第五話 役者
エモット)平和な世界
民衆)敵はルートヒ帝国!
軍人)敵は権力者!
貴族)敵は自分以外!
エモット)\(^o^)/
「実は今回の戦い、確かに勝ちました。が、神聖ルートヒ帝国に大打撃は与えられていないんですよ。」
「あぁ」
パリストンは、レバールベルトの言葉に確信を持っていた。
パリストンも首都にて、神聖ルートヒ帝国軍2万を打ち破ったとしても、今度は神聖ルートヒ帝国の本軍が来るのではとう意見があるからだ。
私は今の神聖ルートヒ帝国軍は、植民地から動員された兵士ではと考えています。神聖ルートヒ帝国軍の魔道士の数が見えただけでも十名、少なすぎでした。
レバールの言葉にパリストンは同調した。
パリストンの知っている情報とレバールの話す事は、現実味があるからだ。
全線で戦っていたからだろう。真実味がある。
バークの豚とは、大違いだ。
「そうか、私はこれから首都に戻るが何か伝えて欲しいことはあるか?」
「でしたら一つお願いがございます。」
パリストンは、ペンと紙を取り出し、レバールの言葉を書いた。
エントラント城の兵士の増加。
目的、防衛の強化。
数1000〜10000
「分かったよ。伝えておく。」
パリストンは、笑顔をレバールに向けた。
「ありがとうございます!
バジリスク公国の為頑張らせていただきます!」
そういうとパリストンは、首都へ帰還する為、レバールと別れた。
「あの様な愛国者がいるとはな。素晴らしい。」
パリストンと別れた後レバールベルトの下へ一人の部下が駆け寄った。
「レバールベルト副副指揮、良かったのですか?」
部下が少し笑いながら問いかけた。
「嘘はいっていない。国の為頑張らせてもらうよ」
レバールベルトの表情は、笑ってはいるが、目が笑ってはいなかった。
「あの豚が貴族であるなら、国は終わりだよ。」
レバールベルトは、バークに対し不快感があるらしい。
パリストンの比では無いだろう。
バジリスク公国、諜報部本部。
「A1からの情報が入りました。神聖ルートヒ帝国約23万の軍勢をこちらに差し向けるそうです。軍の編成に関してはまだ情報が入ってはおりません。」
諜報部の一人が冷静にそれを諜報部のトップらしき人物に話すと、バジリスク公宛に手紙を書き始めた。
その表情は、青かった。
「対処できるのか?バジリスク公国に?」
手紙を書いている最中に出てしまった言葉。
流石に不安は拭えなかった。
バジリスク城 大庭
「....勝ったかな..。いくら来るかな?まぁいいか。」
エモット・バジリスクに焦りは感じられなかった。
大庭の椅子に腰掛けくつろいでいた。
いや
焦りはあるだろうが、焦らない様にしているだけだ。
上手くいかなければ、我々が滅ぶ。独立など夢で終わる。
私が国の指導者である限りは、この国を安定に導く。
そう誓ったのだ。
エモット・バジリスクは不安と葛藤し目を閉じた。
エモット・バジリスクという人物は、本来臆病な人物である。
だが、彼にもプライドがあった。
公爵としてのプライドが。
プライドが彼の本来の人格を殺していた。彼は自分がわからなくなっていた。
指導者としての自分と公爵としての自分。そしてエモット・バジリスクとしての自分。
彼は涙を流し浅い眠りについた。