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似非ボッチの私が逆ハー女の親友になってた  作者: 黛 カンナ
季節外れの牡丹雪祭り編
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第75話 付き合ってない

「浮気はだめどすぇ」


和花さんはとんでもないことをいきなりいってきた。一体何をいいだしているんだ。そして浮気ということは本命がいるのだろう。


…心当たりが多すぎる


一体誰だ?もしかして和人のSPを口説いてたのがバレたのか?それとも胡桃の家庭教師をナンパして胡桃が激怒した事件か?うん、あの家庭教師どうなったかな?


あ、分かった!和人の…


「和人とと言うものがありながら…」


『ちょっと止めてください。私は和人先輩とは付き合ってませんよ』


聞き捨てならない人名がでた。何故に和人先輩なのだろうか?単なるボケかどうかは、生憎分からない。しかしながら和花さんはキョトンとした顔で言った。


「付き合ってないんどすか?」


『付き合ってません』


「え!付き合っているんですか!?」


『付き合ってない!!』


鳳くんは何故かこの世の絶望のような顔をした。だから付き合ってない。


そもそも何でそんな感じに言われるのだろう?私は会長を評価はしてるが関わりたくない人間ナンバー1に輝いているんだぞ。


「そうどすか?絶対に付きおうているんやと思いましたんどすけど・・・」


『絶対にない。本気でない』


私は断言する。相手側だってそうだろう。しかし和花さんは納得がいかないとばかりに顔をしかめた。


「じゃぁそちらの人と恋人なんどすか?」


『違うよ、友達』


そう、決して恋人とかではないのだ。

大体私は二十歳以上は恋愛対象に含まれていない。


和花さんは少しがっかりしたかと思うと、花火を見ながらこういった。


「和人はまた…選ばれへんのどすなぁ」


さびしそうに、我が子を思うようにそういった。


「賢くて、心理戦が出来て、努力家で、才能があって……誰がどう考えても和人の方が上なんに…」


どうしてあの子なのだろう…


そんな声が聞こえた。あの子とは胡桃のことだろうと思う。考えなかった訳ではないのだ。あの逆ハー少女で無条件で愛される胡桃の傍にいた会長がどんな思いをしていたか。


いや、同情することでは無いのかもしれない。同情したら和人先輩の思う壺だし、何より和人先輩はそんなのもう乗り越えている。


「鳳はん、あんたは…和人が好きどすか?」


「勿論です」


和花さんの質問に即答で鳳くんはそう答えた。揺ぎ無い自信がそこにはあった。


「そうじゃなきゃ、この私が人の下にいく筈ありません」


そうだろうな。最近の優しすぎる鳳くんのせいで若干忘れかけてはいたが、本来鳳くんは自我が強くて人の上たたなきゃ気が済まない男だ。それがちゃんと従っているというのは凄い事だと思う。


「うん、ええ答えどすなぁ…」


目を細めて和花さんは言う。それはまるで、鳳くんをふるいにかけている様だ……しかし、鳳くんはそんなのどうでもいいらしく


「いい答えではなく本心です。」


本当に心からの答えを出した。それが私には眩しくて仕方がない。ここまでキッパリと言うのにも結構な勇気が必要だと思うけどなぁ。


和花さんは鳳くんの答えをどう思ったかは知らないが、今度は私のほうを見て質問した。


「千秋はんは和人の事好きどすかぁ?」


鳳くんもこっちを見る。やめて欲しいなー…思春期の女の子にそんな質問とか(笑)アレでしょ?ここでどんな事を言っても女子達が騒ぎ始めてイジメスタートでしょ?これって結構回答に困るんだよな~…


とまぁ、おふざけはここまでにしとこう。


『私はある程度、年の離れた男が好きなので他は恋愛対象外です』


「ふ~ん…それが逃げ口どすな?」


いや、逃げ口ではなく本当に好みは年上なんだけど……


「何でそこまで年上に拘るんかは知らんどすけど……博愛主義もそろそろやめた方がええよ」


『…分かってるじゃないですか』


私が複数の男と付き合ってんの。と言うか私は博愛主義ではない。ただ好きになった男が好きなだけで愛しているだけだ。全員平等に愛してるとかじゃない。その一人一人を好きなのだ。


どこぞのイ○ス・キ○ストと一緒にするな。


「まず…同い年の人も…恋愛対象に…(ボソ」


「え?何か言った?」


「いえ、何でもありません」


鳳くんから何か聞こえた様な気がしたんだが……


「いっそ和人と結婚したらどうどす?胡桃はんを納得させるなら和人くらいどすよ?」


『愛とは誰かに許しを得る物でしょうか?』


ホンワカ様は怖いが、最早私にとって年上を好きになるのは一種の中毒になっている。そんな感じのことを言ったら無言で鳳くんに足を蹴られまくった。


『ちょっ痛い!痛いよ!』


「すみません。イラっとしました」


『何で!?すばらしいセリフだろ?』


そう言ったらもう一回足を蹴られた。痛い


そんな私達を見て和花さんはクスリと笑ったかと思うと、何かに気づいたらしくポツリと呟いた。


「あ、牡丹雪や…」


その言葉につられ上を見上げると雪が舞っており、それはそれは綺麗な物だった。手のひらに乗せると最初は花火の光でキラりと光った後、すぐに溶けてしまった。


和花さんが薫子さんにどんな思いを抱いていたのかは知らない。


跡継ぎ争いがどんなのかは知らない。


和花さんが逃げる私をどう思っているのかは知らない。


結局全ては他人事で真実なんて重くて軽くてちっぽけて重大で……最後はこの雪のように解けて消えて無くなってしまうのだろう。

和花が和人と付き合っていると思ったのは、和人と対等に話す異性が胡桃を抜くと千秋位なのと、和人がよく千秋のことを話すからです。

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