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似非ボッチの私が逆ハー女の親友になってた  作者: 黛 カンナ
季節外れの牡丹雪祭り編
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第67話 鳳からの誘い

屋上でスマホを適当にいじりながら、私は寝転がっていた。午後の授業は体育であり、しかも持久走だ。


私の元カレ今彼に残念ながらマラソン選手的な人はいないため、持久走は苦手で大嫌いである。


なので私は授業をサボり、普通校舎の屋上の鍵を外して暇を堪能している。


ガチャ


私以外の誰かがドアを開けてやってきた。


「やっぱりここに居たんですね」


鳳・アレンクシスが寝転がっている私の方へと近寄ってきた。私は上体を起こして耳に付けていたヘッドフォンを首にかけて、声の方向へと顔を向けた。


『ありゃりゃ、よくここが分かったね』


「午後の授業は、千秋さんが大嫌いな体力系の持久走なので、絶対にサボっているなと思ったのと、学園祭の時にここに居たのを思い出しましたから」


そう言えば、遊園地の帰りに鍵開けができるのも見せちゃったや。


まいったな...ここは私の避難所であり、絶好のサボりスポットだというのに...また変えなきゃ駄目か?


『とまぁ...それはそうと、一体何の用?』


私は本題に入り、鳳くんにそう質問する。


「あの...実はこれなんですよ...」


と、広告を私の前へだしてきた。それを見ようとするために自然と真正面にいる鳳くんの方へ前屈みになってしまう。


その広告をみて、大きい雪だるまと花火の写真が大きく出ていた...確かこれは


『季節外れの 牡丹雪祭(ぼたんゆきまつ)りじゃん』


季節外れの 牡丹雪祭(ぼたんゆきまつ)りとは、この季節になると牡丹の花弁のような綺麗な雪がふりつもり、その牡丹雪が神の遣いとされるから祝うとかなんとかの祭りである。


季節外れ、と言われるのは本来夏に打ち上げられるのが定番な花火を冬に打ち上げるからと言われる。


隣町の結構大きな祭りであり、屋台や風物詩が沢山ならんでいる。


因みにこのセレント学園とは珍しく何の関係もない... ...と、思いたい。私的にはまた歴代の頭が可笑しい何代目かの理事長が気紛れで作った祭りなんじゃないだろうかと疑っている。


『んっと...季節外れの牡丹雪祭りがとうしたの?』


さう質問すると、鳳くんは目を少し下に向けたあと、意を決したように此方を見つめて言った。


「一緒に行きませんか?」


真っ直ぐな視線が凄く綺麗で、もし私じゃ無かったら、「これって私の事好きなんじゃね?」と勘違いして後で痛い目見るレベルである。


『...あ、あぁ、和人会長とか胡桃とか他の人たちも喜びそうだもんね...』


取り合えず、この場はこう言おう。イケメンの人に私だけ誘われていると勘違いするブスはこの時点でダメなのである。


イケメンにとっての...ついでに人望が厚いタイプの人気者系の「一緒にいこう」はその前に「皆で」が殆どついているのである。何故ならば皆の中心系イケメンは「仲間外れ」を作らないから人気者なんだと思う。


仲間外れを作るのはいつだって外野の人間なのである。

ソースは私。胡桃と一緒にいると露骨にそれがわかる。


はい、これがイジメ二歩手前のギリギリで生きている似非ボッチの必死の論理である。


しかし、彼は少し困った顔で言った。


「いえ...二人で行きませんか?」


...ちょっとそれは想定外だわ


『あ、ちょっとだけ待ってね』


そう私は鳳くんに言って、少しだけ考えた。

皆で一緒にいこうとかかと思っていた為にこの場合は余り考えていなかった。


ぶっちゃけた話、皆で一緒にいけばあのメンバーは、はしゃぎ回ったり金銭感覚が狂ってたりするから、私は胡桃に奢ってもらったり、あの金持ち達の買ったおこぼれを貰おうとか最低なことを考えてた。


正直な話、私の懐事情はそんなによくは無く、敷金礼金仲介料やその他諸々合わせて約50万が私の貯金から出ていってしまう予定なのだ...


しかし、鳳くんにはかなり世話になってしまっている。学園祭の時には私を助けてくれたし、その恩はまだ返せていない。


赤の他人の駄目な家庭事情に関わらせてしまったのもあるし...


『うん、いいよ行こうか』


「本当ですか!?はい!行きましょう!」


別に祭りぐらいの出費ならいたくもないし、流石に鳳くんにお小遣い下さいとか言えないからね。


「じゃあ休みの日に!!えーっと...日時は...」


『あ、私の携帯番号とメアド教えるよ』


と、私はスマホを鳳くんに投げ渡した。


『赤外線出来ないから打っといてよ』


「え!?ちょっ...そんな簡単に渡していいんですか?」


『いいのいいの、彼氏と胡桃位しかメールこないし』


「わー...本当ですね...ビッシリと男の名前が大量に...」


何故か少し怒ったような声で鳳くんは呟いた後、少しだけ目をピクリと動かした。一瞬だけだったのでよく分からない。


『鳳くん?』


「あ!...はい、私の携帯番号とメアド打ちましたよ」


スマホを両手で丁寧に渡して来た。


『ありがと、楽しみだね』


「はい」


本当に楽しみに思えた。


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