第42話 セレ祭当日①
最初、千秋の彼氏描写があります。
ピピピピ……
私は設定してあった携帯のアラームで目が覚めベットから起き上がる
『ふぁ~…ん』
低血圧な為起き上がってからポー…とする時間があるので、目を開けたまま脳は夢心地だ。
「起きたのか?千秋」
『おはようございます、光圀さん』
アラームの音で千秋の彼氏も起きたらしく、ベットから起き上がった。水泳のコーチをしているだけあって、見えている上半身の筋肉は均等が取れており腹筋と上腕筋がバランスがいい。
千秋も意識が戻ってきたらしく、服を着始めた。
元々寝巻きは着ていなかったので制服をきるだけでよく、着替えるのにそこまで時間はかからなかった。
「随分と早いな、誰かとデートか?」
光圀は汗で若干べたついた肌をタオルで拭きながら言った。
千秋はその質問に対して少し微笑んだ後光圀にキスをして
『違いますよ、今日は学園祭なんです』
と、笑った。
セレント祭
通称 セレ祭 最後の晩餐 さよなら祭
それが始まったのは定かではなく、明治の文明開化の時に外国からきた教師達が教えたのが始まりとされているが、それは建前上の話であり信じているのは今までセレント学園に縁もゆかりも無かった人たちであり、親や祖父が通っていたりする由緒正しい家柄の人たちや古参の教師達はそんなのは信じていない。
元々は普通の文化祭であり、その日程もテスト終わりで特別校舎と普通校舎のレベルが違いすぎる事以外はちゃんとしたものだったが、3代前の道楽が行き過ぎている理事長が面白半分にセレ祭を発案した。
普通校舎の生徒の為にテスト前にセレ祭をすることで息抜き、及びモチベーションを上げると言うのが理事長の言い分だが
難しすぎるテストを乗り越える人達は猛勉強をしなければいけないのにセレ祭に追われて出来ず、しかもそれにかこつけて気に入らない人物を蹴落としたり、落第させたりしている生徒達を見たいと言うのが理事長の本音だと誰もが分かってしまった。理事長は悪趣味で有名だから
しかし、それではどうやっても体面は駄目になってしまうし世間体も悪いので2代前の理事長が「セレ祭は明治からある由緒正しき文化である」と無理矢理に言い訳をつくった。つまりは
『セレ祭とは悪であり、道楽理事長が暇つぶしで作ったものなのだ。故にそいつは何で殺されなかったんだろうか』
千秋はハニーココアを飲みながら苛立ち気にそういった。
「え?どないしたん?」
『会長、私は苛立っているんです。二代前の理事長のせいでセレ祭はテスト前にやらされてるんですよ』
「いや、自分点数は取れるんやからええやん」
真面目な顔していう千秋に対して和人は呆れた様に言った。
セレ祭当日になり、学校はおおいに盛り上がっている。来年受験する子供と保護者も来れば、美形の生徒会を聞きつけた他校の女子学生に普通校舎の友人達。
千秋と和人は警備班に振り分けられているが、普通に警備会社の人達がいるので名ばかりである。仕事は殆どない為比較的に静かな校舎裏で二人は休憩している。
「つーか友達と一緒やなくてええんか?警備班なんて名前だけやで?」
武道の心得が多少ある和人と武術の初手程度を嗜んでいる千秋ではあるが、警備班を選んだのは一番暇だからという理由だ。
『会長、嫌味ですか?女子達は腹黒い蹴落とし合戦してるんですよ?〔私、全然勉強してな~い☆〕なんて言ったりしてヤバいんですから』
ようは道連れを作ろうと皆必死なのである。上手いこと乗り越えている女の子達はともかくとして、本気で成績がヤバイ子達はそういう風になる。
しかも千秋はレプラの仕事に追われていたため、ほとんどクラス行事に顔をだせず自分の居場所が無いとまではなくても、気まずさは一切無いとは言えない状態だった。そのことを和人に伝えたのだが…
「いや、俺が〔友達〕言うたんは胡桃のことやねんけど…」
そういわれて気づく、無意識の内に〔友達〕というカテゴリーから除外してた事を
『あ…いや、ほら胡桃は特別校舎じゃないですか』
取り繕ったように千秋は言う、それに対して和人は何か言いたげそうだったがそのことには触れず、かわりにチケットを出してきた。
「胡桃のクラスで映画やることになってん、それのチケットや」
『クラスの行事でチケットて…』
普通校舎とはちがう豪華さに改めて驚く
「胡桃が見て欲しがってたから、見に来てやってや」
『はぁ…分かりました』
そう言ってチケットを受け取った
『そういえば、どんな話ですか?』
「たしか、胡桃と天王寺が主人公のはなしやった気がするわ」
……天王寺先輩、クラスどころか学年違うじゃん




