第4話 学校を辞める気はない
「なにあの子... ...」「何でいるの?」
やはり特別校舎はそんな声が聞こえる。
そりゃそうだろう、普通校舎の人間がこられたら生理的に無理な人はいるし、私はしないが、盗難の危険だってありえる。
そんな風に思われて何かやだなー...なんて思っていると...
「入れ」
談話室についた、生徒会御用達とあって、中々豪華なつくりになっている。
『お邪魔しまーす』
そして中に入る。
桜ノ宮先輩は私のほうを見ている。
うわ怖い、もし眼力に人を殺す力があるなら、現在私は人生をドロップアウトしていただろう。
何で私はこんなに怖い思いをしなければならんのだ。
『ご用件をお伝えください』
少しビビッて留守番電話風に言ってしまった。どうしよう、いっその事「現在留守にしております」とでもいってやろうか?
今いるじゃん私
そんなアホとも呼べることを考えていると重々しい口が開いた。
「単刀直入に言おう」
談話室のソファーに座った桜ノ宮先輩が日本茶を飲みながら言ってきた。
「この学校を辞めてくれないか?」
「テメーはバカか無理だよんなもん」
ついつい、素が出てしまった。
しかし、これは許されるべきだろうだってこの人頭可笑しい事言い出すんだもん、仕方の無いことだよね、うんうん。
「貴様...」
『いや、貴様...とか言いたいのこっちです、嫉妬で人の進路踏み潰すとかバカがやる事ですよ、オーケー?』
懇切丁寧に私はゆっくりと諭すように言ってみたが、相手はどう見てもノーの顔。
「無責任に辞めろといっている訳ではない、ちゃんと代わりの学校も探してあるから安心しろ」
と、テーブルに資料が置かれた。
「専門学校だ、貴様は普通科の成績はそこそこだが一定の専門知識では並外れた知識と技術を有してある、だからここではどうだろうか」
まぁ、言いたい事はわかる。普通科より専門があっていると言うのだろう。
確かに私は、普通科での成績は普通校舎の人間より少し高く、特別校舎に入れる程には成績は良くない。
とまぁ中途半端な成績だ、ついでにテスト内容によって大きく点数が揺らぐ。
だから、専門学校と言うのは本来私向きに見えなくもないが... ...
『行って、私は何を学ぶのですか?』
うん、コレの一言に尽きる
「例えるなら、貴様は確か化学でガソリンの使い方や危険物の取り扱いに知識を有していただろう」
『危険物取扱乙種第4類 の資格を持っているので行く必要ありませんが?』
うん、ガソリンスタンドで働く彼に一目惚れして一緒に働きたいが為にその資格とったんだよなー...
「...調理ではどうだ?プロ顔負けの腕前だと聞いていたぞ」
『調理免許、及びフグの免許を持っているのでもう必要ありません』
料理上手な女の子と競いたい!なんて可愛い事を言う年上のシェフに惚れて調理師免許取ったんだよな~
『ついでに言いますと、私は専門知識があるだけで専門を学びたいと思っていませんし、自力で取れます。
何よりこの学校を退学してしまえば、まもなく胡桃も一緒に退学しますよ?』
ダメ押しの一言、あの子なら
「千秋のいない学校に居る意味ない・・」と言い出して学校を去ったあと、伊集院財閥の権力を最大に使って私の元へ来るだろうな。
...怖いな...
なんて事を思っていると、桜ノ宮先輩は苛立った表情をした。
「っち...仕方ないな」
『じゃあ失礼しまーす』
手をヒラヒラさせて談話室の扉に行く前に
「貴様、絶対に追い出してやる」
なんて言葉を背に受けた。
ああ、なんて生き辛い世の中だ。悲しい。