王に対し取引を持ちかけた。
あれには、驚かされた。
「神聖ルートヒ帝国から独立しテーブルに着く。」
私は、驚かされた。
神聖ルートヒ帝国は、軍事大国である事が有名だ。歩兵の数は、我々フレン王国の2倍だ。
そして取引の内容とは、神聖ルートヒ帝国の攻撃を耐えて見せ、神聖ルートヒ帝国の威信を瓦解させる。
それが今、現在起こった。
大国が大国に対し介入する行為は、下手をすれば対戦になる。
だが、バジリスク公とフレン王国の関係は親戚の様なものであり、バジリスク公国の市民を保護するという名目もなりたつ。
ある程度の損害は、覚悟しなければならないが神聖ルートヒ帝国を大国の座から降ろせるかもしれない。
フレン王国は、バジリスク公国に対し、武器、資金面で出来る限りの支援を決定した。義勇軍の派遣も決定した。
そして、神聖ルートヒ帝国は経済、内政面において大打撃を受け、ある地方においては政府に不満のある民衆が暴動を起こしているとの情報もある。
バジリスク公国は、独立を守り神聖ルートヒ帝国との和平も決定した。
だが。
平和とはならなかった。
大国の弱体化は、ユーロ大陸の均衡を崩壊させた。
神聖ルートヒ帝国の支配地域は、次々独立していき、各国は新たに開いた大国の座を、静かに狙っていた。
バジリスク公国は、和平した際に一部神聖ルートヒ帝国領を割譲させたが、戦争で受けた傷は残り、復興と経済の伸びしろが著しくなかった。
治安もまだ落ち着いてはいない事から、治安維持費にそれなりの費用がかかっているのだ。
バジリスク公国の目指す終着点は、平和の象徴である事。
だが大国が目を光らせ、帝国主義色が強い世界でバジリスク公国は生き残れるのか?
それに対し私は、記録する。
生き様を。