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第56話 夢

夢から始まります。

「千秋ちゃんは何でも出来るのね」


『そんなこと無いよ』


「ご飯も一人で作れて私より美味しくて、世渡りが旨いから近所の人とも仲良く出来て...すごいわね」


琴音さんは自嘲するかのように私を誉めた。そんな言葉より私は料理を食べて欲しい。早くしないと冷めてしまう。


「本当にごめんなさいね、実の娘を産んで蔑ろにしちゃったと思ってるんでしょ?どうせ私は子育てなんて上手くいかなくて、貴方に色々押し付けてるわよ」


そんな事よりご飯食べようよ、今日は琴音さんが食べたいって言ってた京都料理だよ、頑張って作ったから美味しいと思うよ。


『...琴音さ』


「どうせ!!どうせ貴方も私を嫌いなんでしょ!?何でも一人でやって!!せっかく愛する人と結婚出来たと思ったのに!貴方が!!貴方なんて!!!!



居なかったらよかったのに」


ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ








『オェェ!!...ゲホっ!...はぁ...ハァ...アレ?ここどこ?』


喉が酷く痛くて異物が大量に出てきた。そのせいで呼吸が一時的に困難になり、すべて吐き出した後必死で酸素を貪る位に深い呼吸を繰り返して冷静さを取り戻した。


「起きたか?」


天王寺先輩が何故かそこにいて、どうやらここは先輩の家だったらしい。私は家の前で倒れていて、たまたま通りかかった先輩が運んでくれたらしい。


「何があったんだ?」


と、先輩は質問した。それの答えは思いっきり泣いてやろう、先輩に泣きまくって流石に同情する位思いっきり泣いてやろうと考えて私は口を開いた。


『ハハ...誰も来ませんでした』


泣きまくってやろうと思って口から出たのは乾いた笑みだった。うわぁ~気持ち悪い。


「...誰もか?」


『はい、待っていたら帰ってくるかな?って思ってたら誰も来なくて...これが、答えなんでしょうね』


これが答えなのだろう。何て親切で分かりやすい答えなのだろう。どんなバカにも分かるような問題の答で、私はそれが分からなかった大バカ者だ。


「もしかしたら、旅行とか行ってて留守電聴いてなかったのかもな。不運なやつだなお前」


『もう、いいんです。先輩』


先輩なりに逃げ道を用意してくれているのが分かった。元々聴いていないかもと思うかも知れないが、残念ながらその可能性は低い。留守電は琴音さんの携帯にも繋がる。


つまり、琴音さんは私の留守電を聴いていたのだ。


もしかしたら他の可能性もあるかも知れない。たまたま電話機と携帯が壊れたいたとか、琴音さんは間違えて消してしまったとか...逃げ道はあるし、希望もある。けれど...


『もう疲れてしまいました』


[もしかしたら...]それを考えるのでさえ、逃げ道へにげる事さえ最早疲れてしまっていた。それは精神的にも体力的にももう疲れた。


「少し、席を外す」


天王寺先輩はそういってドアの方へ行き、どこかへといった。


『あー、頭いたい~』


誰も居なくなった白い部屋の中で私は一人で言葉を出す。寝ゲロをしていたが、使用人の人が何度か変えてくれていたらしく、汚臭はしない。


頭は痛くて目は生理的な涙を流していたせいか、パリパリに乾いていた。喉は吐き続けたせいか未だにヒリヒリする。なんだか昔を思い出した。


そういえばあの時もストレスが限界になって酒の一気飲みで急性アルコール中毒をおこした倒れていた。あの事件は本当に迷惑をかけた、今日みたいに吐きまくって頭痛くて...目が覚めたら親はいなくて...


まぁあの時は親に虐待の容疑がかかって尋問されてたらしいけど...


そんなどうでもいいことを考えながら、私はベットに寝そべった。目は絶対に閉じたくなかった。


夢を見ることさえもう疲れたから。

虐待の容疑がかかった原因は近所のおばはん達の仕業です。再婚、若妻、一人でなんでもする娘。これは噂の対象になりますね。しかも主人公はおばはん達に結構可愛いがられてましたから。


夢はかけました。

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