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第4話 班決め

「はーい、今後の行事予定について話ますよ~」

高校生活2日目の最後の授業が始まった。前で元気に話し始めた彼女は俺らのクラスの担任であり、国語と動物育成の教科担当の亀塔朱香きとうあやか先生だ。本人的には朱香先生と呼んでほしいらしいが呼びやすさもあってほとんどの生徒からきとーせんせーと呼ばれているらしい。俺も呼びやすいからきとーせんせーと呼ぶと決めている。

早くこの苗字とおさらばしたいらしいが真面目抜けかわいいって感じなのでモテるだろうから心配しなくてもいいと教えてあげたい。ここまでの情報は全て本人が自己紹介の時に言っていたことだ。最後のは俺の感想だが。

「合格通知と一緒に配ってあるプリントに年間予定が書いてあったから知っていると思うけど、しっかり聞いててねー。特に昨日居眠りしてた飛亀くん!」

クスクスと聞こえるのは気のせいと信じたい。ってそれより俺その年間予定が書いてあるプリントを見た記憶がないんですけどぉ……

改めてプリントが配られた。見てみるととりあえず前期の予定だけ書いてある。えーと……4月の下旬に林間学校。GW前って早いな。

「入学したばかりでしらない人ばかりかと思いますがこの林間学校で仲を深めてくださいね~」

そういうことか、納得。兎樹や亀子と同じ班になっておきたいな。やっぱり現時点で話せる相手が居るだけで心強いからな。

で、6月中旬に中間試験、9月上旬の夏休み明けに期末試験……夏休み明けかぁ……

「ちなみにこの学校は体育祭はありません。創立当時はあって盛り上がったそうですが、ある年に盛り上がりすぎて動物たちが暴走して荒れてからなくなったそうです」

この人淡々と言ってるが大事件じゃないかよ。言おうとしたがまた目立ってしまうことへの躊躇と先生の詳しいことに触れるなという無言の圧によって諦めた。ついでにこのクラスにはKYがいない事の証明にもなったっぽいな。



「では、林間学校の班決めするのでくじを引きに来てくださいね」

まあそうだよな。知らない人ばかりだから自力で班作るの難易度高い人もいるもんなぁ。

クラスは全員で34人、兎樹や亀子の知ってる人と同じ班になる確率は低いような低くないような……

クラスの人数は微妙だし班は全7班だしなんなんだ。

亀子は序盤に引いたっぽいな。どこの班なんだろ……

「おい鷹也、引きに行こうぜ!」

駆けて行こうとしてる兎樹に言われた。だが、

「俺は残り物には福があるってのを信じてまだ行かないぜ」

今まで人生の教訓『残り物には福がある』を俺は信じてる。座右の銘と言ってもいいかもしれない。

「どや顔で言うのはいいけど、狙い通りにならなかったら恥ずかしいやつだぞ?」

うっ……そんなにどや顔だったのか。やばいな。

と後悔していたらラスト1枚になったようだ。

「おっラストは飛亀くんか」

少しからかいを含めて言ってきた。おい、もしかしてこれは先生に目をつけられてるってやつじゃないか?

紙にはCと書いてあった。兎樹の方を見ると自分の席で眼鏡の男と話している。

「兎樹はどこだった?」

「C、キュートな娘がいたらいいなぁ。」

キュートってなんだよキュートって。

「おおっ!同じじゃん!もしかしてそっちの眼鏡くんもC?」

「そうそう。あと1人か2人か。キュートな女子お願い!」

キュート、キュートしつこいぞ兎樹。あれ?もしかして

「お前キュートにこだわるな。もしかしてCだからcuteって事で言ってるわけじゃないよな」

「あー。バレた?その通りだったりするなだなぁそれが」

おいおいまじかよ……話題変えよ。

「そういえばそっちの眼鏡くんは、なんでずっと黙ってるの?」

「僕の名前は烏谷鶏からすだにけい。お好きに呼んでください」

真面目系なのかな?眼鏡だし。

「おっけー。じゃあ鶏で!」

と話していたらきとー先生が

「みんな注目ー。すでに集まって談笑してる班もあるみたいだけど黒板に書いた位置に集まってね。今日はそれで終わりだから自己紹介とか談笑で授業が終わるまで時間つぶしてて。はい、移動どうぞ!」

運よく俺らは、ちょうど集合場所で話してたから動かずに済んだ。

「あのぉC班の人達ですか?」

おっ女子の声兎樹が喜びs……

「亀子かよ!」

「あっ鷹也じゃん!」

お互いかなり驚いている。だが低確率を2人引き当てた俺運いいな!

「なになに?お知り合い?」

ニヤニヤしながら兎樹が聞いてきたので

「ただの幼馴染みだよ」

知り合い2人と同じ班という喜びの感情がちょっと漏れてたかもしれないと焦る。だが、すぐにその心配はいらなかったとわかる。

「なんだとぉ!こんなにかわいい幼馴染みが居るなんて羨ましいぞ!」

ほらね。そして、こいつに亀子は男勝りでガサツだと教えたい。だが今それを言うと殺されかねないから言えない……

なんとか兎樹をなだめた俺は軽い自己紹介へと話しを変えることに成功した。

「あれ?ここ4人?」

亀子が気付く。

「あ、そうそう言い忘れてたけどC班は4人班ね。たまに私が同行するからよろしく」

と手に持った紙を見せてくる先生。まじかよ。目をつけられているのに同じ班って気がめいる。


俺、亀子、兎樹と軽い自己紹介を終え、最後に鶏。

「烏谷鶏です。ここまでは2人に言ってたね。あとは、家では養鶏場と小さなピザ屋をやっています。上に2人兄もいます。こんな感じで大丈夫ですか?」

おい待て。養鶏場とピザ屋ってなにがあった。世界が離れすぎていないか?それと養鶏場やってる親が息子に鶏ってつけるのありなのかよ。三男だから名前のネタ切れでもしたのか?この家凄いな。

「ちなみにお兄さんはなんて名前なの?」

つい気になって聞いちまったぜ。

「一番上の兄がゆう、一つ上の兄が刑事けいじです。当時の父がパートナーという刑事モノのドラマにハマっていてつけられたそうです。」

鶏なんて全然ましだったのかよ。この衝撃に亀子は口をポカーンとさせているし、兎樹も触れてはいけなかったって感じの顔してるじゃないか。

と、変な空気になったところで授業終了のチャイムが鳴った。

今日は駅前まで自転車を押して亀子と帰ったが同じことを思っていたらしい。

この話題はもう出さないと決めた2人だった。

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