第1話 出逢い
「ミーンミーン」
夏真っ盛り、近所の夏祭りに来ていた僕は右手にうちわ、左手にわたあめと祭りを楽しんでいた。そんな中ある屋台を見つけた。
それは、最近はめずらしくなってきた『かめすくい』だった。かめを見た瞬間、僕は父さんにやりたいと頼んだが、
「お前には世話はできないからやめておけ」
と、断られてしまった……
それでもかめが欲しかった僕は涙をこらえながら訴えた。それを見かねた父さんはしょうがなく一回だけという約束で屋台のおやじさんにお金を渡した。
流石に初めてやった僕はすぐにポイが半分も破れてしまった。周りはみんなもうだめだと思っていたが、僕はあきらめないで一匹のかめを狙っていた。
でも、水に入れた瞬間に残りの半分が破れてしまった…
何もすくえなくて泣いている僕。だが、そんな中水の跳ねる音が……!
僕は自分の器の中を見てみるとそこには狙ってたあのかめが居た。
周りの人達も驚いていたが、僕だけは喜んでいた。そんな僕を見たおやじさんは、そのかめを僕にプレゼントしてくれた。
僕は甲羅についた模様と同じ『さくら』とそのかめに名前をつけました。それが僕とさくらの出会いだったのだ。
そう僕が5歳になったこの夏から運命に導かれたように物語は始まっていたのだ。