学校へ逝こう!?真の能力の片鱗!?
ヤバイです、スランプです・・・。
ぜんぜんうまく表現できません。;;
そして戦闘パート10割の今話。^^;
戦闘だけになるなんて思っても見ませんでした、反省してます。;;
ちなみにこれ、番外っぽいんで読まなくても問題ありません。
・・・尤も、前話の続きではありますが。^^;
飛ばすなら前話から、ってことになります。^^;
第18話『学校へ逝こう!?真の能力の片鱗!?』
「おい、貴様。」
青年が聞いた俺の言葉は、殺意を多量に含んだものだった。
さすがにそれを感じ取れる程度のレベルはあったのか、玲に伸ばそうとしていた手を戻す。
そしてゆっくりとこちらへと向き直るのだった。
「誰だキミは?
私は今、やっと欲しかった物が手に入ったところなんだ。
邪魔をしないでくれないか?」
青年はそう、不満げに言う。
玲をものとして扱うコイツは、到底俺にとって許せるものではなかった。
『常に弱き者の味方であれ』
俺の唯一尊敬していた男の口癖だった。
コイツのしていることはそれを真っ向から否定することだ、到底許せるものではない。
「すぐに、その、能力を、解け 。」
俺はわざと言葉を区切り区切り言う。
「はははっ、嫌だね。
なぜ貴様の言うことなんぞ聞かねばならんのだ。
俺は男を魅了するのは好きではないんだ、さっさと消えろ。
さもなくば貴様を亡き者にしてくれようぞ。」
よく間違われるが、魅了の能力は何も相手を洗脳するのが主な使い方ではない。
魅了するのはあくまである対象自身。
それが人であろうとなかろうと関係ないのである。
一定のレベルで、その空間に存在するすべてのものを支配下に置く、それが魅了の能力の真髄である。
尤も、この男はそこまで広範囲のものを操ることはできないようだが。
「できるものならやってみるがいい。
俺は久々にキレたよ・・・。
貴様に地獄を見せてやろう。」
そういいながら俺は笑みを浮かべ、周囲に空間の歪みを作り出す。
本来、空間とはその場に存在することが決まっているモノである。
その均衡を、一度乱そうものならば、その場に膨大な歪みが現れる。
ゆえにそれを能力によって無理やり起こし、その歪みを増幅させたのだ。
「何!?
貴様も能力者か!?」
青年は俺に向かって『魅了』したイスを吹き飛ばす。
俺はそれを左に飛んでかわし、青年へと駆ける。
と思わせその残像だけを残し、俺は青年の背後へと能力を使い転移する。
「ふっ!」
青年の背後に現れた俺は、上段蹴りからの後ろ回し蹴りを繰り出す。
その軌道は一段目を後頭部、二段目を鳩尾へ、という一撃必殺を体現する体術だった。
この戦い方は以前、向こうの世界で覚えたものである。
無論、これも真打ではない。
次の一撃への布石である。
「ふんっ!
こんなもので倒せると思うな!」
そう叫びながらあたりの机を盾にしその攻撃を防ぐ。
どうやらそれなりに戦いなれているようだ。
おおかた、喧嘩に使用していたんだろう。
「ふん、この程度!」
そういいながら、俺は現れた机ごと奴の鳩尾を蹴り抜く。
そして周囲に作り出していた空間の歪みを、青年の目の前へと転移させる。
空間の歪み、それが寄り集まることにより高密度なエネルギーへと形を変える。
そのエネルギーは、一番近くの物体、つまり俺に鳩尾を蹴られ、うずくまっている青年へと流れ込むのだった。
エネルギー体をモロに受けた奴は、体をくの字折り曲げながら壁へと吹き飛んでいった。
「ぐはっ!?」
青年は勢いよく壁に激突し、息を詰まらせる。
どうやらモロ鳩尾に入った部分へとダメージが集中したのだろう。
腹を押さえながら苦しそうに立ち上がる。
「もう気が済んだだろう、さっさと魅了を解け。」
俺は慈悲深くもそう、逃げ道を指し示す。
尤もこの手の人間は、下手に逃げ道を示すと逆ギレし、襲い掛かってくるものである。
今回はそれをするために逃げ道を提供する。
われながら少しえげつないと思わなくもない。
「うるさい!
