第41話 鳳と天王寺の会話
「大丈夫なんでしょうか」
鳳は心配そうに声を出した。
生徒会役員とレプラの部屋は現在別れている。セレ祭も近づいてきた事で部活やクラスの人たちが大量に流れ込み、広いはずの生徒会室でさえ狭く感じる程であった。
今は一通りの指示を出して一旦は収まってる。
鳳と天王寺以外は現在出払っており、ガランとしたいる。天王寺は書類に目を通してコーヒーを飲みながら鳳をチラッと見て。
「一体何が心配なんだ?」
「あの二人ですよ...ほら、安藤さんと千秋さんは余り仲良くないでしょ?」
「......珍しいな、お前が心配するなんて」
と天王寺は少しだけ驚いた様に言った。
鳳と言う男は、胡桃や友人以外は基本的にどうでもよく思っている人間であり、紳士的なふるまいはしているが、実は結構腹黒い男の筈だった。
「ふぇ?...別に...そんなんじゃありません、仕事はキチンとして欲しいと思っただけです。」
一瞬変な声をだし、取り造ったように早口で喋る。
「確かに昨日疲れきってたし、爆睡してたからな…でも」
仕事はちゃんとするだろう、と続けようとした天王寺の言葉が止まった。と言うよりかは、止められたのだ。行き成り身を乗り出して顔をがん見してきた鳳のせいで
「何で…なんで千秋さんが爆睡してたとか…しっているんですか?」
「お、鳳?」
珍しく天王寺は狼狽する。鳳の目はまるで殺人鬼の様にギラギラとしており、今にも噛み付きそうな雰囲気をだしているからだ。ハッキリ言おう
怖い
「いや、昨日ホテルに泊まったからだが?」
「ホテル!?ホテルに泊まったってどういう事ですか!?」
「ちょっ鳳?」
ミシミシと、指がめり込むんじゃ無いかと思う位に両肩を掴んで離さない鳳。いつもと違う雰囲気に天王寺は、目の前の男は鳳の皮を被った何かじゃないかとさえ思えてきた。
「聞きたい事があったからだ、後、何を考えているかは知らんがちゃんと部屋は別々だし如何わしい事は何一つしてねーよ」
流石に痛くなったので肩にある手を必死で振り払い、そう弁論する。
「そうですか…で、一体何を聞きたかったんですか?」
鳳も多少は冷静さを取り戻した様子で言う。
よく考えれば、目の前にいる生まれながらの王様は胡桃を何より愛しており、転地がヒックリ返ってもそれは変わらない程だ。
「それは言えねー…」
天王寺は鳳の質問にそう答える。
自己中であり、唯我独尊な天王寺だがそこら辺はキチンとしている。
だから千秋もアッサリと天王寺に打ち明けたのだろう、天王寺とは嫌い合っている仲ではあるが友情に近い何かの信頼もある。
「そうですか…」
「…お前って最近千秋と何かあったのか?」
今度は天王寺が質問する。
いつからか、鳳の様子がちょっと可笑しいのだ。鳳は千秋を嫌っており、よく取り巻きの女子たちを使って嫌がらせをしたり、持ち前の毒舌で千秋に嫌味を言いまくっていた筈だ。
しかし最近はそういうのはなくなり、鳳は千秋をよく心配したり気にしたりしている。
毒舌で文句をいいながら、千秋がケーキで口が汚れた時はハンカチで無理矢理に拭ったり、千秋の髪がボサボサになればくしをもってとかしている。
その他にも、隈が酷いからか安眠グッズをもたせたり、ハンカチとティッシュは持って来たかの確認をしたりしている。
そのお節介はある意味いやがらせに近いので、新種のイジメなのか?
「何もありませんよ!バカな事言わないでください!」
顔を真っ赤に…とまでは言わないが、ちょっと焦りながらいい出す鳳は普段のイメージとかけ離れ過ぎていたが…
俺様的にはこっちの方が年相応で好感がもてた。
「そうかよ」
鳳と千秋に何があったのかは分からんが、実質的な被害が来ていないのでいいとしよう。
俺様は残りの書類に手をだして、さっさと終わらせようとした。
「明日はセレ祭だな…」
いい予感も悪い予感も含めて俺はそうつぶやいた。
天王寺は被害がでない限り、優しく見守るとおもいます。
案外後輩を可愛くおもってたり?




