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似非ボッチの私が逆ハー女の親友になってた  作者: 黛 カンナ
愛憎うずまく波乱のセレ祭 準備編
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第39話 嘘臭い笑み

「ふぁ~......よくねた」


天王寺はベッドから起き上がり、洗面所の方へ行く。昨日、千秋と一緒にホテルに泊まった。


補足だが、流石に一緒のベッドには寝ておらず別々のbedroomで寝ている。


顔を洗い、タオルで顔を拭いていると千秋が現れた。目を擦りながら焦点の合わない目でポー......としている


「起きたか?貧乏人」


いつもの悪口に対し、千秋はやはりポー......とした顔で今、人がいると認識した様子で


『おはよ、my darling』


チュ


やけに発音のいい言葉を聞き、そう言えば外国人とも付き合ってたっけ?とかしょうもない事を考え、現実から戻った俺は


ガン!!


思いっきりぶん殴った


『痛!!あれ!?......えー...と天王寺先輩?』


殴られた衝撃でやっと人物認識ができたようだ。


「テメー...なに俺様の頬にキスしてんだ」


怒気を孕ませて言う俺に千秋は慌てた様子で


『え!?あ、ごめんなさい!!これ癖でさ!!朝は大抵彼氏とキスするから!!』


「変な癖もってんじゃねー!!!」








そんな朝を迎えた後に行った学校は


「こちらの備品がたりないんだけど!!」「照明の数これでいいかな?」「どうしよ!?舞台が......」


学園祭も近づき、慌ただしくなってきた。部屋には沢山の人達がはいり、半ばパニックになにらがら溢れかえっている。


そして余りにも人が多いので生徒会メンバーとは別の室内で作業をしている。


『暁先輩、備品は二番東校舎にあるのでそれを使って下さい。南先輩、照明の数はそれでいいですが、年季が入っているので予備を付けましょう!


ああ!!先輩ストップ!!その舞台で......』


それに対し、的確な判断をする千秋。

指で方向をしめし、時にはジョークも交えて相手を落ち着かせたり、逆に相手が落ち着く前に勢いで何とかする。


そして、一通りの事を指示した後椅子にすわり天井に顔をあげる


『疲れた......』


「嫌味かしら?」


横で怪訝そうに顔をしかめるリカは書類の手続きをしている。人に指示を出すのはどちらかと言うと本来は委員長タイプのリカがするはずなのだが、今は千秋がやっている


こう言った敵を作らない事に長けているのは千秋である。人との関係は軽薄に、その場しのぎが千秋のやり方なのだ。


リカは正面からぶつかり、敵と味方を作るタイプなので交渉は余り向いていない。


『違うよ、個人的感想ですよ』


ヘラリと笑うがやはりリカはその笑みが嫌いらしい


「その嘘臭い笑みが大嫌い。何でそんな風にしか笑えないの?」


その言葉に千秋は天井に向けていた顔を床に向けながら


『人の顔色ばかり...伺ってたからかな?』


千秋はそう言って少しだけ思い出を探る。

団地独自の狭い子供社会では愛想が大切で、何より自分は弱い存在だと見せ、同情を買い、降参の意思を見せるのが大切なんだ。


自分の親が毎日喧嘩してたら噂の的になるし、途中から家にすらいなかったら育児放棄だと思われる。


「怖いんだよ......」


ポツリと本音が千秋から漏れたそれは酷く苦しそうだった。


「え...」


リカは少し理解出来なかった。

千秋と言う人間はスペックが高い方の人間だとおもっている。このテレジアに無試験で合格出来る程の実力を持ってるし、様々な資格を大量に取っている。


更には、自分とは違い世渡りが上手く、生徒会等の外からの工作や余程の事が無ければ敵を作らない事や理屈を捏ね回して人を説得する所に長けている部分を見れば...と


こんな風に千秋を評価しているリカはやはりまだ幼いのだろう


『あ、そういえばさ!聞きたいことがあったんだ!』


一瞬で元の笑みに戻り、ヘラヘラと笑う千秋にリカはどこか恐怖した。いや、その感情を言葉で言うのは難しく、何をどう言えばいいのかわからないから、取り合えずは一番近い感情を言い当てると恐怖だった。


何故か喉の奥が焼けそうな痛みと、心臓を氷水につけられた様な感覚だった。


しかし、リカはそれを表に出さず、表面上は冷製に顔をつくった。千秋程、顔を作った事がなく本来は素直な性根のリカは冷製な顔と言っても、顔色は少し青く汗をかいているが本人的には冷製のつもりで言った。


「一体なにかしら?」


それに対し、やはり千秋は本当と嘘をごっちゃ混ぜにして本心が解らないヘラヘラとした顔で言った。


『私の名前って何て言うの?』

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