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第61話 本音を言う

色々と千秋が面倒臭い人間になってます。

転げ落ちたのは殆ど他意はない。少しだけ驚いてしまったんだ。というか最近私の周りが慌しくなってきているな…


『痛っー…大丈夫、少し転んだだけだから』


心配そうに見てくる父と琴音さんを見上げながら私はそう答えた。さて、本当に収集が付かなくなってきた。状況を説明すると、今の私の周りには父と天王寺先輩と琴音さ……


『あの…琴音さん、なんで来ているんですか?』


取り合えず気になる事を質問してみた。しかし、何故か私の声は低くて冷たい……アレ?可笑しいな?。しかもそのせいで琴音さんは気まずそうにこっちを見て、また視線を外した。


「えっと……天王寺君に案内されて…」


『そうだよね、そうなるよね』


本当になんなんだろう?気味が悪い位に低い声が出てしまう。本当にヤダな……。


「大丈夫か?千秋」


『大丈夫だよお父さん』


心配してくる父を手を振るジェスチャーでそう答える。


「しかし〔プルルル……〕……すまん」


携帯がなり、父はそれに出た


〔ちょっと!仕事放ったらかして…〕「すまん、しかし娘が倒れて…」〔今、会社がパニックに…〕


話を聞くとどうやら父は仕事を放り出してこっちに来たらしい。あの仕事人間がそんな事するなんて夢にも思わなかった。それに対しては感謝の意を唱えるが、社会人としてはアウトだろう。


『お父さん、仕事行って来なよ』


「しかし……」


『私はもう大丈夫だから…お願い』


ここまで言うと父は申し訳なさそうな顔をして言った。


「本当にスマン……」


「帰りかた、教えますね」


屋敷が広いのでそう天王寺先輩は言い、父は上着と荷物を抱えて天王寺先輩に案内されながら医務室から出た。


本当に考えられない事だ、あの仕事人間で家庭を放ったらかしにしてきた男とは思えない。そんな風に思考を張り巡らせていると小さな声が聞こえた。


「……ずるい」


本当に一瞬だけど、ハッキリと聞こえた。その言葉だけで色々と理解してしまった。


『ずるい…でしょうか?』


「秋雅さんにあんな風に思われて…ずるいって…思ってた」


[思ってた]過去形であり、つまりは今はそう思ってないかもしれないが...私にとってその言葉は過去なんかじゃない。


「私は貴方がずるいと思いますよ」


この言葉に琴音さんは目を見開いた。

私の言葉は少しだけ嫌味交じりで低くして……冷たかった


『自分の子供をダシに使って私を拒否するし、私が一人で何でも出来るからって嫉妬して私に嫌味を言いまくるし…悲劇を気取る権利を持つなんてずるいです」


あぁ、なんて最低なんだろう。本当に気持ち悪くて吐き気がする。この人は本当に悪く無いのだ、ただ愛する人と結ばれて結婚しただけなのだ。


そしてその結婚相手に子供がいて、そいつが可愛げ無くて気持ち悪くてマセていただけで、そして自分の子供が可愛くて仕方無い……普通の女性なんだ。


この場合、本当に被害者は琴音さんで私は加害者だ。その自覚を私はもっと持たなければならない。


そして私は悲劇を気取る権利なんて持ってない。いや、あったとしてもそれは放棄する義務がある。


……けれど、私の口は止まらない。最初はちゃんと制御できているのに、疲労でコントロールが上手くいかなくなっている。


『大体、何で私に文句言うんですか?一人でなんでも出来る?仕方ないじゃないですか、出来るようになってしまったんですから。大体貴方は最初私を可哀想だって目をしましたよね?


私がずるいんじゃない、貴方が勝手に私を格下だと決め付けてただけだ。ふざけるな!!」


ハァ…ハァ…

全てを言い切って私は呼吸を整える。琴音さんは俯いている。もしかしてまた泣いてしまったのだろうか?あぁもう!!何で私は肝心な時にバカなんだろう、これじゃ唯の我侭なクソガキじゃないか……もう嫌だ。


「見下して、可哀想な子供を救える聖母かなにかになれると貴方は勝手に幻想を抱いていただけだ』


口が勝手に動く、脳ミソに手を入れられてグチャグチャに掻き回されているみたいだ。


というか意外と私ってプライドあったんだな。女子グループの嫌味とか生徒会の嫌がらせは上手くあしらってたり、胡桃を色々頼りにしたりしてたのに……琴音さんにはこんな事言うなんて。


つまりは私の方が琴音さんを見下していたのかもしれない。勝手に母はこんなもんだと偏見を持っていたのかも知れない。家庭以外では完璧超人な薫子さんと比べていたのかもしれない。そして無意識の内に自尊心が出来て……自分のことなんて深く考えた事無かったから訳が分からなくなる。


琴音さんは俯いて少しだけ震えている。涙を流しているかもしれない。これはもう完璧に私が悪い言い訳の仕様もない...けれど


『私にだって...怒る権利はあるんだ!!」


「っ…」


琴音さんは何かを噛み締めた声を出したあと、私の方へ顔を向けた。琴音さんは涙を必死で堪え唇をかみしめていた。そしてその口を開け言葉をだそうとする。


私への暴言だろうか?罵る言葉だろうか?きっと怨みつらみの類なのかも知れない。ならば私はそれを受け入れよう……と私は思っていた、しかし琴音さんから出た言葉はそんなんじゃ無く……


至ってシンプルなものだった


「ごめ゛んなざい゛」

悪いことをしたらごめんなさい。


千秋はストレス溜め込むタイプですね...

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