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第64話 休み明け

セレント学園 普通校舎 教室


『おっはよー!!!』


千秋はドアを開いたと共に腕をあげて元気にそう言った。


「おはよー千秋」「アキちゃんテンション高いねー」「おはよー千秋ちゃん」「ぐっもーにーんぐ」


それに対して普通校舎の人間は色々な反応をしながらも返した。千秋はボッチで普段は大人しくし、周りに合わせるタイプなのだが、意外とクラスメートととの交友関係はいい方だ。


勿論、このテンションにも色々な理由がある。


「千秋ー!オーハー!!」


『オーハー!』


両手でOKの形を指でしたあと、パーの形をした女子達に千秋もそれと同じ様にする。


これは何かの暗号か、宗教にも思えるが、これはある意味女子特有の仲間確認であり、相手と同じ行動をする事で警戒心を薄れさせ、仲間意識を出す方法である。


「ちょっとちょっと!!聞いて!真美子がさ浮気...」「立花くんがさ!休みデビューで...」


「つーか彩夏が万引きしたらしいよ!キャハハ!!」


女子達は千秋を中心にぐるりと囲んで一斉に話し出した。

この女子グループは一人一人の権力や地位は弱いが、皆で塊りながら噂話が大好きなグループである。


休み明けのテンションとはすごいものであり、色々な噂や情報が漏れ出す。その信憑性はさだかではないが、彼女たちの噂話は普通校舎の大部分がそう認識しているものなので目安になる。


『えーマジ?』『すごいじゃん』『そんなのよく知ってるね!』


本当はもっとバリエーションがあるが、大抵この3つを覚えとけば噂話はなんとかなる。それすら無理な子は『え?マジ?』と言って後はうんうんと頷けばなんとかなる。


無理に喋って相手がボケて無いのにツッコミをいれたり、下手にオーバーなリアクションとかは皆、望んでいない。


そう言うのは慣れているトップカーストに任せよう。


と、まぁ千秋がテンションを上げているのは女子達の休み明けの情報と地位を守る為でもある。


地位にそこまで執着はないが、平穏にいれるならばそれに越した事はなく、休み明けや所々でコミュ力や社交性を使えばそれは叶う。


「おはよー千秋」


『あ、おはよー』


派手な女子達が挨拶してきた。

その瞬間、さっきの女子達は蜘蛛の子を散らすようにして退散していく。


このいかにもギャルっぽい女の子達は、言わずとも知れたトップカースト達であり、多分このクラス内でもっとも権力の高い子達である。


「でさー休み中にモデルにスカウトがきてー...」


後ろの席で一人の女子が目を細めて私の方へ視線がきた。


因みにこれは、こっちへこいと言う合図である。多分この女子は無意識でやっているから怖い。


席をたち、私は女子達がいる机へ向かう。


『えーマジ?すごいじゃん!!』


「だよねー!」「スタイル半端ないもん」「え?本当に!?」


「まぁね、街中で読者モデルしたわ」


女子はマニキュアを塗りながら慣れているように話す。

私は似非ボッチをして、女王様気質というか女子を纏めるリーダータイプをみながらよくこう思う。


何故か女子を侍るの好きだな皆...


何故かが分からないのだが、こう言う綺麗で可愛い子の周りにいるのは何時も女子であり、もてはやされるのも女子である。


勿論男子も会話に入ることはあるが、基本は狭い机をグルリと囲む女子の分厚い壁によりそれは出来ない。


そして分厚い壁の中にいる女子は話を続ける。


「私ってさ、そんなにダイエットとかしてないし、結構食べてんだけどね~」


という、女子の約8割はめっちゃダイエットしまくっているか、メモ帳にカロリー計算が沢山あるぞ。


「つーかさー...千秋も結構スタイルいいよね?」


と、いったのはさっきまでリーダー格の女子をもてはやしていた女の子である。


『いやいや、私って目に隈はあるし身長デカイだけだよ』


私は即座にそういってネガティブキャンペーンをした。女子がネガキャンするのはこう言う風に自分を守る為でもあるので気をつけましょう。


「おーい席につけー」


教師がナイスタイミングで教室に入り、そういったので、皆自分の席に戻る。


私も自分の席にすぐに戻る。


私の日常がまた始まった

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