学校へ逝こう!?《魅了》の能力者
ごめんなさい!
結局頑張るとか言って約1週間ぐらい書けませんでした・・・。
その代わりといってはなんですが今回はちょっとだけ長めです。
これで勘弁していただければうれしいです・・・。
第17話『学校へ逝こう!?《誘惑》の能力者』
「じゃ逆神くん、入ってきて。」
目の前のドアの向こうから、俺のクラスの担任がそう告げる。
そう、俺は今通称『特級クラス』ことX組のドアの前にいる。
転校生紹介の為にここに一人取り残されている。
正直、これに何の意味があるのか理解することはできない。
「お〜ぃ、逆神く〜ん?」
クラス担任はさきほどの事件の張本人、『純神 京』である。
もっとも、こっちの世界では『逆神 京』を名乗るようにいってあるが。
にしてもあの扉には驚いた・・・。
まさかあんな仕組みになっているなんてな。
俺たちの世界じゃありえない仕組みだよ。
何なんだ、静脈スキャンって?
暗証番号だと?
声紋認識装置?
ちんぷんかんぷんである。
このときほどココが違う世界なんだと自覚したことはなかったね、いやホント。
「隆!早く入ってきなさい!」
バンッ!と音を立てながら、突然目の前のドアが視界から消える。
そしてドアのあった場所には京の怒りの表情があった。
「・・・ぁ、ごめんごめん、ついつい思考に没頭してた。」
(口調が元に戻ってるぞ?)
(・・・仕方ないじゃない、こんな口調今まで遣ったことなかったんだから!)
俺は苦笑しながらそう言う。
どうも最近考え込むことが多くなった気がする。
「もう、しかたないわね・・・。
改めて紹介します、転校生の『逆神 隆』くんです。
隆くん、自己紹介お願い。」
「はい、昨日この町にやってきました『逆神 隆』です
学期途中からの編入なので変に思われるかもしれませんが、特になにか理由があるわけではありません。
あえて挙げるとすれば海外に住んでいました。
ちなみに、担任は私の姉です。
尤も義理の、ですが。
今後とも、よろしくお願いします。」
そう、俺は黒板に名前を書きながら言う。
転校生にとっての初行事である。(・・・正確には行事ではないが)
尤も、そもそも学校になど通っていなかったのだ。
転校の理由なんてあるはずがない。
多少の誤魔化しが利くように海外からの帰国子女にしたのはいい判断だったと自分でも思う。
「転校生だって〜。」
「しかも帰国子女ですって〜。」
「本当、そういえば私も最近海外へ行ってませんわ〜。」
「そういえば今朝、黒崎さんと一緒に登校してきたんですって。」
「へー、彼が噂の人かー。」
「超美系だなー。」
「・・・羨ましい。」
といった声で、教室がざわつく。
ふと玲のほうを見ると、昨日までの態度が嘘のように猫をかぶっている。
クールで冷淡、同学年とは思えない威圧感から、その場だけ隔離されているかのような錯覚さえ覚えた。
「せんせー、彼に質問いいデスか?」
声のしたほうへ視線を向けると、窓側の女子が手を挙げて京へと進言しているところだった。
「ええ、かまいませんよ。
1限目は私の授業なので少し時間をあげましょう。」
と、京は応え、黒板横のイスへと腰掛ける。
どうやら話を進める気はなさそうだ。
となると当然、
「ねーねー、どこから来たの?」
「出身は?」
「あなた、能力持ってる?」
「今度一緒に食事でも行こう!奢るぜ?」
「黒崎さんとはどういう関係だ!?」
「・・・禁断の?」
転校生が囲まれるのは当然の摂理である。
ってか最後の奴、どんな答えを期待してる?
「えと・・・、出身は日本です。
仕事の都合で先週までスイスにいました。
黒崎さんとは友人です。
能力は持ってることは持ってますが、詳細は秘密です。」
質問の嵐に、俺は一息で答える。
最後の質問は完全無視だ、アレはほっとこう。
「はいはーい、質問したりないだろうけどそろそろ授業を始めます。」
京の一言に、俺に群がっていた人の群れは散っていく。
なぜこうも生徒に対して、教師の発言は影響力が強いのだろう?
