学校へ逝こう!?謎の女性と特級クラス!?
いや〜、明日からまた学校なんで早めに更新しようと一気に書きあげました。
疲れた・・・、宿題やらずにコレを書いてる私って・・・。(笑)
まー、楽しければいいんですけどね。^^;
第16話『学校へ逝こう!?謎の女性と特級クラス!?』
今、職員室前の空気は確かに凍っていた。
なぞの少女の突然の抱擁に、俺は不覚にも思考を停止させる。
その空間は周囲に存在する他の人を寄せ付けない絶対的なものへと次第に変わっていく。
その空気を感じ取っていないのか、はたまた感じて尚そうした態度をとるのか、それは定かではないが、その場にひとつの声が上がる。
「ひさしぶり〜、元気だった、隆?」
その空気をものともせず俺に話しかけてくる謎の少女だった。
そうして抱きついたまま顔を上げ、上目遣いで見上げてくる少女。
・・・ん、コイツ、まさか!?
「・・・き、京!?」
そう、目の前で俺に抱きついている謎の女性は確かに俺の知った顔であった。
「ふっふ〜ん、正解!
ひさしぶりだね〜、隆〜。」
未だ抱擁を解かず、耳元でそう言う。
確かにこの顔は知った顔であり、この声もよく聞きなれた声だった。
そう、だからこそ俺は固まったのである。
そのよく知った人物は、本来この場にいるはずがないのだった。
彼女こそ、隆がいた世界で、いつ如何なる時もともに在った少女、『純神 京 (じゅんしん きょう)』であった。
もとの世界で、『創造の神』と称された人物である。
「な、な、なぜここに・・・!?」
そう、だから疑問を抱くのは至極当然である。
もっとも、俺はすでに1つの可能性に行き着いていたが。
「ん〜?
そりゃ〜、貴方が好きにしろって言ったからに決まってるじゃない!
私はあなたと一緒にいる、それが一番の望みよ!」
そう、高らかに宣言する京と名乗った少女。
その少女に抱きしめられている俺。
その様子を呆然と見詰める玲。
そしてそれを遠巻きから観察する野次馬たち。
どうやら俺に安穏な生活は訪れないらしい。
「・・・わかった、確かに好きにしろと言った覚えがある、好きにしたらいい。」
俺は極力不自然にならないようにそういった。
流石に、この動揺を玲に知られるわけにはいかない。
いつか話すつもりでいるが、まだ俺が別世界の人間だと、知られるわけにはいかなかった。
「・・・ねぇ、逆神さん?
その方は?」
ん?
どうやらお嬢様モードへ変身したらしいな。
いや、猫かぶりモード、と呼んだほうがいいのか・・・?
そんな玲が、少しの警戒を伴いながら遠慮気味にそう言う。
突然俺に抱きついてきたのだから、そりゃー警戒もするだろう。
「んー、コイツは・・・、家族、だな。」
そう、俺は少し詰まりながらもそういう。
なぜ詰まったか、それにはもちろん理由がある。
俺のいた世界での『家族』は、この世界の『家族』という定義とは異なるのである。
俺たちのいた世界では、心を許した人間、それ自体を家族と呼んでいた。
ここでは血のつながりのある者を家族と呼ぶらしい。
「家族、ですか・・・?」
玲は首を傾げながらそう、ポツリと言う。
「そう、私の名前は 純s!?」
そのとき、とっさに京の口をふさげたのは行幸だった。
「(おい、京。
ここではお前は逆神 京だ、いいな?
俺の家に養子にきた、ってことにしといてくれ。)」
京が自分の名前を言う前にすばやく訂正を入れる。
「(なんで!?)」
「(ここでは概念が違うんだ。
普通、血のつながった者以外を家族とは呼ばないらしい。)」
「(へ〜、変なとこだね、この世界は。)」
俺と京はすばやく意思伝達を終える。
その間なんと1秒たらず。
恐ろしい以心伝心振りである。
「私の名前は 逆神 京 !
一応ここでは教員をやることになってるわ!」
そう、大声(といっても差し支えない)で先ほどの決めた名前を言うのだった。
昨日の別れ際とはえらい違いである。
「・・・お姉さん、ですか?」
また、玲がポツリと呟きを漏らす。
「ああ、それはね、ちょっと違うかな。
正確には私は養子、隆のところに養子として迎えられたの。」
「ふ〜ん、そうなんですか・・・。」
玲は少し聞いたことを後悔したように、そして京はそれを感じつつも気にしないようにお互いの視線を絡ませる。
・・・なんか、俺は蚊帳の外かよ。
すこし憂鬱になる朝の再会だった・・・。
「って、ちょっと待て!?
お前が教員だと!?」
そして、先の会話の違和感に気づくのだった。
「ええ、確かに私は教員としてこの学校に勤めることになりましたわ!
これからもよろしくね!」
そう京は高らかに宣言し、俺たち2人を見つめるのだった。
「(・・・お前、俺と同い年じゃなかったか?)」
俺は、ふと疑問に思ったことを口にする。
「(ふふっ、もう、隆たら!
女性の年を言うなんて最低ですわよ?)」
その疑問には答える気がないらしい。
おれは京の言葉から、瞬時にそのことに行き着くのだった。
「マジかよ・・・。」
俺の呟きがどこかへと消えていく。
まるでその言葉などこの場に存在しなかったかのように、誰もそれに反応するものはいなかった。
「ちなみに〜、あなたのクラスは2年X組ですわ!」
京はそんな俺を気にもせず、そうクラスを告げ、職員室へと消えていくのだった・・・。
「「・・・・・・」」
そうして取り残された俺と玲は、自然とお互いを見詰め合う形になる。
そしておもむろにこういうのだった。
「「・・・教室、いこっか。」」
と。
・
・
・
・
・
・
所変わって2年棟の2年X組教室前
「ここ、か?」
そう、疑問の意を乗せて呟いたのは俺。
「ええ、ここよ?」
そう、返事とも取れる返答をしたのは玲。
そしてその俺たち2人の目の前には巨大な鉄の門が立ちはだかっていた。
「これは・・・、一体?」
俺は、初めて見た人の9割が当然感じるであろう疑問を口にする。
「ここはね、この学園でも特にセキュリティーに特化した棟なんだ〜。
ここに入る人は誰もが超お金持ちなのよ。
それも世界レベルの、だよ?
すごいよね〜。」
そう俺の横でいう玲。
彼女自身も超金持ちであることを俺は知っている。
そしておそらくこの棟で一番の金持ちである、ということも。
「よく特級クラスって呼ばれてるよ。
X組っていうのはXが未知を表すことからつけられたんだって〜。」
そう玲が意味のあるのかそうでないのか判断しにくいことを言う。
「なるほど・・・、金持ち専用クラスってわけか・・・。」
「まー、簡単に言えばそういうことになるかな〜。
尤も、難しくいってもそうなるけど〜。
ちなみに、通称『特級クラス』って名付けたのは理事長らしいよ?」
そう玲が惚けてみせる。
そして、玲の顔にははっきりと笑顔が浮かんでいた。
しかし俺はそのとき、ふと疑問が頭を過ぎった。
「・・・コレ、どうやって開けるんだ?」
目の前にそびえる扉は、人の手よって開くことができるレベルを大きく逸脱しているのだった・・・。