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似非ボッチの私が逆ハー女の親友になってた  作者: 黛 カンナ
季節外れの牡丹雪祭り編
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第71話 屋台

「...結構取りましたね」


鳳は両手一杯に千秋が射的でとった賞品をみてそういった。屋台のおじさんが涙を流していたのが可哀想だったのを覚えている。


『欲しいものが結構あったからね』


と、千秋はご機嫌にそう言い、賞品を見つめた。


ウサギのぬいぐるみ、ウサギの珈琲カップ、ウサギのスリッパ、ウサギの帽子、ウサギのパーカー、ウサギの...etc.etc.


ピンポイントでウサギばかりを当てた千秋の目は真剣そのもので狩人みたいだったという。


「...ウサギ、好きなんですね」


大量のウサギグッズを指差してそう言ったら、千秋はハッと気づいたようにそれを見たあと、慌てながら言った。


『いや、ち、違うよ?これは単に他に当てる物がなくて...いや、本当に違うからね?こんなうさピーとか別にどうも思ってないから!』


今さらながらに賞品が大量に入っている袋を隠しながらそう捲し立てた千秋を微笑ましく鳳は見ながら


「うさピーって言うですね、いいじゃないですか。可愛いですよ」


『ち、違うんだってば!そんな幼い子をみる目で言わないでくれ!!』


まるで素直じゃない我が子を見るような生暖かい目をする鳳を見てそう言った。


「じゃあ可愛くないんですか?」


「はぁ?うさピーが可愛いのは宇宙の法則だろ!?あっ...あぁそうだよ大好きだよ何が悪いんだよ』


真顔でつい素が一瞬でてしまいながら千秋は目線をそらしながら言った。


うさピーとは、目が半開きで髭がついているキャラクターである。ぶっちゃけ不細工で小憎たらしい顔をしているが、はまるとそれが可愛く見えるらしく、世界中から熱狂的なファンも多い。


そして千秋はうさピーの大ファンらしい。


実は元々こう言う小さな動物は好きらしく、その中で取り分けウサギが好きなのだ。


「悪いなんて言ってませんよ...ただ...」


『ただ何?』


その問に鳳は少しだけ笑いながら


「ただ、千秋さんも意外と可愛いとこあるんですね」


『意外と、ってなんだ?私はいつでも可愛いだろう』


鳳の答えに千秋は心外だとばかりにそう言い、鳳はそれに対してまたクスリと笑った。


自分で言ったのに恥ずかしくなったのか、千秋誤魔化す様には唐突に言った。


『あ!金魚すくいあるよ!』


千秋が指差す方向に屋台を見つけ、鳳たちはそっちへ向かった。


「実は金魚すくい、得意なんですよ」


屋台のおじさんからポイを一つ貰い、鳳は自慢気にそう言いながら、金魚をすくう。


千秋は見学である。流石に金魚すくいの名人と恋人になった事は無いため、金魚すくいは苦手だ。


鳳は次々と金魚を掬い上げた。


その様子を見た千秋は最初楽しく見ていたが3分もたたない時点で


『...金魚が可哀想だね』


金魚が積み重なり、ビチビチと苦しそうにはね、最早気持ちの悪い物体になった何かを見て思わず言ってしまう。


「そうですか?」


『これ全部貰うの?』


「いえ、母は金魚が嫌いなので返しますよ」


と、500~600辺りで遂にポイが破れ、大量に積み重なった死にかけの金魚を水槽に返した。


一歩間違えれば動物虐待だ。


『金持ちはこれだから...』


やれやれと言うかの様に千秋はそう言った。鳳は意味がわからないと言うように首を傾げた。


「今度はどこに行きますか?」


『じゃあ今度は...』


そのあと、たこ焼き屋に行ったり型抜きをしたりと屋台を歩き回った。


千秋は元々フレンドリーな為、互いが楽しむのに時間はかからず、変な所で恋愛観にこだわりのある千秋が上手く距離を置いたのも楽しめた理由であった。


フレンドリーや社交性という壁で距離を自然に距離を置く千秋に鳳は気付きながらも、楽しむ為に祭りに誘ったので不満は余り無かった。


そして一通り遊んだあと、鳳は腕時計を見て言った


「あ、もうすぐ花火が始まりますよ」


『ほんとだ!早く行こ』


千秋は鳳と一緒に屋台から離れた花火の観覧場所へと向かった。


千秋って実は意外と恋愛観はちゃんとしてると思うんですよね...複数の男とは付き合うけど、恋人じゃなくて好きじゃない男にはちゃんと距離を弁えるって感じかな?


でも鳳くんの事はある程度好きだと思う。

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