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似非ボッチの私が逆ハー女の親友になってた  作者: 黛 カンナ
季節外れの牡丹雪祭り編
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第70話 射的

『早めにきちゃったや』


一時間も前に来てしまった。少しウキウキとしてしまった様だ。こんな時間に来ても誰も居ないだろう。


私はそう思って待ち合わせの石造へと近寄った。牡丹の形をしている大きな石造は、頭の可笑しかった歴代の理事長が作ったものらしい。


5mもある牡丹の石造はちょっとした有名スポットになっている。造った理由としてはセレント学園の権威や威厳を出す為らしいが、どう考えても気紛れで造ったとしか思えない。


何で周りは止めなかったんだろう?誰か止めろよバカ。


そう悪態づきながら石造を見ていると…


「千秋さん?」


鳳くんがいた


『…早いね鳳くん』


私も一時間前に来てしまったが、鳳くんはそれ以前から来ていたようだ。


「そんな事ないですよ、少し楽しみにし過ぎて5時間前にきただけです」


充分そんな事あるぞ鳳君。というか何故かキラキラと輝いている。何でバラを背負っているんだろう?わー…まぶしいや…


『ごめんね、そんなに待たせたなんて…』


「全然!私は好きでいましたから」


そう言ってニコリと笑う鳳くんに釣られて私も笑い返す。


何故だろう?本当に何故か胡桃臭がする気がする……


『まだ花火まで結構時間もありますし、屋台でもぐるりとまわりますか?』


ちょっとだけ敬語になってしまった。


「はい、そうしましょう」


鳳くんは賛同し、二人で歩きながら屋台の方へ行く。

本来ならば夏に登場しそうな活気ある屋台が沢山立ち並び、カキ氷や綿飴やらこの寒い温度を無視すれば夏の祭りだ。


「そういえば、祭りとかにはよく行くんですか?」


『え?あぁ…うん、クラスの友達とかに誘われて行くことは結構あったし、参加したこともあったよ』


「参加?」


『うん、臨時バイト』


射的の商売人をやった事もあったし、たこ焼きとかお好み焼きやら焼き蕎麦やら作った事はある。


勿論その人に惚れて話すきっかけ欲しさではあるが、その辺は省く。


「へー…そうなんですか。ちょっと意外ですね」


『そうかな?』


「はい、千秋さんはそういうの好きそうではないので」


鳳のイメージする千秋とは、祭り事は参加するものではなく見る方だとでも言うように一歩引くようなイメージがあるのと、ボッチのイメージが強い千秋が友達と一緒というのは想像は余り出来ない。


『そんな事無いよ。こういうのは結構好きだし』


単に牡丹祭りには参加しなかっただけである。


『あ、射的だ!』


千秋はすそを引っ張りながら指をさす。


「本当ですね、やりましょうか?」


『うん!射的は結構得意なんだよ』


そう言って笑う千秋に微笑み返し、鳳たちはその屋台の方へ行った。


『一回やらせて!』


「あいよ!」


そういって渡された、射的特有の大きい銃を持ちながら千秋はまず色んなところを見て、時々叩いたり息を吹きかけたり、輪ゴムであれこれする。


「(なにやっているんでしょう?)」


鳳はそう思ったが、声はかけなかった。こういう射的は大抵当たらないものである。女性の非力さでは銃は焦点を定めることが出来ない。


なので鳳は千秋が失敗すれば自分がやってあげようと、少しだけ想像していた。…しかし


バン!ババン!ッパン!


一回目の打つ音が聞こえたかと思うとそのまま3つも取れてしまっていた。


千秋は本格的な構えで銃をもちしっかりと定めていた。


「…本当に得意なんですね」


『昔軍人の彼氏がいてさ、こういう銃器の扱いはある程度教えて貰ったんだよ』


流石に動く人間を打つのは難しいが、動かない物体ならば楽勝だと千秋は笑った。


また元彼シリーズである。最近少なくなってきたと思ったらやはり元彼が絡んでいた。一体千秋はどうやって知り合い、何をもってしてそこまで恋を大きくするのだろうか?


それは謎である。


「ってかどこで知り合うんですか!?」


『一人旅してアランの内戦に巻き込まれたとき』


サラリととんでもない事を言いだす千秋に鳳は頭がいたくなってしまった。どうやって会話をしたんだとか未成年が何やっているとかアランって何処だとかよく生きてこれたなとか色々ツッコミどころが満載であった。


『と、言うのは嘘で京都で元軍人のアフリカ人と知り合ったんだよ』


それはそれでツッコミどころ満載である。


『鳳君は何が欲しいもんある?』


しかし千秋は気にしていないようにまた構えた。


「大丈夫です。楽しんでください」


そういうと千秋は銃を構えて獲物を見据えた

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