社長の帰還、ただし威厳はありません
なんか今回長いです。
ちょっと無理やり印象を変えたんで違和感を感じるかもしれませんがご愛嬌ってことで・・・。^^;
ってか誰か感想とか評価とかして〜♪☆(*^o^)乂(^-^*)☆ !!!
読んでくれてる人が本当にいるのかとても不安になる今日この頃。\(;゜∇゜)/☆
第5話
『社長の帰還、ただし威厳はありません』
俺と玲が話しに花を咲かせてはや1時間
未だ清は現れず、前話に続き心地良い談笑を楽しんでいた。
その時
ジリリリリリーンッ、ジリリリリリーンッ!
到底社長室には相応しくない黒電話の音が部屋に響いた。
「あれ?
フロントから連絡みたい、一体どうしたのかな?」
玲はそうつぶやきながら受話器を取る。
俺は玲が電話を取る様子を見て、微笑ましく思いながら聞き耳を立てたのだった。
尤も、俺の能力にとって造作もないことである。
皆は知っているだろうか?
音というものは空気を伝わる振動であるということを。
そして俺の能力は空間の転移(当面は他の能力を出すつもりはない為)、音の伝わる空間そのものを自身の可聴範囲まで転移させることにより遠距離の音をも聞き取ることを可能にするのである。
ココからは我が能力で得た内容を玲視点でお楽しみいただこう。
〜玲side〜
ジリリリリリーンッ、ジリリリリリーンッ!
隆と話に花を咲かせる最中、突然フロントからの電話が鳴り出した。
ふとベッドのそばの電話を見やる。
ちなみにこの電話、何故かお父様が気に入ったとかいって買ってきて以来ずっとこの黒電話を使っている。
正直私はこの黒電話の良さがわからず、この部屋からも浮いているためいつか取り替えてやる、と企んでいる。
尤も、何故か実行に移そうとするとお父様に感づかれてしまうのだが。
どうもお父様の能力が関係しているらしいのだけれど、未だにそれが何なのかわからずにいる。
隆ならばあるいはお父様の能力を知ることが出来るのだろうか。
「あれ?
フロントから連絡みたい、一体どうしたのかな?」
そう呟きながら私は未だに鳴り続けている黒電話へと歩いていった。
途中、隆が私を見て微笑んだと思ったのだけど、その次の瞬間には目をつぶってしまったので真実はわからない。
というか、男の人と2人きりでココまで長くいたのは初めてだ。
でも、まったく不快感は現れなかった。
学校では2人きりでないにもかかわらず強烈な不快感を感じるのに・・・。
「はい、なにか?」
私は受話器をとりそう言った。
口調が固くなるのは初対面の人間、気に入らない人間と対するときだ。
どうしても皮を被ってしまう。
尤も、それをつけない素の自分を知っているのは家族を合わせても片手で数えることが出来る。
どうやら私は軽い対人恐怖症のようなものなのかもしれない。
尤も、恐怖では無く不快感しか沸いてこないが。
『はい、どうやら会議が終わったようです。
もうすぐそちらへ社長が行かれるようですのでとりあえずお知らせしておこうかと思いまして。
そちらに社長の知人の方がいらっしゃるはずなんですが、彼に会議の終了時間を聞かれましたので。』
「そう、ありがとう
私から伝えておくわ。」
『では、お願いいたします、玲様。
用件はそれだけです、では失礼いたします。』
用件を必要なだけ確実に素早く伝える。
私があまり人と話すのを好かないと知っての反応だ。
こういうときやはり私は社長令嬢なんだな、と実感する
・・・尤も、そうするように教えたのは私なんだけど。
そんなことを考えながら私は隆の元へと戻っていくのだった。
自身でも戻っていく、という表現に戸惑いながら・・・。
〜玲side end〜
ふぅ、流石に人の話を盗み聞きするようであまり気分のいいものじゃないな・・・。
今後気をつけよう。
俺はそう思いながら、受話器を置き、こちらへと向かってくる玲へと微笑みかけるのだった。
「どうも会議が終わったみたい。
すぐお父様が来るらしいから、準備・・・するものはないね。
くつろぎながら待ってましょう。」
俺の目の前のイスに座ってすぐ、玲は俺の目を見ながらそう言った。
・・・さっきから気になってたんだが玲は驚くほどに純粋だ。
そのあまりの純粋さに思わず心配してしまうのは仕方が無いことだろう。
どうも純粋故に、俺をテストした時のように気を悪くした相手には自らの感情をぶつけるみたいだし・・・。
「では、そうさせて頂きましょう。
なんでしたら、紅茶でも入れさせて頂きますが?
どういたしましょう、お嬢様?」
そう俺は口調を正しながら言った。
俺の中では軽いジョークのつもりだったのだが、玲の顔が影る。
ん?
俺はいらないことをしたか?
ここは『そうね、ではアッサムを。』とかの反しを期待したんだが。
「どうした?
