表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/120

第64話 千秋の決断

『琴音さん...』


千秋は天王寺を背に、ゆっくりと琴音の方を見た。琴音は泣いている。泣きすぎて、頭が痛くなっている様子だった。


千秋は涙をながし終わった。


千秋は琴音に向かってゆっくりと口を開く。


『琴音さん...あのね...』























『...おーい先輩?何か怒ってますかー?』


天王寺の車の中で、千秋はヒラヒラと手をふって意識確認をしている。天王寺はそれをチラリと見ると。


「別に何も怒ってねーよ」


そう言って千秋の頭を乱暴に撫で、千秋は首をふって抵抗はしているが、余りの力の強さにグラグラと揺れている。


『怒っているじゃないですかー!?』


「怒ってねーよ」


...結局の所、千秋は琴音を許さなかった。

許さなかった、と言うのには語弊があり千秋的には許したつもりだったのだろう。


ただ...仲直りをいきなりは出来なかった。ただそれだけだ。


家に帰る事はしないが、時々帰る。その時はもう拒絶しないで欲しい...


その場面については余り言いたくない。彼女なりの決死の覚悟と、必死の会話でなんとか丸く収まる感じにはなったとだけ言おう。


『仲直りは...今は無理ってだけですよ?今後の未来ではどうなるか分からないですし...少しだけ逃げさせて下さい。』


「おーおー逃げろ逃げろ。国際指名手配犯並に逃げろ...安心しろ、誰もお前をせめたりしねーから」


冗談っぽく俺はそういい、千秋の髪をグシャグシャにした。実はサラサラの髪である千秋は結構さわり心地がよかった。


これは所謂バッドエンドなのだろうか?いや、千秋はこれで満足し、琴音もこれ以上傷付かずにすみ、何よりまだ希望があって拒絶されなくなったのは大きいと思う。


ではハッピーエンドか?と聞かれればそれは俺にも分からない。

千秋は結局家に帰る事はせず、親に甘える事もなく、拒絶する事も受け入れる事も出来なかったのはハッピーなのか?


俺は結局第3者で赤の他人であるため何も分からない。


『色々助けてくれたのに、中途半端に終わってすみません』


「なんで謝んだ?寧ろ人様の家庭に乱入してきた赤の他人を怒る場面だぞ?...それに、どんな決断をしようとお前の自由だって言ったろ?」


『先輩... ...頭を撫でるのいい加減にしません?』


「却下だ」


最早手が止まらない。つまりこれは仕方の無いものだともう諦めてくれ。撫で心地が良すぎる。


その事に対して諦めたように千秋は溜め息を吐いた。


『まぁ...琴音さんはこれから成長すると思いますよ。きっと...まぁ今は無理ですけど、いつか私は琴音さんを頼る時がくると思います。』


それは願望に近いと思った。琴音も単なる愚か者と言うわけではない。家庭を初めてもって精神が未熟であり、これから経験をつめば多分、ちゃんとした母親にはなるだろう。


けれど、千秋は気付いているのだろうか?

千秋は結局、[琴音さん]を[お母さん]と呼ぶことは無かった。


『そんな事ないですよ。単に...言い慣れないだけです』


何度か呼んだこともあります。


「それは悪かったな」


ところで、彼女はいったいどこへ帰るのだろうか?


『今日はネトカフェに泊まります』


「またか...不健康生活も終わりをつげろよな」


『善処しまーす』


絶対嘘だな。こいつ絶対また不健康生活に走る。早死にするタイプだこいつ。


『幸せになりたい...』


窓の方を向きながら彼女はボソリと言った。


「俺様が幸せにしてやろーか?」


『マジ?胡桃より私を選んでくれるの!?』


「んなわけねーだろ、バーカ」


『カッチーン』


そのまま千秋に足を蹴られ、俺は仕返しとばかりに俺も足をけり、千秋は手で俺を叩き、俺も叩いた。


運転手に怒られるまで、俺たちはバカみたいに...何時もの様に喧嘩した。

何て言うか...すみません。本当は千秋と琴音が和解してハッピーエンドにしたかったんですけど...上手くいきませんでした。


千秋と琴音のシーンを書かなかったのは、グダグダ書くよりいっそ思いきってアッサリ書いちゃえ!!と思ったからです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