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似非ボッチの私が逆ハー女の親友になってた  作者: 黛 カンナ
季節外れの牡丹雪祭り編
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第74話 浮気はダメどすぇ

花火が始まるというアナウンスが聞こえた。向こうではその合図に対して大いに盛り上がり、中には指笛を吹く者もいる。


「はじまったどすなぁ」


パン!とまずは小さい花火が打ちあがり、それを合図に中小ぐらいの色々な色彩の花火が綺麗に打ち上げられた。小さい花火の周りに中ぐらいの花火が放たれ、一番綺麗だと見えるように出来ている。


それはまるで……


『計算しつくされたあざといキャバ嬢みだいだわ』


「千秋さん…」


鳳くんからの批判的な目線に逃げる為、顔を背ける。…いや、だってさ…そう見えない?この花火ってさ何ていうか計算しつくされてあざとさ満載だもん…


「ふふ、千秋はんは花火が嫌いどすか?」


『いえ別に。綺麗なものとかは好きですよ……花火だって完成された理想の一種だと思いますし』


単に違和感を覚えてしまうのだ。綺麗なものと言うのは人間が求めている理想だと思う。理想を追い求めるからこそダイヤや花火といった綺麗なものを作れる。


ただ…理想は理想なのだ。現実ではない。理想を見るだけ見て後で現実を見るのはちょっと悲しい。しかも理想を夢見てる時はどんなに愚頓な姿でも自覚できないから嫌だ。


そんな私の考えを見抜いたのか見抜いていないのか和花さんは愉快そうに、どこか嬉し気に笑って言った。


「千秋はんは【理想のお化けさん】どすなぁ」


『……』


そう言われた私は思わず和花さんを睨んだ。そして睨むことしか出来なかったのは…否定するのが出来なかったからだ。


その事実に気づき、私の頭はいっきに冷える。それはもう冷徹なほどに。理想を掲げては落胆し、期待した人には幻滅させられる。勝手に幻想を抱き、勝手に落胆する。


「薫子姉さんも…理想の化け物だったんどす」


そう言ってから私を見た。和花さんは私の実母の妹だ。正確に言えば元妹であり、現在は戸籍が抜かれているらしい。和花さんが薫子さんをどう見ていたのかは知らないが。


「けどな、理想ばかりの話は嫌いどすぇ」


そりゃそうだ現にお父さんが理解してくれると勝手に信じて裏切られ、琴音さんが約束を守ってくれると期待して落胆した。自分勝手に理想を求める私を…和花さんは嘲笑しているのだろう。


「私は…好きですよ」


嫌な空気のなか、鳳くんは花火を鑑賞しながら場違いなほど綺麗な声で言った。私と和花さんは瞬時に鳳くんの方へと顔を向ける。


「私は理想をもってる人が…嫌いじゃないですよ。むしろ、好きです」


少し照れながらそういった。そしてそのあと何も写ってない目を和花さんに向けて言葉を発した。


「だから…和花さんの事は嫌いです」


すみません。


謝っている気持ちがあるのか無いのかは分からないが、鳳くんは目に何の色も宿さないまま和花さんを見据えた。和花さんは口元を引きつらせながらもすぐに元に戻す。これは怒っているというより楽しんでいる。


「自分、結構キツイ事いいはるんどすな」


「聞いていて、気分のいいものでは有りませんでしたし、今の状況で和花さんと千秋さんだったら私は千秋さんが好きですから」


庇ってくれているのだろうか?確かにはたから見たら妙齢の女性に苛めれている図に見える……かな?


「自分、面白い人どすな…」


と言ってチラリと私の方へとまた視線を渡してきた。本当に愉快そうに面白そうに、そしてこれはきっと気のせいだとは思うが……羨ましそうに見てた。


「千秋はん」


『何?』


和花さんはゆっくりと口を動かした。一体何を言われるのだろうか?正直この人とはもう話したくない。もしここで鳳くんの悪口みたいな事を言われたら全てを投げ出してもこの人を殴ろう。


若干可笑しな思考回路をしていた私に和花さんが言ったのは予想してなかった言葉だった。


「浮気はダメどすえ」


『は?」


何でいきなりそうなった。



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