学校へ逝こう!?終幕
更新です^^ノ
もうすぐ期末テストです。
更新一時的にストップするかと思いますが、どうかご了承ください。^^;
第22話『学校へ逝こう!?終幕』
「さて、ではそろそろお開きにしましょうか。」
隆の歓迎会という名目で始まったカラオケも2時間を超えた頃。
そう玲が提案する。
確かに時間も7時をまわり、太陽は西へと沈み始めていた。
「そうですね、時間的にも頃合でしょう。」
「そうですね〜、あまり遅くなりすぎるのもアレだし。。」
とその提案に賛同する隆と咲。
「ぇ〜、まだ大丈夫じゃない?」
と駄々をこねる夏海。
そこに今まで黙っていた蓮が夏海の耳元へと口を寄せる。
「・・・夏海、映画によく出てくる皆の意見に反対したがる人みたい。
大抵の場合その人ってすぐに死ぬのよね・・・。」
そうボソッと不穏な発言をする蓮。
耳打ちの形をとってはいる。
とってはいるのだが、声の大きさ自体は通常の状態とまったく変わっていないのであった。
やはりこの蓮という少女、少々腹黒いところがあるようである。
「「「「・・・・・・」」」」
(((そ、それってこのまま行けば夏海が・・・。)))
そう、蓮の言葉に反応する隆と玲、咲の3人だった。
「夏海、帰りましょう。
お会計お願いね。」
そう玲は何事も無かったかのように夏海へと告げ、隆達3人を連れ店を後にしようとする。
そしてちゃっかりと会計も夏海へと押し付けるのだった。
どうやら先ほどの蓮の発言は聞かなかったことにする事に決めたようである。
隆と咲もそれが最善と考えたのか、何も言わずおとなしく玲についていく。
と、そこで玲の最後の言葉の意味に気づいたのだろう。
「ご馳走様です。」
「ゴチになりま〜すっ!」
「・・・ほとんど何も食べてないけど。」
と、3者三様の礼(1人おかしなのもいるが。)を言うのだった。
「なんか凄い理不尽な気がするけどっ!?
そもそも何で私の奢りっ!?」
という夏海の声を背中に感じながら、4人は店を後にするのだった。
「今月ピンチなんだよーーー!?」
何か夏海が叫んでいるが当然無視である。
その時隆は、
(協調性が無い者には罰が必要、ということか。
なかなかに正しい判断じゃないか、玲。)
と一人ズレた事を考えていたとかいなかったとか。
後日、夏海は節制をすることになるのだがそれは別の話であった。l
正直どうでもいいことである。
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場所は変わって帰りの車の中。
「今日はありがとうございました、皆さん。」
と4人に礼を述べる隆。
突然頭を下げる隆に3人は戸惑いを隠せない。
そんな中、玲だけはいつも通りの表情で隆を見るのだった。
「い、いいえっ!気にすることなんて無いですっ!
私達も楽しかったですからっ!」
と見てすぐに分かるほどに慌てる咲。
「な〜に〜、隆くんそんなに畏まらなくてもいいのに。」
と少しおちょくるように言う夏海。
ただし、右手は髪を弄っていた形で固まっている。
やはり突然のことに驚いているようである。
「・・・やりたくてやっただけ。」
と、表面上は無関心に答える蓮。
ただ、目は虚空を泳いでいる。
そんな3人の反応に苦笑する玲。
そして玲が口を開く。
「3人とも何をそんなに慌ててるのよ。
隆はただお礼を言っただけじゃない。
隆もそんなに畏まらなくてもいいのよ?