聞く耳持たんわ!
貴様だけは許さんっ!」
予想通り、青年はその言葉にキレ、襲い掛かってくる。
青年は目を赤く輝かせながら俺にむかって吼える。
どうやら理性すらも飛んでしまったらしい。
「これでも食らえ!!!」
そこで少しの誤算が起こる。
青年は、あろうことか魅了した人間自体を特攻させてきたのである。
見覚えのない少女が、食事用のナイフを俺に向かって突き立てようと腕を振り上げる。
「ふっ!」
能力を使い、空間を固定。
少女の動きを止めると、それを殴るわけにもいかずひとまず距離をとる。
そして、俺の中の何かがうずきだした。
この外道を見逃すわけにはいかない。
そのことだけが俺を支配する。
「貴様、どこまで落ちれば気が済むんだ・・・。
いいだろう、そこまで叩きのめされたいというのなら俺が望みどおりにしてやろうじゃないか!」
そう俺は高らかに宣言し、左手を虚空へと伸ばす。
バチッ!バチバチッ!!
そう音が響いたかと思うと、俺の目の色が変化する。
そう、あくまで変色ではなく、変化である。
それは同時に俺の戒めが解かれたということでもあった。
「消えろ・・・。」
俺はそう呟くと左手を魅了された人々へと向ける。
ただそれだけの動作で、魅了の能力は打ち消される。
俺の持つ真の能力、『想力』の力が発動した瞬間だった。
尤も、この能力に決まった形など存在しないのだが。
己のイメージ、それを具現化する能力、それが我が『想力』の力である。
「そ、そんな・・・、馬鹿な・・・!?」
青年は呆然と立ち尽くす。
「元凶たる貴様はしばし頭を冷やしてこい!」
そう言って、こちらの世界で能力としている『空渡り』を起動させる。
転移させる場所、それはここから10キロほど離れた川の真上である。
「ま、まて、俺h・・・!?」
青年は最後まで言葉を言い終われずに、虚空へと消えていった。
この時期、風邪を引くほどの水温じゃないだろうから大丈夫だろう。
・・・泳げない、とかでさえなければだけど。
そう、思考をひと段落させると、玲を探す。
探す、といってももともとここにいたのですぐに見つかるだろう。
そう考えながら、俺はあたりを見渡すのだった・・・。
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「ほんと、相変わらず出鱈目な能力者だよねー、隆って。」
玲と再会し、初めての言葉がそれだった。
・・・あの、玲さん?
あまりにもひどくはないですか・・・?
「何がひどいの?
隆、自分ではわかってないかもしれないけど、魅了系の能力者を戦闘向けでない能力者が倒すなんて普通では考えられないんだよ?」
そう、玲に諭される。
なんだか、自分が悪いことをした気になってしまうじゃないか・・・。
「まー、でも助かったよ。
私もさすがにああいう能力は苦手だから・・・。」
それはそうだろう。
玲の能力は引斥力である。
ああいった、精神系は苦手とするところである。
「ん、まぁ無事で何よりだ。
それにしても、いつもこんなことがあるのか?
さすがに不安になるんだが・・・。」
「今回は異例の事態だよ。
この学園のトップクラスの能力者がこんなことをするなんて考えられない。」
そう玲は心底疲れたかのように言った。
確かに精神系は心労が半端ないからな・・・。
「さて、じゃー、教室に戻ろうか!」
玲は気分を入れ替えたのか、そういった。
「ああ、そうだな。
だがその前に口調、ちゃんと戻しとけよ?」
そう、少し意地の悪い笑みを浮かべながら玲にそう言うのだった。
・・・・・・ところで、メシ、食って無い、よな?