23話:執事としての仕事、始動!前触れ編
お久しぶりです!
やっと受験もひと段落着きました。
・・・結果がどうなるかはアレですが。
ぇ〜、これでまた執筆に戻れると思います。
ただ、バイト始めましたので少々遅くなるかも^^;
第23話『執事としての仕事、始動!前触れ編』
歓迎会という名のカラオケから1週間。
月の4分の1を消化し終えたある時、清から呼び出しがあった。
尤も、玲を通じての言伝ではあったが。
玲が言うには、
「お父様が隆に話があるみたい。
も〜、、忙しいからって私を電話代わりにしないでよね・・・。」
だそうだ。
ちゃっかり『玲・プライベートモード』(口調が変わる)になっている所を考えると、いつの会話かは押して図っていただきたいと思う。
玲としては、せっかくの2人での時間を割かれるのが嫌だった様である。
まぁ、突然呼び出されたかと思えば自分に用事があるのではなく伝言を頼みたい、などといわれては仕方が無いのかもしれない。
・・・尤も、伝言という用事なのであるが。
そんなわけで、呼び出された隆は夕食後、清の書斎へと足を運んでいた。
途中玲に逢ったが、何やらブツブツと考え事をしているようで、どこか上の空のまま挨拶を交わし、すれ違ったのみであった。
玲のことだからついてくると思ったんだが・・・、何かよからぬ事を考えていなければいいが・・・。
そう俺は一抹の不安を覚えながら、清の書斎への廊下を行く。
「はぁ、ケータイでも買うべきかもしれないな。
流石に連絡が取れないというのは執事としていろいろと問題があるだろうし・・・。」
そう1人ぼやきながら廊下を歩いていると、目の前に1人の少女が所在無げに立っているのが目に入った。
この屋敷に来てはじめてみる顔である。
まぁ、俺自身1週間程度しかいない身なので、まだ会っていない人間はいるのかもしれないが。
無論、黒崎家の人間という線もあるにはあるが、それにしてはこの時間帯にここにいるのは妙である。
一番可能性が高いのは、使用人という線か。
「どうかされましたか?」
そう言って俺は、少女へのファーストコンタクトを試みるのだった。
「ぁ、ぇ、えっと私、こ、この家で使用人をさせて貰うことになりました、神崎歩といいます!
よ、よろしくお願いします!」
そう少女は慌てながらも自己紹介し、隆へと深く腰を折るのだった。
「あぁ、よろしくおねがいします、神崎さん。
突然話しかけてすみません。
見ない顔でしたのでつい。
私の名前は 逆神 隆 と言います。
いろいろと大変ではあるでしょうが、頑張ってくださいね。」
その答えを聞いた俺は、自身の予想が正しかったことに内心ほくそ笑みながら、少女へとそう言った。
「あ、あの、ありがとうございます!
ぇと、し、失礼ですが貴方は?」
少女はあたふたとしながらも、俺へと質問を始める。
「私ですか?
そうですね・・・、名目上は執事ということになっています。
尤も、今の仕事は殆どが玲お嬢様の護衛ですが・・・。」
俺は苦笑交じりにそう答えた。
内心、言われてみれば、執事らしいことはまったくやっていないな・・・、と言う事実に少し驚きを覚えていたのだった。
勿論、その動揺を表に出すような愚行はしないが。
「では、私はこれで失礼します。
主人に呼び出しを受けまして、今から書斎へといくことになっています故。
あぁ、そこの階段を下りればリビングへ出られますよ。
そこの者にでも詳しいことは聞いてください。」
そう言うと俺は、書斎のほうへと消えていったのだった。
余談ではあるが、今リビングにいるのは玲と玲の母親である沙里の2人だけである。
神崎と名乗った少女には、少し肩身の狭い思いをさせることになるかも知れないが、仕方が無いことだと割り切ることにする。
「それにしても、執事、なんだよな、俺。
まったく実感が沸かん・・・、まぁ、玲がいいと言っているのだからあまり気にしないことにするとしよう・・・。」
そう俺は(半ば無理やりに)思い直すと書斎へと歩いていくのだった。
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コンコンッ
「逆神です。
お呼びでしょうか?」
書斎の扉をノックし、声をかける。
時間があまり早くない為、声量は控えめにしてある。
