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似非ボッチの私が逆ハー女の親友になってた  作者: 黛 カンナ
少年少女のセレ祭はまだ終わらない。
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第52話 リカと和人の会話

「あの、天崎さんは...どこにいるの?」


リカは少し気まずそうに和人に質問した。その表情は少し後悔している様であり、少し怖がっている様だ。


「ん?千秋やったら、もう帰ったで。もう面倒事を増やしたくないみたいやったわ」


「そう...」


あっけらかんと軽くいい放つ和人に対して、リカは俯きながら目をキョロキョロとさせていた。


リカは少しキツい性格ながらも、胡桃とは違ったタイプのいい子である為に罪悪感が出ている。


「天崎さんは...私の母をどう思っているのかしら?」


「自分を育児放棄して手放して、最早親としては最低最悪過ぎて時々会いに来るから、もしかしたら何時かは分かり合えると少し期待した矢先に再婚しだして、それのせいで一種のトラウマにさえなってしまった、彼女が母親になったのは自分にとって一番の不幸」


早口でまくし立て、リカにそう言い放った。これは和人本人の感想でもあり、千秋がそう思ってるかもしれないという感想だ。


リカは自分の母を全否定されて、戸惑っている。崇拝者であるリカにとって和人の言い分はショックなものだった。


「やけど...それでも幸せになって欲しい人や」


最後に和人はそう付け加えた。

子供にとって親は世界の全てとも言っても過言ではない。そして千秋のその子供の一人だった。違うのは彼女が聡明過ぎたのだ。


自分にとって親は世界の全てだが、親にとって子供は世界の全てなんかじゃない。その事を早々に気づいた千秋は本音を殺し、格好付けた言葉で誤魔化した。


叫べば何か変わったのかと聞かれればそれは分からない。助けてくれと言えばなんとかしてくれたのか?と聞かれればそれは分からない。言わなければ分からない。


親が子供を見捨てる筈など無いのに。


それに気づかなかった千秋を攻めることは出来ないだろう。自分は愛されていると自惚れる事が出来なかった彼女は何も悪くない。だったら、だったら...


「俺は...せめて千秋がキレてくれたらと、怒ってくれたらと、思った。お前のせいだと、ふざけるなと...俺は千秋が怒ってくれたら...いや、怒ってキレて殴って罵るもんやと思ってた」


最悪は殺したって別にいいとさえ思った程だ。大袈裟かもしれないが、和人は冗談抜きで殺してしまえと思った程だ。


「せやのにアイツは[どうかお元気で幸せになって]って言うたんやで?あんな最低な親やのに...幸せを願ったんや」


和人は自分の口を止める事が出来なかった。何故か胸が焼ける様に痛い。自分の事ではないのに、自分の様に怒りを覚える。


「ごめんなさい」


リカは頭を下げてそう言った。シンプルで迷いのない言葉。


「天崎さんに、そう伝えて貰えますか?」


リカの頬に涙がつたっている。情けなくて自分の未熟さを心から思っている表情だった。


リカは見えない敵と戦っていた。天崎千秋は自分を見下していると感じていた。自分より名門校に入学し、自分より色々な資格をもち、自分より優秀であることを見せ付けられていた。


しかし千秋は見下したこと等一つもなく、対等な存在だと思って接していた。千秋が自分から歩みよったのが何よりの証拠であり、胡桃が苛立っていた原因だ。


「ええよ、伝えたる。」


和人はリカにそう返事をした。和人も分かっている、リカはちゃんと反省し成長して謝罪をしたことを、だから和人も素直に返答した。


「あ゛り゛がどうございまず」


もう一度頭を下げ、夜の廊下を歩いて行った。涙を我慢しているせいで、声がガラガラになっている。


しかし彼女は心から反省し、自分の未熟さを理解した。それはきっと彼女にとって大きな成長となるだろう。

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