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第55話 天王寺視点

最近千秋は俺様によく楽しそうに、上機嫌でよく言っていた。


『皆でクリスマスを一緒に過ごせるかもしれないんだ!』


興奮気味に本当に嬉しそうに話す千秋は...まぁ、普段の死んだ魚の目や根倉っぽい感じよりかは...結構よかったと思う。


皆と言うのはどうやら新しい母のことらしく、雰囲気であまり上手くいってないのは察していたが、どうやら食事の約束が出来たらしい。


らしいと言うのは、不都合が有れば連絡してほしいと伝えたので連絡が来るまでは分からないらしい。しかし、前日になってもそのような連絡が来なかったので、どうやら上手く行ったと思う。


『そりゃ...そんなすぐには、仲良く出来ないかもだし、もしかしたら気まずくなるかもだけど...でも!頑張ってみる!』


そう笑ったアイツは嬉々としていて、本当に嬉しそうで年相応な普通の女の子だった。


幸せそうだった。不安そうで緊張していた、当日になるまで俺様にずっと『気まずくならないかな?』『嫌われないかな?』と言っては唸っていた。


それに対して俺様は「しるか」「嫌われたらそんときだろ」と言って...けれどまぁ、上手くいけばいいなと変な友情ともいえる何かからそう思った。


千秋と継母は上手く行っていなかった。千秋は気を使ってたらしいがそんな生活にすれ違いが発生し、上手くいかず、結果千秋はストレスから酒を飲み、急性アルコール中毒をおこした。


この事件は結構な噂になっているらしく、近所の人が面白そうに喋っていた。


そんな事件のせいで実家とは疎遠になっていたが、千秋は本当に嬉しそうしていた。まぁ...そんな千秋を見るのは悪くはなかったと思う。


だから千秋の家に通りかかったのは本当に偶然だった。面倒臭いパーティーがやっと終わり、帰りにたまたま近くを通ったからちょっとだけ、寄ろうと思った。


千秋が上手く行ってるならばそれでよし、もし気まずくなってたり、上手くいってなかったら...しゃくだがそんときは一言位慰めるか、アイツの好きなスイーツ食べ放題でも驕ってやろう。と思っていた...











「お前、なにしてんだ?」


目の前の光景にあったのは、継母と上手く行った千秋でもなければ、気まずくなってたり上手くいかなかった千秋でもなかった。


千秋は...家の前でうずくまっていた。足を抱え顔をうずめ、体育座りみたいにして雪の中にいる千秋だった。


嫌味をいっても反応しない。ピクリとも動かない。それに可笑しいと感じた俺は千秋の顔を無理矢理自分の方へ向かせると、酷い熱があった。


それがわかった俺は千秋を抱えて車の中に押し込み、自分の家に運んだ。腕がふるえて焦るようにしたから結構雑だったかもしれない。


俺はバカだったのかもしれない、そもそも前提が間違っていた。コイツの母親は話くらいする物だと思ってた。向き合うものだとそう勘違いしていた。


本当に俺はバカだった...



白いベットに寝かせ時おり咳と嘔吐を繰り返す千秋はとても苦しそうだった。


『ゲホっ!...おぇぇっ!...あれ?ここどこ?』


「よう、起きたか?」


意識が覚醒した千秋は嘔吐を繰り返しながら周りを見た。状況の説明をしたら、千秋は色々と理解したらしくアチャーと恥ずかしそうに笑って。


『ハハ、誰も来ませんでした』


笑顔でそういった千秋には...最早涙を流す力さえ残っていなかった。

天王寺は親友とも言える千秋の幸せをなんだかんだで願っていました。涙を流す力さえ残っていなかった千秋をみてどう思ったのでしょう?

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