そう、疑問に思う俺だった。
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キーンコーンカーンコーン〜
突如として、京の声だけが響いていた教室にチャイムの音が鳴り響く。
授業終了の合図である。
「じゃー、今日はここまで。
続きは、えーっと、明日ありますね。
では明日やりますのでちゃんと復習してくるように。」
そう京が終わりを告げた。
ただ今の時間、12時40分。
4限目が終わり、昼休みに突入した瞬間でもあった。
クラスの大半は、各自思い思いの場所へと移動を開始する。
気の合う仲間と机を合わせる者、友人とともに学食へといく者、購買でパンを買い屋上へと赴く者。
そんなクラスメイトを眺めつつ俺は朝、玲が用意してくれた弁当を開く。
玲が用意してくれた、とあるが、実際に玲が作ったというわけではない。
作ったのは玲の母親の沙理さんである。
「隆、どうせだから食堂で食べない?」
ふと声のしたほうへと顔を向けると、そこには玲の姿が。
尤も、この学校にそれを俺に言える人はほかにいないが。
・・・ぁ、京も言えるか、ここにはいないけど。
「ん、わかりました、行きましょうか。」
そう答え、玲の横に並ぶ。
「ねぇ、学校ではそのしゃべり方で通すつもり?」
歩きながら玲が小声でそう言う。
やはり普段の俺を知ってるから違和感があるのだろう。
俺が玲に違和感を感じているように。
「それはお互い様だろ。
いいんだよ、俺はコレで。」
そう呟き歩く速さを速める。
「・・・屋敷では戻してよね。」
玲は釈然としないものを感じつつ、俺に合わせるため足を速める。
「わかってるさ。」
「ならいいよ、私も学校では猫かぶってるからお互い様だね。」
玲は自分の考えにひと段落付けたのか、ひとつため息をつきながらそういった。
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食堂へ入った俺たちを迎えたのは超ナルシストの美青年だった。
・・・いや、嘘でも冗談でもない。
目の前には美青年が立っているし、青年がナルシストであるということも確証済みである。
周りには女子がうっとりとした目で青年を見ている。
青年も、その視線が気持ちいいのか、どこか酔ったような顔で笑みを作る。
その場の雰囲気に強烈な違和感を覚える。
周りの女子の目は、ほとんど宗教信者のそれだった。
正直、背中に鳥肌が走ったよ・・・、殴り倒してやりたい気分だ。
「・・・まさか彼と出くわすなんてツイてない。」
玲が横でボソッと呟く。
「え、なんでです?
確かにとても自意識過剰な方だとは思いまs・・・。」
いいかけて俺はあることに気づく。
青年の右目が赤く輝いているのである。
これは・・・、魔眼系能力、か・・・。
なるほど、『魅了』の魔眼とでも言うべきか、この周りの異様さもすべてコイツが生み出したというわけか。
「・・・なるほど、『魅了』が彼の能力ですね?
にしてもこんなところで起動するなんて彼は何を考えているんでしょうか?」
俺は疑問に思ったことを素直に口にする。
「何も考えていないのよ・・・、だからこそたちが悪い・・・。
誰かまわず使うんですもの、巻き添えを食らわないように逃げましょう。」
そう玲は言うとすぐさま踵を返そうとする
。
よっぽどこの青年にいやな思い出でもあるのだろうか。
確かに、みていて気分のいい能力ではないが。
そう、そんなことを考えていたから気づかなかった。
そう考え事をしている隙に青年はこちらに近づいてきていることに・・・。
「これはこれは、玲さんではないですか!
お元気ですかな?」
少々時代錯誤的な挨拶を繰り出す青年。
青年は玲に視線を向けたまま玲の反応を待つ。
「・・・気安く名前を呼ばないで頂戴。
あなたの遊戯に付き合ってる暇はないの、気分が悪くなる。」
玲は冷たく言い放つ。
今回ばかりは俺も同感である。
「いやはや、お厳しい・・・。
そんなことばかり言ってると、私にも考えがありますよ?」
そう青年が言った瞬間、青年の右目が鈍く光るのを俺は見た。
「どうなるというのでs・・・!?」
そこまで言って、急に玲の動きが止まる。
今までの優雅な物腰は失われ、回りの女子のような目で青年を見つめる。
「ふふふっ、油断しましたね。
あなたの能力はたしかに強い、だが一度我が魔眼に魅了されれば動くことなど不可能。」
俺のことなど眼中にない様子の青年。
一方俺は、玲に突然力を使った青年、人の心考えない能力の行使にキレかかっていた。
そして玲に触れようと青年が手を伸ばしたとき、
「おい、貴様。」
俺は低く鈍い声色で青年に声をかけるのだった。
来週こそはもっと更新スピードをあげるぞ!
という意気込みだけ書いときます。
できればそうしたいなぁ・・・。