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★運命(であい)★

高良大社へ向かっている途中、龍輝はある光景を目にする。

龍輝「うわ、すごいなぁ。案外いるもんだなぁ。歳は小中学生くらいかな。」

 龍輝が目にしたのは、少女だった。それもただの少女ではない美少女だ。そしてそれだけではない。

龍輝「それにしてもあの服装。まさか本物のお嬢様とか?にしても、フリフリが付いてて可愛

   いワンピースだけど、よくあれで自転車に乗るよなぁ。今にも裾がタイヤとかチェーン

   に巻き込まれそうだ。そもそも漕ぐの一生懸命過ぎだろ。」

 龍輝はそんな事を思いながら、言うまでもないが、もちろん愛車タントで高良大社へ向かっていた。だが、龍輝が思っているのはそれだけではない。

 龍輝はあるものを期待していた。男子なら誰でも期待した事がある。いや、常に期待していると言っても過言ではない現象・・・・・・。

 そう。パンチラだ。

 いくら小柄で子供っぽい容姿とはいえ、その少女は並以上!まさしく【お嬢様】のような【美少女】なのだから!!!

 龍輝は当然、スピードを落とす。一瞬で追い抜いてしまわない為だ。

龍輝「前からは意外に見えにくいんだよな。カゴが邪魔だし目が合う危険もある。何気に1番

   見えやすいのが斜め後ろだ。この角度だとスカートが風でなびいてめくれ、その瞬間に

   お尻側のパンツが見える!スカートが少し長めでも、風向きや風力次第では見える可能

   性大!しかも目が合う危険も少ないし、女子もまさか後ろからパンチラを狙われている

   など思いもせず、完全に油断している。俺はこれで、3回は見た!!特に見えやすいの

   が、サドルにスカートを踏んで座らず、直接パンツで座っている女子だ。正直、それは

   汚そうで下品だから、俺は好きではない。でも、別にお知り合いになろうというわけで

   はないんだ。あくまでもパンチラに限った話なんだから、その女子の人間性なんてもの

   はどうだっていい。ルックスが相当好みから外れていない限り、俺は見る!!!」

 龍輝は一人言を続ける。

龍輝「そして、もう1パターン見える可能性が高いのがスカートが短く、少ししか踏めていな

   い女子だ。これは風が弱くても見える可能性が高い。しかも短い分、条件さえ合えばず

   っと風になびいていて、見え続ける!実は更にもう1つ、見えるパターンがある。それ

   は、スカートが右か左に多く寄っちゃってる女子。多く寄っちゃってる分、風の抵抗を

   モロに受け、大きくなびく。」

 龍輝は、笑みを浮かべ強い眼差しで、誰かに語るわけでもなく一人言を叫ぶ。

龍輝「これぞ、斜め後ろの三大見奥義さんだいみおうぎだ!!!」

 その時、チャンスが舞い降りてきた。龍輝が高校生の頃から憧れていた現象。突然の突風によるパンチラ!!・・・・・・ではなく、少女の自転車のチェーンが外れたのだ。しかも少女は一生懸命に自転車を漕いでいたので、チェーンが外れた衝撃で転んでしまった。

 龍輝が憧れていたのは、チェーンが外れて困っている女子を助けてあげる事だ。そして今、まさにこの瞬間、目の前でチェーンが外れた。しかも転んで、それなりにスピードも出ていたので、怪我もしているだろう。

 だから龍輝は迷いもせずに行動した。

 龍輝は高校生の頃、自転車で片道四十分かけて通学していた。チェーンが外れる事も何度もあったせいで、外れたチェーンを直すのが大得意になったのだ。

 そして、社会人1年目に、早朝の通勤の際、自転車のチェーンが外れ困っている女子高生を見た事があった。もちろん龍輝は助けてあげたかった。だがしかし、龍輝は朝余裕を持つのが嫌いな性格で、この日のこの瞬間も、いつものごとく遅刻ギリギリだった。いくらチェーンをはめ直すのが得意で早いとは言え、1分、いや、数十秒遅れたら遅刻するレベルだ。チェーンをはめ直す時間はほぼない。車を停め挨拶なんかしてたら間違いなく遅刻だ。しかも、車を停めるスペースもないのに、車の通りはしっかりと多い、裏道という名の狭い道路だった。案の定、一瞬で通り過ぎてしまった。

 (自分も自転車だったら。もう少し時間に余裕がある日だったら。もう少し朝早くに出発してたら。いや、でもそしたらその子はまだここにたどり着いてないかもしれない。じゃあ俺が帰宅の途中だったら。)

 などと何度も思い、挙句の果てには、遅刻してでも助けに戻ろうかとも思った。が、

(あの理解のない上司達にはどうせ嘘とか思われる。笑い話のネタにされる。)

 そんな事を考えているうちに、女子高生との距離も大分離れてしまった。そして、

(まだこんなに早い時間だから、きっと遅刻するような事はないだろう。つまりさっきの子は大丈夫だろう。)

 という言い訳を自分に言い聞かせ二十キロの道のりを会社へと向かった。

 そんな経験を今でも覚えている程に、龍輝という人間は、実は律儀であり、助けたいという気持ちは、下心だけではなく、心底から思っている素直な気持ちなのだ。ただ一瞬見かけて通り過ぎたあの日の事を、今でもまだ鮮明に覚えているのだから。

 そして、こんなに強い思いが生まれる程に、憧れている状況でもあるのだ。

 そういう事もあり、今、急いでもいないこの現状。助ける以外に選択肢はなかった。もしあっても排除したに決まっていたのだろうが。

 龍輝は、急いでもいない道中だったが、急いで車を停めて、急いで駆け寄った。

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