軽いジョークのつもりだったのだが。」
俺はあわてて口調を戻しそう言う。
途端、玲は嬉しそうな笑顔を浮かべ俺を見た。
むぅ・・・、なんか調子狂うなぁ・・・。
「あの、お願いがあるの。
私の前では敬語とかやめてほしい。
なんていうか、せっかくあなたといると心地良い気分になれるのに敬語でしゃべられると何か見捨てられた気分になってくるよ・・・。」
玲は深刻な顔でそう言った。
どうやら、玲にとって敬語とは大きな意味を持つものらしい。
まぁ、敬語でしゃべらなければいいだけで、俺としても敬語は苦手だから別に何の問題も無いんだけど。
「わかった、それぐらい問題ない。
ぁ、でも2人でいる間でいいかな?
流石に清の前で社長令嬢にタメ口じゃ、ちょっとね・・・。」
俺がそう言うと玲はまた悲しそうな顔をする。
どうも俺はこの顔が苦手らしい。
これを見ると俺の考えも曲げて、玲の意見に賛成したくなってしまう。
どうも、俺自身玲に影響され始めているようだ。
だがこの影響は悪いものではない、何の根拠も無いのにそう思えた。
「ね、別にお父様は怒らないよ?
それに私、お父様も喜んでくれると思う。
私、今までほとんど人と話そうとしなかったんだもの、しゃべり方なんて気にしないと思うけど。」
そう玲に畳み掛けられる。
・・・仕方が無い、か。
そう思える時点で俺の中に玲という存在が大きくなっていることに気づき驚いた。
この短時間に人の心を動かす、なんて不思議なことだろう。
俺は本気でそう思った。
「わかったよ、だが玲と清の間だけだよ?
俺もあまり周りから批判を受けたくないし。
いろいろと問題が起こる可能性も否定できないからね。」
俺は最大限の譲歩をし、さらにこう付け足した。
「その代わり清の前だけは俺も玲に敬語を使わないと約束するよ。」
「う〜ん・・・、そうね、とりあえずそれでいいや。
でも、隆が大丈夫だと判断した人の前ではちゃんと敬語なしで話してね?」
玲はそう妥協するかのように言った。
事実、妥協したのだろうが。
にしてもやっとひと段落着いたな。
「ところで、清はいつ来るんだろうな?
思っていたより遅い。」
「そうね、お父様、なにやってるんだろう?」
そう俺たち2人が向かい合いながらそう言った。
その時、
「ふぅ、もういいかね?」
俺たちの真横から清の声でそう聞こえた。
「「!?!?!?」」
驚いて振り返ってみるとそこにはスーツ姿の清が。
やはり男の俺から見ても整った顔してるよな。
玲が生まれるのは決定事項だったわけだ。
おれはどこかそんなことを考えながら口をパクパクさせながら固まっている玲を見た。
「玲、どうやら逆神君と仲良くなったみたいじゃないか。
逆神君、ありがとう、玲は人と話すのが苦手なんだが、キミなら大丈夫なようだ。
そこでキミの仕事なんだが、普段は玲の身の回りの世話、所謂執事をやってもらう。
それと同時に、私たちが急を有するときに運転手、この場合は能力者としての君の能力を生かしてもらおうと思う。」
俺としては願っても無いことだった。
玲といるのは楽しいし、運転手というのも能力を使えばすぐにすむことだ。
「そこでなんだが、キミの力は一体どれほどの消耗度なんだい?
所謂どの程度の距離を何回転移すると能力が使えなくなるのか、ということだが。」
清はそう言った。
ん?
能力に制限があるのか、この世界には。
いや、前の世界にもあるにはあったか・・・。
ただ俺の能力はそれが存在しないから忘れていたよ。
「基本的には特に制限はありません。
ただ、目に見える範囲の者もしくは物でないと転移させることは出来ません。
まぁ、カメラなどの映像によるリアルタイムの情報ならできなくは無いと思いますが。」
そういうと玲と清は驚いた顔で機能を停止していた。
お〜ぃ、俺、何か変なこと言った?
「隆・・・、口調が元に戻ってる。
それにしても隆、制限が無いなんてそんな馬鹿な話、あるの?」
ぁ・・・、わすれてた。
どうもまだ清は安心できないと俺の中の何かが告げているようだ。
「ご、ごめん。
まぁ、正確には制限はあるんだろうけど。
今までそこまで酷使するようなこと、無かったからね。」
「なるほど、まだ私は逆神君に完全に認められたわけではないんだね。
まぁ、それが普通の反応だと思うよ。
今回の玲の反応はそう見ても異常さ。
さて、募る話は向こうへ行ってからにしよう。
とりあえず逆神君、この座標まで転移してくれるかい?」
「わかりました。」
そういった俺の横で玲が俺の持つ地図を覗き込んだ。
「これ屋敷の地図・・・、隆、屋敷に住むの?」
玲は若干期待をこめてそう言う。
「あぁ、そのつもりだよ。
何かと彼の能力は使い勝手がいいからね。
ではいこうか」
「そうかもしれないわね。
まぁ、私はむしろ一緒のほうが楽しそうだから何の問題も無いけど。」
そういい、2人は俺の肩へと手を置いた。
「では行きます。」
そういって俺は能力を発現させた。