私達も楽しんだし、やりたくてやっただけなんだから。」
的確な言葉に4人は顔を見合わせ、1つ溜息をつくのだった。
「やっぱり玲さんは凄いですね〜。」
「こういうことは玲ってしっかりしてるって言うかなんというか。」
「・・・降参。」
「流石玲、的確だよホント。」
と4人は賞賛の声を上げる。
「やめてよ、そんな大した事じゃないんだから。」
と玲は居心地悪そうな様子でそういった。
と、そこで隆があることに気がつく。
「そういえば咲さん、なぜ玲には敬語なんです?」
と、会った時から咲が敬語だったことを思い出す隆。
その疑問に反応を示したのは、咲ではなく夏海と玲だった。
正確には咲も反応しようとしたようではある。
しかし夏海と玲に先を越され、言い出すことが出来なくなってしまったのだった。
「あのね〜隆くん、玲が学園でなんて呼ばれてるか知ってる?」
と夏海が言う。
「ちょっと夏海、やめなさい。」
とそれをとめようとする玲。
なぜかその表情には焦りが見え隠れしているように隆には思えた。
「え?
ええ、確か氷姫でしたっけ?
クールな上に美しい玲にはピッタリな呼び名だと思いますが。」
と真顔で返す隆。
ボンッ!
っと思いもよらない唐突な賛辞に顔を赤くさせる玲。
「な、何か釈然としないものがあるけどまぁいいわ。
そう、その氷姫っていう呼び名は結構有名なの。
下級生は勿論、同級生にまでもね。
それに加えて、超優秀な能力者。
ここまで言えば分かると思うけど、普通の生徒にとっては憧れの対象なわけ。」
と玲が止める暇も与えず、早口にすべて話し終える夏海。
というよりも恥ずかしさに止めるのを一瞬忘れてしまった、というのが正しいのだが。
「・・・私達は一般教室の生徒だから、憧れを抱く。」
と、またも無表情に、それでいてちゃっかりと会話に入り込む蓮。
「私や蓮みたいに、普通に反応する生徒のほうが珍しいのよ、実際。」
と夏海が締め括った。
「なるほど、理解しました。
でも玲はそんな扱い嫌いだとおもうのですが?」
と尤もな意見を言う隆。
「いいえ、そうとも限らないわよ?
下手に近づかれるよりも、遠巻きに見られるほうが面倒が少なくなっていいの。
正直あまり人とかかわりたくないのよ、私。」
と答える玲。
その言葉をきいて表情を暗くする咲。
その表情をみた隆は流石にかわいそうだと思ったのか、玲を咎める様にこういった。
否、言おうとした。
「玲、流石にそれは言い過ぎじゃ「でも」ないk」
隆の言葉をさえぎるように言葉を紡ぐ玲。
玲はどこか恥ずかしさを隠すように視線をそらし、虚空を眺めながらこう続けた。
「でも、咲と蓮なら私は付き合っていきたいと思うし、既に友人だと思っているわ。」
と。
そう発言した玲の横顔は西日に照らされ、高揚した顔をうまく隠してくれている。
玲はそのことにすこし安堵を覚えながら、窓の外を眺め続けるのだった。
「あ、ありがとうございます!」
と、先ほどまでの暗い表情はどこに消えたのか、喜びに軽く涙を流しながらそういう咲。
正直隆にとっては、『何を今更・・・。』といった感じである。
しかし咲本人にとってはそれほど予想外のことであり、とても嬉しいことだったようである。
「ホント玲って、こういうことは下手だよね。」
「いや、まったくですね。」
と夏海と隆。
「・・・これにて一件落着。」
と、時代劇風に言ってみせる蓮。
その様子に皆は笑い、玲はさらに顔を赤く高揚させるのであった。
その時のの玲は『西日が強くてよかった・・・。』と思っていたとか。
やはり彼女、人前ではクールを演じようとしているようである。
本来の彼女は、クールというよりは可愛いタイプなのだが。
隆以外の人間にそれを知られたく無いようだった。
玲自信、そう考える理由は理解していないようであるが。
そうした和気藹々とした空気の中、帰りの車は強烈な西日を浴び公道を走り続ける。
車体をオレンジ色に光らせながら・・・。
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