「ぉお、隆か。
入ってくれ、鍵は開いている。」
そう、中から清の声が聞こえてきた。
どうやら立て込んでいるらしい。
以前1度来たときは、清本人が扉の前まで来て扉を開いていた。
「失礼します」
その程度の些細な違いに俺がどうこうなるはずもなく、普通にそう言う。
そして俺は清の書斎への扉を開くのだった。
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バタンッ
扉の閉まる音が書斎に響き渡る。
見ると、清はパソコンの前で難しい顔をしているのだった。
「呼ばれたからきたぞ?」
扉が閉まったのを確認した俺は、清へと素の口調でそう聞いた。
基本的に、俺の素を知るもの以外の人間がいる場合は敬語を使うことにしている。
「はははっ、相変わらず変わり身の早いヤツだ。
まるで二重人格だぞ?」
清もそれを気にすることなく、普通にそれに反応するのだった。
雇い主と言う立場であるにも拘らず、こういった口調で話しかけられてもいやな顔をしないところを見ると、内心敬語ばかりの生活に疲れているのだろう。
と、俺は予測している。
尤も、本当に気にしていない可能性のほうが高いが。
「ふん、何を今更。
出会った当初からこうだっただろう、今この状況のほうがよっぽど異常なのさ。」
そう言いながら、俺は肩をすくめる。
「確かにそうかも知れんが。
まぁ、別に直せと言っているわけではないよ。
・・・尤も、場所は弁えて貰わねば困るが、隆なら大丈夫だろう?」
と清は意味深な目を俺に向ける。
実際、清はそういう点で隆のことを問題ないと判断している。
尤も、それでも雇い主に敬語を使わない人間など、普通は存在しないのだが。
「まぁな。
で、一体何のようなんだ?」
と、早々に話を切り出す。
この為に玲を言伝に使ったのである、俺としては早くその内容を知っておきたい。
「いやなに、そんなに大したことではないんだがね?
そろそろ生活にも慣れてきたことだろうし、執事としての仕事もこなして貰おうかと思ってね・・・。」
と切り出すのだった。
正直、俺としても先ほど考えたところだったので、少々驚きを隠せない。
尤も、例のごとく表には微塵も出さないが。
「なるほど、確かに頃合かもしれないな。
むしろ少し遅すぎたぐらいだ。」
「うむ、まぁ、何も考えずにこの時期にしたわけではないんだ。
確かに隆にはこの生活に慣れてもらわねば困るから、その調整のためというのは嘘ではないが。」
つまり清は、それ以外にも理由がある、と言っているのだ。
「まぁ、簡単に言うと今回新たに玲専属の使用人を付けることになった、ということだ。
無論、隆も玲専属となる予定ではある。
だが、執事とは本来使用人の上に在るもの、すべての使用人に指示をだす権限があたえられる者だ。
玲専属でありながら、屋敷全体の使用人を管理してもらうことになる。」
ようは流石に手が回らないのではないか、と心配したのだと俺は推測を付ける。
「尤も、我が屋敷に限って言えば、使用人の数は極力少なくしてある。
コック3名と屋敷を管理するために必要な人員6人、それに今回雇った者の10名だ。」
「ふむ、分かった。
努力しよう。」
やはり少人数であっても、統率するためにはある程度のことは出来るようになっておかなければならない。
明日からその辺りについて確認するように、ということだろう、と俺は予想をたてる。
「玲は君をとても信頼している。
しかし玲も年頃の女の子だ、色々と隆では対応しきれない状況が起こらないとも限らない。
よって使用人を新たに雇うことにした。
詳しくはまた後日通達をだすから、今日は戻っていいぞ。」
そう清は告げると、再び机のパソコンへと向かうのだった。
「では、失礼します。」
隆はそう言って、静かに書斎を後にするのだった。
余談だが、書斎では清が、
「むぅ、このままでは終わらん・・・、明日の会議で使うのだが・・・。
まぁ、いいか。」
「ぁ〜な〜た〜!?」
「なっ!?沙里!?」
「サボらずにしっかりとやりなさい!!!
社長と在ろう者が情けない!」
沙里に怒鳴られていたとかいなかったとか。
ぇ〜、今回からサブタイの書き方を変えました。
一目で何話目かわかるよう、初めに話数を入れます。
何か見づらいなどあれば報告下さい。