★牢獄での起業!?★
近くの卵型ワープBOXを確認しに来たが、やはり動いてはいない。音もしないし光もない。まさに電源を抜かれた機械そのものだ。
龍輝「現実には未だ戻れない。この第二世界に閉じ込められたままなんだな。世界はある。自
由でもある。だけど、出られない。この世界から出られない。帰れない。そこは自由じ
ゃない。
なんというか、まるで【第二世界という名の牢獄】だなこりゃ。」
そう言うと龍輝は下を向き大きく息を吐いた。そして何かを決心したかのように強く正面を見た。
龍輝「やっぱこのまま腐ってなんてられないな。世界に出て脱出しなくちゃな。」
強く拳も握った。
龍輝「そうしないと、その為に行動しないと嘘だ。俺は今、興奮してる!だってそうじゃない
か。こんな非日常、子供の頃に何度憧れたことか!何度妄想したことか!!ここで行動
しないと一生後悔する。元の世界に帰れても絶対に(もし行動してたらなぁ。)なんて気
持ちが残る。もちろんこんな事故のような事は望んじゃいけない。そんな事はわかって
る。でも、もう巻き込まれたんだ。だったら、
思いっきり楽しんでやろうじゃねぇか!!!」
周りの目など気にせず、思いっきり叫んだ・・・・・・のではなく、人見知り故に、周りの目を気にしながら、周りに聞こえないくらいの少しは大きめの声を出し、誰も見ていない隙に、拳を高く上げた。そして、手を気にするふりをしながら手を下ろしたのだった。
★1ヶ月後★
龍輝「今日から始まるんだ。新しい日常が・・・いや、違う。始めるんだ!こんな世界でわけ
もわからないまま終わってたまるもんか!ちゃんと行動して、前へ進んで、必ず生き抜
いてやる!」
龍輝は、店を構えていた。
【万事屋ギルド RADIANT☆FAIRY】
何でもする便利屋みたいなものだ。これは、所謂龍輝の拠点になるわけだ。もちろん目的もある。
まず、生活費がいる。何とも普通な話だが、この世界でもお金は必要なのだ。無くても、狩りをしたり、自給自足をしたりして生きていく事は可能だが、武具を買う事ができない。それに店を出し人が集まれば、情報も集まる。困ってる人を助ける事もできる。
というのが建前だ。
もう一つ大きな隠された理由がある。それは、
龍輝「まずは困ってる人を助けたい。そうしながら情報も集める。普段は人見知りだが、仕事
モードの時は割と話せる。実は接客だって好きだ。特に若い女性客が好きだ。若い女性
客しか来なくてもいいと思ったりもしている。そして、人助けや情報収集をある程度こ
なせばお金も貯まる。するとなんと、大好きなUFOキャッチャーができるわけだ。楽し
みだなぁ♪」
そう。もう1つの隠された理由、いや、2つ隠された理由があったのだ。
1つ目。若い女性と話したりしたい。
2つ目。UFOキャッチャーをたくさんしたい。だ。
なんとここにきて、第二世界に閉じ込められた現状の楽しみ方がズレているようだった。
龍輝「よし。とりあえず今日はお客さんは来ないだろう。なんて言ったって宣伝も何もしてい
ないからな。だから今日は、高良大社へ行くか。第二世界がおかしくなってからは、ま
だ1度も行ってないからな。もしかしたら、大きな変化が起きているのかもしれないな。」